プチ易姓革命@貴州暴動

2008年07月11日

先日発生した貴州省瓮安での暴動についての論評記事を香港紙『明報』から。

貴州北部の小さな県・瓮安で民衆が、公安の一人の女子学生の横死事件の処理に対する不満から「6.28」騒動が爆発した。「騒乱平定」後しばらく、省委員会書記・石宗源は、深い原因を追究することなく矛先を「マフィア(K惡勢力)」を含む、いわゆる「少数の下心のある輩」に向け、彼らは「公然と我が党、政府を挑発した」云々と述べた。しかし数日後、石書記は忽然と悟り、貴州のトップとなり3年、彼は事件の問題点が瓮安の「悪の勢力が伸張し、都市農村の人民の安寧が損なわれている」ということを。更に深刻なのは、幹部が「拳を挙げることのできる者がなく、悪の勢力が騒ぐままにさせ、公安局、党委員政府も何もしなかった」ということだ。

新華社の日曜日の特別記事によると、石書記は2万人の暴動後、3日間の瓮安視察後、ようやく貴州の痩せこけた県市がどの程度マフィアの手に落ちているかを理解した。現地住民との対話で、石書記は民衆がひどく怯えて日々を過ごしていること、瓮安の犯罪率の高さ、事件解決率の低さ、そして民衆の幹部、公安を信用していない様、それは出稼ぎ者が省委員トップに自分の名前を言えないほどであることを知った。石は次のような結論を下さざるを得なかった。「瓮安の安全ではなく、庶民が本当のことを話せない。これは我々の責任だ」。石とそのほかの指導者もまた、この小さな県に5、6つのマフィアが暗躍していて、更に一部の幹部は「マフィアと結託し、マフィアの「通信兵」と「保護の傘」となっていることを認めた。現地では、民衆の立ち退きの補償、違法建築の除去、鉱山権紛争、国有企業改革解散などの諸々の問題が根本的解決が成されておらず、党と民衆、幹部と民衆、警察と民衆との長期対立をもたらしている。貴州省副書記・王富玉が言うように、現地は「懸案が多すぎて、積年恨みが多く、直ぐには解決できない」という状態だ。

北京の政策は全く効果なし

石書記は新聞出版署長を務めたことがあり、見聞を広め、「五輪の年」の広報活動の重要性を深く理解している。先週末貴州省は、現地瓮安の書記と県長、公安局の責任者を免職するという「英断」を行い、再三にわたり現地民衆に謝罪を行っている。しかし、これらの上辺の工夫では多くの疑念を覆い隠すことはできない。中共中央は朱鎔基時代の西部大開発に始まり、温家宝が登場した後も西部の貧困省市に対して更に多くの支援を行ってきた。胡総書記が1980年代中ごろに数年間貴州省書記を務めていたが、現地の悲惨な状況を知らなかったはずがない。更に2004年に江沢民が軍事委員会を退いた後、胡総書記は大量の「自らの友」を西部の各省市の上部に配置し、表面上、十分に状況を把握できていたはずだ。しかしながら結果的にチベットから貴州まで、今年世間を驚かせる事件が爆発した。これは北京の政策が以前から効力を失っていることを証明しているのだ!

まず、幹部の質が低すぎる。チベットの最近の「造反」事件の原因の一部に、書記の張慶黎が理不尽であるとチベット人が感じていたということがある。極めて強硬に「漢化」運動を推進しすぎたのだ。貴州の石に至っては、貴陽に2年ほど務めたにも関わらず、明らかに下部への認識が欠如しており、胡錦濤が当時、就任したその年に全ての県を調査研究したことに比べると大きくかけ離れている!

救済方法は民衆の投票によって汚職官吏を罷免させることだ

最も肝心な問題は、中国全体が「新階層」の鉄腕統治にあるということだ。沿岸部の裕福な地方では高級幹部と大企業とが「世界の工場」の大部分の利潤を独占し、貴州などの僻地では小役人と「マフィア」が現地の価値ある資源、鉱山権や土地使用権、中央の保証金などを含むものを分け合っているのだ。胡温の「人を持って本となす」の政策を、「地方勢力」をそのままに、庶民に施すには極めて限界がある。唯一の救済の方法は、下部層に本当の民主を施し民衆に投票によって汚職官吏を罷免できる機会を与え、同時に労働者に労働組合を、農民に農協を組織することを許可することである。

しかし中共はここ数年、如何なる政治改革を死にそうなぐらいに恐れている。中国の政治改革の基本は、1979年のトウ小平自らが村の一級選挙を試して以来、大きな動きはない。30年を経て、村管理委員会の選挙は、少数の「金持ち」やマフィアに制御されている。中共が、地方の選挙の発展、選挙を郷鎮級まで行い、尚且つ選挙での買収と「党の指揮」という弊害を根絶する決心をしなければ、下部層の対立と恨みとは段々とひどくなり、結果として巨大な力となり、収拾がつかなくなるだろう!

明報「林和立:貴州為何這麼K暗

記事中にもありますが、今回の暴動で、7月3日に公安局政治委員と局長の、翌4日には瓮安県書記と県長(副書記兼任)の首が飛んでおります。

公安関係者の処分、厳しくても副県長ぐらいの首で幕引きかと思っていたのですが、県トップの首まで切ったことに少々驚きました。今まで数ある暴動でも行政のトップが罷免されたことなんてあったでしょうかね。ちょっと記憶にありません。

異例の厳しい処分が下されたのは、オリンピックが間近であること、胡錦濤がかつて書記を務めていた、大震災で不穏な空気が充満しまくっている四川省に近いことなどなど色々な思惑や要素があるのでしょうが、「民衆が蜂起しトップの首を取った」ということは結構大きな出来事ではないですかね。プチ易姓革命です。

貴州省書記まで出てきて瓮安県の治安状況がいかに劣悪であるかが言及されていますが、瓮安県が特別だとも思えません。上記の記事にもあるように、選挙がない中国でこの易姓革命話が同じような状況の地域へ広がるととんでもない事態へと発展しないとも限りません。

このような不安定要素を排除する1つが、記事にもあるように民主制度を導入することなんだろうと思うのですが、果たしてそれができるかどうか。今回のように省書記が現地に出向き、温家宝よろしく民衆と対話を行い涙を見せるという猿芝居が限界でしょうか。

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posted by タソガレ at 23:30 | Comment(0) | TrackBack(1) | 暴動・衝突・争議 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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