「米、台湾への武器輸出凍結か?!<上>」の続き。
最後に香港の『中国評論』の22日付社説から。色は大陸よりなのかな。
最近、アメリカは外界を驚かすようなことを行った。台湾への武器売却をしばらく停止するという。台湾に武器購入政策の実施を行うよう圧力を数年間にわたりかけ続けていた後、アメリカ政府は突然、武器を台湾には売らない決定を下し、このような動きに、当然大いに驚き、中でも特に、ずっと拒否してきた台湾は大いに驚いた。アメリカのいったいどうしたと言うのだろうか?
台湾では、さまざまな憶測が飛んでいる。台湾の”国家安全会議事務総長”の蘇起が、アメリカ側に武器の台湾への売却をしばらく見合わせるよう要求したなんて話もあったりする。ことの起こりは昨年後半、陳水扁が一人の特使を派遣し、国際会議の場で、ブッシュ大統領に「武器購入は、台湾がアメリカに与えた恩恵である」と大げさに語り、これがブッシュに台湾への武器売却の中断を決断させた、なんて話もあったりする。これらの噂は全て、アメリカの台湾への武器売却政策を脚色し、誇張したものだ。
それでは、本当の原因は何だろうか?
現在、比較的多く説明されているのは、アメリカ太平洋軍区司令キーリングのものだ。彼は16日、ワシントンで行われた研究討論会の中で、アメリカは台湾海峡情勢が不安定になるようなことはしたくなく、アメリカの政策決定者は両岸の軍事状況を考慮し、現在のところ台湾への関連武器システムの売却に差し迫った緊急性はないと認識していると示した。キーリングの話は、多くを語っており、ざっと見ると、最も重要なもので5つの重大な意味がある。
一つ目は、両岸関係に根本的な変化が発生し、両岸の深刻な軍事衝突の危機が発生する可能性が低く、台湾は武器にたよって安全を護衛するような必要がなくなったということ。キーリングは、15ヶ月前と比較して、台湾海峡で衝突が発生する可能性は「非常に、非常に、非常にないだろう」と強調した。キーリングは、ワシントンにある保守派のシンクタンクであるヘリテージ財団の招待に応じ、アメリカ太平洋地区の軍事戦略についての発表講演を行い、その中で、自分、そして広州軍区司令員・章沁生の言葉を示し、台湾海峡情勢は過去と比較し安定していると何度も述べた。
2つ目は、アメリカは、対中軍事政策と対台湾軍事政策について再び新思考と調整を、両岸関係が変化した今、アメリカは新しい観点から何を得られるのか、確実に主導権を握れるか、ということを行っており、これは、現在アメリカ政府が絶えず思考している中で重大なことだということ。キーリングは、台湾海峡両岸の安定、同時にアメリカは両岸関係を妨げることを避ける努力を行っており、だからアメリカは現在、急いで台湾への武器を売却するようなことはないのだと述べた。彼は質問に答えて、「お互いにアメリカの政策は明確に理解している。我々は台湾海峡を不安定にするような如何なることも引き起こしたくない。我々は台湾と防衛協力を承諾し、政策決定層は全体を、台湾の軍備を考慮し、中国の軍備と戦略を考慮し、これら全てが現在のところ我々が論議しているこれらの武器システムを台湾に売却する差し迫った必要性はないと示したのだ」と述べた。
3つ目は、アメリカが当面重点している戦略的思考は、依然として米中関係の促進と改善で、中国にはアメリカに対して長い間、台湾への武器売却政策に対して大変大きな意見があって、状況が変わってから、アメリカは中国の意見を考慮せざるを得ないというものだ。キーリングは、アメリカ政府は最近、台湾に軍備を売却しておらず、中国大陸が憂慮を通達してきてからは、アメリカは台湾への武器売却を凍結していると理解していると漏らした。その他、米台商会主席・韓儒伯は、ライス国務長官が北京五輪と六者会談を考慮し、台湾への武器売却は北京との関係を壊すので望んでいないと少し前に述べていた。
4つ目は、アメリカ大統領選挙を間近に控え、ブッシュは元来の台湾への武器売却計画を行うことができず、これを中止し、新しい大統領が政治情勢、政党の利益の要求に合うよう処理するように後回しにしたというものだ。キーリングは、これは行政部門の政策で、すべきことはアメリカの政策決定層は台湾と中国大陸全体の当面の状況を思考することで、米台の間で過去数年間進めてきた武器売却が示すように、台湾への武器売却の緊急性はなないと考えていると述べた。米台商会主席・韓儒伯は、ブッシュの親友の雷徳(Sandy Randt)は、ブッシュが残りの任期中に、台湾への武器売却の如何なる動きもする必要なないと主張したと以前漏らしていた。
5つ目は、これは公然の秘密でしょうか?さまざまな見解がある。つまり、アメリカが台湾への武器売却をしばらく停止する意図は、更に台湾当局を制御するためで、今後も馬英九政府に譲歩し、目的のために手綱を緩めるという珍しい方法だという。現在の状況を見たところ、もし完全に台湾への武器売却を停止した場合、馬英九は民衆からの信任を失うという最も危険な境地に陥る可能性がある。このため、馬英九は米台関係に細心の注意を払わなければならず、ある程度、今後のアメリカの新しい政策を迎え入れ続けなければならないというものだ。
その他にもたくさん目的があって、単純ではない。例えば、大陸メディアが、アメリカメディアの大げさな宣伝を次のように分析したものがある。今回の「台湾への武器売却凍結」の派手な宣伝は、アメリカの武器商人と政府の親台勢力、メディアとが結託して演出したもので、アメリカの台湾への武器売却を加速させるためのものではないかという疑いがあると。
さまざまな角度からアメリカの戦略的思考を見てみると、現在アメリカが台湾への武器売却を暫し停止した根本的な出発点は、自己の戦略的利益に基づく打算であり、策略であるということがわかる。我々は、このような行いは政策の根本的な調整ではなく、単に時間を稼いでいるだけだと考えている。時が来れば、台湾への武器売却は再び議会に日程にのせられるだろう。
そのため、アメリカの台湾への武器売却の一時停止の動きが、『八一七公報』を推し進める準備では絶対にない。『八一七公報』とは、1982年8月17日、アメリカと中国が武器売却に関する台湾問題について発表した公報だ。アメリカと中国は1979年に国交を樹立した際、台湾への武器売却問題について、共通認識に達せず棚上げした。1981年にレーガンが登場し、この問題は継続して討論され、双方は冗長な交渉を経て、1982年8月合意に達し、公報を発表した。その内容は、中華人民共和国政府は中国の唯一の合法政権であると承認し、併せてひとつの中国と認知し、台湾問題は中国の内政問題であり、アメリカは「2つの中国」あるいは「一中一台」政策を行うつもりはないと重ねて表明したほかに、おもに強調したことは、アメリカは長期に渡り台湾に武器を輸出する政策を行わず、アメリカは徐々に台湾への武器輸出を減らす用意があり、一定期間が経てば最後には解決するだろうというものだった。
我々は、アメリカは現在「最後の解決」の段階には入っていないと認識している。キーリングは、台湾自身の防衛システム、兵力訓練、夜冷え動員などの力量が、北京に台湾への武力攻撃はその利益に符合しないと明確にわからせるに足るもので、この地域の各方面が、万一中国大陸が台湾に武力で訴えたなら、アメリカは座視することはできず、アメリカの指導者が命令を下せば、米軍は、即時対応するだけの能力と準備を有していると述べている。
会見の後、アメリカの台湾への武器売却凍結は、既に決定事項ですか?とのメディアの質問に、キーリングは、これは国務院が答えるべき質問だと述べた。その他、アメリカ国務院官員が、アメリカは「台湾関係法」に従い、台湾に防衛性の武器を提供する必要があり、この立場に如何なる変化もないと述べた。これらの発言は全て、アメリカが台湾への武器売却を放棄する気がないことを示している。
アメリカ国内での今回の動きについての不理解は、更にこの政策の不安定性を十分に表している。ワシントンの両岸問題の専門家・譚慎格は、アメリカ政府が台湾への防御性の武器売却を凍結することは、議会で可決されている「台湾関係法」違反で、尚且つ、武器売却の決定には「台湾の必要性」に基づくことが必須で、「中国大陸のアメリカへの外交的圧力」ではないとする文章を先日発表していた。彼は、台湾は大陸と協議するには、十分な軍事的力量の後ろ盾が必要だと述べている。この類の輿論は、アメリカに広く代表的なもので、アメリカ政府に対する圧力となっている。
大陸のネットユーザーのアメリカの台湾への武器売却一時停止したことに関する議論で、アメリカのハッタリじゃないかと思っている人が非常に多い。間違ってはいない。なぜなら、大局、天気、条件は全て成熟したいないからだ。
アメリカ国務省スポークスマン、マコーマックは19日の定例会見の中で、アメリカ政府は忠実に「台湾関係法」を実行し、台湾が必要とする防衛に維持するに足る武器装備を提供し、アメリカはこの立場を変えていないと指摘した。彼は、この立場は国務省、国防総省、そしてそれぞれの各政府機関もそうだと強調した。マコーマックのこれらの発言は、遅かれ早かれ、台湾への武器売却が行われることを表している。
しかしながら、我々は注意しておかなければならないことは、中米関係の変化と発展に従って、アメリカ政界が段々と台湾への武器売却が振りになると意識し始めている人が増えてきたということだ。例えば2005年、アメリカ議会上院のベテラン議員であるファニースティン(范因斯坦)は、中米両国は、台湾問題が過去30年間積み上げてきた良好な関係を一気に損なうようなことになることは避けねばならず、両岸は「台湾は独立せず、大陸は武力を用いず」と承諾すれば、アメリカは台湾への武器売却を停止し、中米関係における一大疑念を払拭しなければならないと述べている。アメリカの『防務新聞』は6月に、台湾とワシントンからの情報によると、アメリカ政府内の「親中」派の抗議によってアメリカの台湾への武器売却計画がしばらく後回しになったという。報道は、アメリカ国務省、アメリカ財務省、アメリカ駐北京大使館が、連携して台湾への武器売却を封殺したという。いずれにせよ、台湾への武器売却停止の音は、アメリカ内で段々大きくなっているということだ!
絶対というものはなく、どれも可能性がある。これらはアメリカの両岸関係政策が、モデルチェンジを始めるひとつの重要なきっかけであり、一種の期待でもある。密接に観察して研究判断する必要がある。
中国論評新聞「社評:美國暫停對台軍售的戰略思考」
6つ目に、尖閣諸島で派手に立ち回った現政権に対してお灸を据えるよう日本政府が働きかけた・・・つーのはないですか、そうですか。
美麗島の中身がどうなろうと、日本にとっての重要性は変わらないのであるのなら、台湾政府を揺さぶることのできるカードがあればなぁ、なんて思います。経済版「台湾関係法」みたいなのは無理なのでしょうかね。
かつて李登輝の総統時代に大陸と激しくやりやっているときに、実は水面下で北京と連絡を密にしていたという話をどこかで見たことがあります。そのときの大陸側の窓口だったのが曽慶紅だったとか。彼は、次期主席候補の最右翼である習近平の後ろ盾です。また習近平は、短いながらも軍歴があり、更にそのキャリアの殆どが南京軍区内だったという経歴の持ち主だったりもします。南京軍区とは、台湾侵攻の際に最前線となる軍区で、習近平は福建時代に台湾工作の経験を積んでいたようでもあります。
国共合作でただでさえパイプが太くなりつつある両岸。8月に台湾の立法院議長・王金平らが来日するようですが、日本も独自に情報を引き出せるパイプがあったりするのですかね。
- 関連外部サイト
- 外務省「(8)中華人民共和国とアメリカ合衆国の共同コミュニケ(仮訳)」(八一七公報)
- 日本李登輝友の会「「八.一七」コミュニケ 1982年8月17日(PDFファイル)」
この「八一七公報」は、恥ずかしながら知りませんでした。これを知った上で国民党の李登輝爺さんが民主化したという事柄を眺めると少し違った風景に見えたりします。中華民国・・・ジリ貧ですね。
追記:米、台湾に対艦ミサイル60発を輸出す
アメリカが台湾に対艦ミサイル60発、9,000万ドル分を輸出すると報じられた件を、8月27日に台湾軍スポークスマンが事実であると認めた模様。
この武器輸出は、上述した今年提出し凍結か?とある8項目の武器輸出計画とは別に、昨年要請し来年納入予定だった分らしい。8項目の武器輸出を凍結した代わりなのかな。それともグルジア情勢を睨んでの同盟国を意識してのアメリカの動きでしょうか。
- 新華網「美将售台60枚魚叉反艦導弾价値9000万美元」
- 中国評論新聞「美國對台軍售解凍 提前售台60枚反艦導彈」


