米、台湾への武器輸出凍結か?!<上>

2008年07月27日

私の「認識台湾」」さんが「「共匪登陸了!」〜中国人の来店お断り:愛台湾的客家餐廳」で紹介されている写真、思わず噴いてしまいました。

表題の件。

激しく今更ですが、今月16日にアメリカ太平洋司令官キーリングが、ヘリテージ財団で講演した際に「台湾への武器輸出は緊急性がない」と発言したことに関する記事を3本。

まず『WSJ』の中文版より。

アメリカが110億ドルの対台湾武器売却計画を現在のところ、継続して推進する可能性はますます小さくなった。批評家は、この決定は台湾と大陸の間の戦略バランスを変える可能性があって、次期アメリカ大統領が手を焼く問題のひとつとなるだろうと言う。

この武器売却計画の最初は、ブッシュ大統領が2001年に登場した数ヵ月後に提出されたもので、その中にはレイセオン社の雷神迎撃ミサイルシステム、ユナイテッド・テクノロジーズとボーイングのヘリコプターが含まれていた。これは、少なくともここ10年で台湾にとって最大規模の武器売買で、台湾の内部の政治的紛争のよって予算が阻止され、去年12月の立法機関でようやく予算が通過した。

しかし、それから現在に至るまで、ブッシュ政権は未だに議会に売買計画の正式請求を提出しておらず、これは武器売却する際には必ず行わなければならないのだが、このために売買成立に暗い影を落としていた。

その後、太平洋アメリカ海軍上将・ティモシー・キーリングが、先週の水曜日に、ブッシュ政権は少なくともしばらくの間は台湾への武器売却を凍結することを認めた。キーリングは、アメリカの分析では、我々が議論していた武器システムは現在のところ、台湾へ輸出する差し迫った必要性はないことを示している、と述べた。

20世紀にアメリカは、台湾との正式な関係を終結させ、代わりに北京と国交を樹立した。その後、1979年にアメリカと台湾は「台湾関係法」を締結し、これが双方の関係の指針とした。この法案によって、アメリカは台湾に「自衛的武器」を提供する義務が生じた。中国政府は、台湾はその合法的な領土の一部であると称し、長年絶えずアメリカが台湾への武器売却を停止するよう要求している。

大陸と台湾の関係は、ここ数年緊張状態が続いていて、台湾で新総統・馬英九就任後、現在、両岸関係は徐々に改善していて、まさにこの時に、アメリカが台湾への武器売却を遅らせたのだ。馬英九政府の官員、そして所属する国民党は、馬英九は台湾が必要とする武器を購入することは依然として確固不動だと表明している。

批評家は、馬英九は武器売却促進に対してあまり努力していないと言う。国民党が野党だったとき、数年間にわたりずっと政府の武器購入予算で戦っていたと指摘している。

ウォッチャーは、大陸と台湾の関係が発展し、武器購入が両岸の初歩的な好転関係を再度緊張させる可能性があるために、台湾内部で武器購入を勝ち取る声がそのようなプレッシャーを受けている可能性があるという。2週間前、大陸と台湾は、ここ60年で初めて定期直行便を開始し、大陸から台湾への観光客を大幅に増加させることで合意している。

大使館としての機能を有しているアメリカ在台協会のスポークスマン、ロレンス・ウォーカーは、アメリカの台湾への武器売却問題における立場は、依然として変化していないと述べた。

ブッシュが来月、北京五輪の開幕式に出席した後、対台湾武器売却を再び議事日程に上げる可能性があるというアナリストもいる。前ブッシュ政権の国務院アジア事務高級官員ランドル・シュレーバーは、武器売却の最もよい時期は、オリンピックの後だと語った。

この110億ドルの武器売却計画は、ボーイングのアパッチ攻撃ヘリコプター、シコルシキーのブラックホークヘリコプター、雷神パトリオットPAC-3防空システム、ディーゼル潜水艦の設計が含まれている。アメリカ国務院がまず、議会に正式に「通知」を提出しなければ武器売却は本決まりとならないが、国務院は未だにこれをしていない。

台湾への武器売却計画は、9月までに議会の批准を獲得できなければ、この計画は次期政権の来年の夏の再審議を待たなければならない。しかも、台湾の武器購入予算期限は年度末で、これは再度、立法機関での批准を必要とすることを意味している。

WSJ「美國對台軍售“慢呑呑”

進めようとしているのは、ここ10年で最大の武器売却計画なのですね。

次に、アメリカで最大の中文メディアである台湾聯合報系(藍系)の『世界日報』の社説をば。

アメリカ太平洋軍区司令官キーリングは、「両岸は現在非常に非常に非常に衝突が発生する可能性はない」と述べた。「非常に」と3回続けた意味は、両岸で衝突が発生する可能性はゼロに近いということだ。この判断に基づいて、アメリカの政策決定者は、現在のところ、台湾に関した武器システム売却の差し迫った必要性はないと認識している。

軍備の購入とは、現金で軍用品を売買することではなく、核心技術の移転、人員組織の訓練と情報交換にまで及ぶ。アメリカ側が軍備売却を停止したことは、短期的にはもちろん、中長期的に全てわたって影響を及ぼす。この政策決定によって現れた新しい思考は、基本的なことが停止したわけではないという言葉を信じるなら、アメリカが台湾の防衛に対する承諾は不変であり、アメリカ側の台湾海峡地域の平和維持に応対する権利を有しており、応対する能力をも有しているということだ。

アメリカの台湾への軍備売却停止は当然、台湾海峡情勢の変化に基づくもので、この変化は両岸の平和発展にとって必然的なものであり、両岸の衝突の確率が低くなったことなど、更にさまざまなことを考慮し、アメリカが台湾の未来の発展について判断したものだ。もし、両岸が敵意の解除の協議が達成できたなら、両岸に軍事的協力が出現する可能性があり、アメリカ側にとってこれは、非常に深刻な課題だ。

陳水扁政権時代アメリカ側は、絶えず台湾にアメリカの武器購入を行うよう促し、更に何度もアメリカの協力が台湾の存在の前提であると公然と警告していたのに、台湾に自衛の決心がないと見たのか、政権が変わり、即座に軍備売却を停止するとの情報が出てきたのはなぜか?これは中間的変化で、大変難しく、大変微妙なものだ。陳水扁政権の台湾独立の挑発行為は、アメリカ側にトラブルメーカーと見られていなかったか?しかしながら、陳水扁政権は軍備購入のために尽力していた。

比較的合理的な解釈は、アメリカ側、特に軍側が、密かに陳水扁政権に対岸への挑発を促し、わざと北京のアンダーラインを試し、更にはこれで牽制していたというものがある。これは、米日軍事同盟の戦略的利益と符合する。しかし、これは台湾が比較的先進的な攻撃的武器を擁し、防衛条件挙げて万一に備える必要があった。しかし、どのようにリスクを処理するのか、アメリカ側に躊躇がないわけではなかった。それを最も顕著に表しているのは、台湾が採用している中距離空対空ミサイルはなんとアメリカ側が保管しているということだ。言い換えれば、ミサイルは台湾のものだが、その使用権はアメリカの手中にあるということだ。

馬英九が登場し、大陸政策は大きく変化した。単に東アジアンの安定というだけでなく、これは重大な転換で、アメリカはこれを歓迎しつつも対応する暇がなく、武器売却問題が北京を悩まし変数を生じさせる必要があろうか。ましてや北東アジアの非核化交渉は最終段階に入っており、更に北京での話題にすべきではないのだ。更には、中米間の別の暗黙の了解を排除する必要などないのだ。

アメリカは、陳水扁政権の台湾独立への暴走を心配していたが、馬英九の究極の統一は恐らく更に安心できないのだろう。台湾が先進的武器システムを擁して、転じて北京と分かち合うようになれば、米軍にとって、これは疑いようもなくひとつの悪夢なのだ。武器売却は、アメリカの軍事産業に多少の利益をも取らすが、戦略的利益を越えることはないのだ。

アメリカの台湾への武器売却についての変化は、既に非常に複雑な弁証法的な思考が存在しているのだ。この弁証法的議題によって、アメリカは台湾への武器売却の停止は、一時的な凍結であり、例えば、北京オリンピック終了後、あるいは六者会談が正式にひと段落を待って、全て円満に解決したり、あらゆる可能性がある。これらを踏まえ、馬英九の動向を監察し、特に大陸政策の変化を観察し、更にアメリカの台湾への武器売却を焦点に考慮しなければならない。

台湾の2度目の政権移行に従い、アメリカの対台湾戦略的思考の変化を逆に検証すると、台湾海峡の現状を維持しつつも、実は暗に台湾独立思想を支持していることがわかる。そして、武器売却における変化のひとつの側面でもある。馬英九の統一せず独立せず戦わずは、平和をもって現状を維持するという構想であり、馬英九が大陸政策のバランスのために積極的に打ち出したものなのだ。

両岸の軍事ホットライン設立報道は、馬英九の登場後、再び話題となり、大陸の軍側学者も、両岸はひとつの中国の原則に則り、ひとつの「両岸軍事ホットラインの将来の発展ロードマップ」を設計すべきで、両岸の軍隊を「友軍」と成すような言及をする者もいる。これらは全て未だに議論の段階で止まっているが、もし両岸の平和的発展の方向が不変であれば、馬英九やその取り巻きは、台湾のアメリカからの武器購入課題について、新たな弁証法的思考で処理しなければならないだろう。

世界日報「台海不可能衝突的新思維

藍系メディアということで、えらく馬英九を持ち上げ、台湾としての自立心を刺激しつつ自立性強調しているようでもあります。盧武鉉臭がするのは気のせいでしょうか。

中華民国という顔と台湾という顔を都合よく使い分けているようでもあります。

米、台湾への武器輸出凍結か?!<下>」に続く。

ブログランキング ←宜しければランキングに1票をお願いします。

posted by タソガレ at 14:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 台湾・台湾問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのTrackBack URL http://blog.seesaa.jp/tb/103685343

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: