株堰塞湖決壊中<上>

2008年07月06日

今更な話なのでしょうが、昨今の株価暴落についての対談を6月21日付け『南方都市報』より。

経済無知、専門用語多数につき、いつも以上に誤訳の可能性大でございます。尚、引用文中のグラフはGoogleのものを訳者が挿入したものです。

今回のお客様

李[火韋]光
天津財経大学財政学部首席教授学術リーダー
趙暁
国資委マクロ経済研究部部長、国家国資委研究センターマクロ戦略部部長、中国体制改革研究会特約研究員、中国経済改革研究基金会学術委員、天財経済研究所特約研究員、中国社会科学院国際金融研究センター特約研究員
楊成長
高級エコノミスト、上海申銀万国證券首席経済学者、2002年から国務院特別手当専門家に選出されている

ここ1年、株式市場は激しく乱高下し、株投資家が期待した「紅五月」は泡と消え、いわゆる「六月転機」とはどのようなものでしょうか?株被害がひどい株投資家は、どうすればよいか苦しんだり、抜け出そうと機会を窺ったり、多くの人は、水の溜まった堰塞湖のように、期待と苦悩とで毎日悶々としています。

周知のように、中国の株式市場には、裏取引、市場操作などの規律違反行為が存在しています。マクロ経済的な不確実性、緊縮政策、投資家の信用不足、利潤低下予測などの問題に直面し、株式市場の積弊はすでに久しく、「救市」政策では救うことが出来ないのは明らかで、絶え間ないジリ貧の背後には更に深い体制の原因が沈積しています。

剛性の金融構造が大きな変革のない時期になると、この種の捻じ曲がった株式市場は日に日に投資家の信用をひどく消耗させ、更に恐ろしいことは、この種の不信関係が固定し始め、しかも次第にこれが一種の明らかな株投資家の心理構造となることです。不健全な中国の株式市場において、予測と株投資家の心理構造が一致することは、体制以外のもうひとつの巨大な隠れた問題です。これは将来起こりえることで、予想できない深刻な結果もたらすことになります。

最近国家開発銀行党委員会委員、副頭取・王益が双規され、ある事情通が漏らしたところによると、今回の王益の調査は始まったばかりだという。王岐山の言うところの、歴史は必ずある1つの事件から始まるように中国の金融市場は、これをきっかけにして、整理の暴風は吹き始め、捻じ曲がった構造的問題を正し、再び賭場に資本との相互信頼を築けるだろうか?

中国の株式市場の暴騰暴落の深層の原因はどこにあるのでしょうか?投資家の心理構造はどのような変化が現れたのでしょうか?成熟した資本市場はどのように造られるのでしょうか?中国の株式市場は何処へ向かっているのでしょうか?

「政策の底」など当てにならん

昨年5月30日に始まった暴騰と暴落の繰り返しは、マクロ経済の問題ではなく、貨幣の問題でもない、信用と予測の変化の問題だ。

南都
昨年10月16日から今年の6月16日まで、8ヶ月で深セン上海の両市場の値は、半分近く、32.71兆から18.74兆まで減少し、13.97兆元が消えてなくなりました。総合株価指数は、3,000ポイントを割り、55%下落しました。ここ1年の株式市場の起伏は激しく、論争は絶えません。このような最近の株式市場の核心的問題はどのようなものでしょうか?

kabu1007-0608.jpg

李[火韋]光
事実上、中国の株式市場に「地震」が発生したのです。5月一杯ジリジリと値が下がり続け、5月だけでなんと300ポイント下げ、これは名実共に株の災害です。印紙税を下げるような「救市」措置は一時的に上昇の作用をもたらしましたが、限界があります。今はもう市場救済問題を論議するにはすでに手遅れで、考慮すべきは、株災害がもたらす結果をいかに少なく済ませるかなのです。

kabu0508.jpg
(ちなみに6月は600ポイント以上下げております)

我が国の株式市場の積弊は久しい。規律違反の裏取引や市場操作行為が大量に存在し、人民の恨みを蓄積し、財産を損なう場所のようになっていて、多くの株投資家の心を傷つけています。ひとつは、投資家ではなく投機家が主に株式市場を維持しているためで、暴騰したり暴落したりするのです。もちろん、もしあなたが単に投機的心理で濡れ手に粟を抱いているのなら話は別です。今、暴騰する可能性は、基本的にゼロで、投機の可能性も機会も少なくなっています。「政策底」は当てにならず、これは無数の例がすでに証明しています。

趙暁
いくつかの方面に問題があって、制度、政府、そして投資家、全てが成熟しておらず、彼らの間の賭場は、一種の非理性的な場となっています。よい市場とは、まず制度が比較的成熟しており、2つ目に投資家、特に機関投資家を主として比較的成熟していて、悪意や非理性的なものを信奉せず投売りもしません。同時に、政府も比較的成熟していて、何も顧みず市場を抑え付けることもなく、非常に高く維持するために非理性的なことをすることもありません。双方が比較的成熟した状況の下では、双方の間には信用があります。

皆が成熟した制度に対して比較的信用し、そのコントロールの能力を信じることができれば、市場の暴騰暴落を制御することができます。しかし、我々の状況はまさにこれと正反対で、制度の不成熟なために、去年の制度が今年は別物になっていたりします。

全体的に見れば、マクロ環境にそれほど大きな変化はないのに、市場の反応はジェットコースターのようです。昨年の5月30日に始まった暴騰と暴落の繰り返しは、マクロ経済的な問題ではなく、貨幣の問題でもなく、信用と予想の変化の問題です。市場における信用と予測とは相互に影響するもので、投資家の信用の欠如は、制度と政府、投資家の不成熟でもあり、利益者の間に信頼関係が形成されていない結果でもあります。

kabu0607-0708.jpg

楊成長
私は、今回のA株市場の下落は、下落幅から見て、少し度を越していると感じているが、このぐらいの下落は全体から見ればやはり合理的なもので、株式市場の自律調整と符合し、株価は内在する価格に近づく必要があります。

原因は3つの方面にあります。ひとつは、昨年の株式市場の高い評価、高い株価収益率は上場企業の2年分の増長以上の高い予測を基礎とするものだったことです。しかし実際には、中国は今年から明確な経済のモデルチェンジが出現し、全ての企業の、エネルギー資源や財務コスト、輸出コスト、環境コストを含む生産コストが大幅に高くなった。これは必然的に工業企業、上場企業の利潤、つまり、今後2年間の上場企業の業績が急速な成長から穏やかな成長へと変化し、これは必然的なことです。

2つ目の要素は、株権分置改革が形成されるにつれて、市場に株券に対して別の価格設定者が増え、その殆どが株主ではないということです。二次市場(流通市場)の株価理念とサイズの違う株価理念、この両者の隙間を少しずつ結合した結果です。当然、これ自身は減退の圧力にはならないと考えている人もいます。私は減退とは考えておらず、両者の価格設定が過去に確実に深刻な差異や大きな落差が存在し、その落差が最終的になくなったのだと考えている。

3つ目の要素は、皆さんご存知のように、世界経済が特にアメリカ経済の不安定さ、更にベトナムで出現した危機によって、皆が簡単にベトナムでの状況と中国の状況とを比べ、一種のパニック的な心理状態を形成したためです。

この3つの要素は雪達磨式に増え、巨大な下げ圧力を形成しているのです。下落している過程において、我々はひとつの非常に重要な要素をみてとれます。それは、現在株式市場に参加している投資家は、その大部分が07年、更には07年上半期に新規参入した市場投資家たちであるということです。これら数千万の新規投資家は、市場の大幅な下落を経験しておらず、市場が大幅に下落するのを経験することで、彼らの投資の心理状態の同一性は非常に強く、悲観的な情緒がお互いに感染し、一度このような反発が形成されると、よい時期の心理のように、数人のいわゆる市場アナリストを含め、この種の理念が伝わり、市場は常に反発し、安定することが非常に困難となり、終始パニック的な下落となるのです。

6月の急落は「比較的恐ろしい」ことかもしれない

基本的に、現在の株式市場は安定止めすべきだが数千万人の投資家の心理状態はコントロール不能の要素だ

南都
中央銀行は6月7日午後に、預金金融機関の人民元の準備率を1%引き上げると発表しました。6月12日、国家統計局は、5月の消費者物価指数(CPI)が前年度比で7.7%上昇し、ある程度下落したと発表しました。しかし、力強い成長の勢いとインフレの圧力は高く、中央銀行が行う貨幣政策に予断を許しません。このような情勢で、当面株式市場はどのような動きをするでしょうか?

李[火韋]光
過大評価な上にマクロ経済の不確実性、緊縮政策、投資家の政府に対する現在の対応措置への信頼不足、利益予想の低下などの要素が、学者は以前から現在の株式市場の問題の原因であると述べており、更にこれらは、全て経済学者たちも早々に予見していた問題です。

これらの中で、インフレ圧力の要因が最も明確です。急速に高騰している食品やエネルギー価格は、市場全体の物価レベルを押し上げ、金融緊縮政策やいわゆる穏健的財政政策は、政府のインフレ圧力に対応する伝統的方法だが、今回は有益な効果を生んでおらず、少なくとも現在のところ効果は出ていない。しかし、このような政策は同時に、会社の利潤能力の低下を招き、株式投資へのリスク補填の要求はドンドンと高まり、株式市場の下落は、このような背景では必然的な結果なのです。ここから推論するに、6月は最も急落する情勢が現れる可能性が高く、更に「比較的恐ろしい」状況となる可能性もあって、6月以降、下落が続くと予想します。私は皆さんがしっかりとした思想を持つ準備をした方がよいと思います。

趙暁
これらの要素とあまり関係ありません。2007年の時、中央銀行は預金準備率を上げる度に、市場は総じて暴騰し、今年と正反対でした。違う時期に同様の政策を行うっても、その政策の解読が完全に一致していません。以前の高騰した理由は悪材料が織り込み済みだったためで、現在は緊縮の信号が灯り始めると同様の政策でも市場の反応は完全に異なり、これは全体の環境に変化が生じたことで説明できます。

楊成長
基本的な面からこれを説明すると、現在の株式市場は揺らいでおらず、基本的な面は比較的堅実だと言える。私はずっと3つの方面の要素について話してきた。1つ目は、即ち08年、09年の業績が十数パーセント増える計算だと、現在の株式評価は非常に合理的なものであろうということ。2つ目は、現在の株価は国際社会とリンクしていて、私達の全体の株式評価と西側先進国との評価とはすでに大きな差がなくなっているということです。我々の内地の会社とH株の会社との間の株式評価の差も大きくなくなっていて、多くの逆転現象も現れています。3つ目は、流通市場の投資家の株式評価と市場の株式評価との差も大きな差がなくなりつつあって、完全に一致しているとは言えないものの、少なくとも優良企業の株式評価は基本的に一致しています。これらの観点から比較的安定していると言え、代表的じゃないが私は更に株式市場が下落する可能性はないと思っているが、数千万人の投資家の心理状態はコントロールできません。

南方都市報「股民信心缺乏六月急跌“比較可怕”
※「双視」・・・紀律検査部門が決めた時間と場所で、汚職関連の取り調べを受けることをいう。基本的な調査を行った結果、クロという心証を持った事案についてのみ、「双規」を実施することが認められる。 被疑者は無期限、完全拘束される。
参考:北村豊の「中国・キタムラリポート」 「汚職幹部が震えあがる特殊取り調べ 「双規」とは?

株のバブル崩壊を、先の大震災で一躍メジャーな言葉となった「堰塞湖」の決壊になぞらえていて「うめぇーなー」と思い目を通した次第です。

kabu1202-0708.jpg

こうしてみると一気に水が溜まり、一気に決壊している様がよくわかりますね。

<下>につづきます。

ブログランキング ←宜しければランキングに1票をお願いします。

posted by タソガレ at 09:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのTrackBack URL 

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: