公安襲撃事件@カシュガル

2008年08月05日

日本でもすでに大きく詳報されているカシュガルでの事件をば。

その前に、8月1日にウイグル自治区の副書記が海外メディアの取材を受け、いわゆる東トルキスタンの独立を目指しているとされている「東突」について次のように述べていました。

「東突分子」というようなテロ組織は、いくつかのメディアが意図的に大きな能力を持っているかの如く宣伝しているようなものではなく、実際は、彼らの能力は非常に限定的なのだ。実際に行われた破壊活動も、実は新疆では極々少なく、つまり計画の段階で我々が破壊しているだよ。

(中略)

実際、我々は常に新疆で「東突分子」に対応して感じることは、「東突組織」といったテロ組織のテロ分子によるいくつかの破壊活動は、非常に限定的だということだ。根本的に、いくつかのメディアが意図的に流しているような大きな能力はなく、実際の彼らの能力は非常に限定的だ。責任を持って言えることは、かなりの部分で彼らは烏合の衆に過ぎない。

今年になってから、新疆公安機関は、いくつかのテロ勢力の組織とグループを一掃した。現在までに公表したもので3、4つほど、すぐに思いつくだけでもこれだけあって、いくつかの敵対勢力が望んでいるいわゆる大きな破壊活動を行うような能力はなく、皆さんは聞いていない。今、このような情況があれば、政府は何一つ、隠さずに、直ぐにメディアや各方面に状況を公開する。

あなたがたが知っている様に、実際に実施された破壊活動は、新疆では極々少ないといえて、これは事前の計画段階で我々が一掃しているからなのだ。

新華網「新疆自治区副主席:“東突”不像媒体炒作的有那嘛大能力

なんて言っていたのにね。

「東突」は、明確な首謀者、リーダーが不在で、ウイグルに暮らす全ての少数民族一人一人が漢族や中共政府に対して何らかの不満を抱いているという意味で「烏合の衆だ」という指摘は正しいのかも知れません。

明確な首謀者、体系的な組織がある方が潰す方としては楽で、「烏合の衆」だからこそ厳しい警戒態勢が敷かれている中、今回の事件を成しえたのだと言えるかも知れません。

チベットでの状況も同様で、中共がダライ・ラマやチベット青年会議を、抗議運動の首謀者として祀り上げようと必死なのも敵が明確である方が攻撃しやすく、また宣伝しやすく、漢族の団結に利するということなのでしょう。

カシュガルの事件について、5日付香港紙『太陽報』をば。

北京オリンピックが、ウイグル独立分子と思われる者の挑発的テロ襲撃を再度見舞われた。北京オリンピックの開幕を4日後に控え、新疆カシュガル市で昨日早朝、公安員を標的とした血生臭いテロ襲撃事件が発生した。まず、2人のウイグル人男性が、トラックで何人かの公安を轢き、その後、爆弾を投げて刀で切り殺し、少なくとも16人の公安員が死亡し、16人が負傷した。2人の容疑者はその場で逮捕され、うち1人の両腕は爆破でちぎれていた。別の情報によると、今回の自爆攻撃で100人以上が死傷したという。事件は国際的に注目され、今のところ事件を起こしたとする組織は現れていない。

テロ襲撃は、カシュガル市の中止地区の怡全賓館の門の前で発生し、新疆公安国境総隊カシュガル地区支隊の建物からわずか100メートルほどしか離れていない。昨日の早朝8時頃、当時、支隊は早朝訓練の時間で、ちょうど70人ほどの公安幹部と警官が並んで支隊施設を出たところで、色満路にあるホテル方面へゆっくりと走っているところだった。突然、1人の男が運転する1台のトラックが、この隊列に向かって猛然と突っ込み、14人の公安がその場で死亡し、2人が病院に搬送と中に死亡した。負傷した16人はの公安は病院で治療を受け、4人が重態で、うち2人が危険な状態だ。

凶悪犯も両手を切断

凶悪犯は、車をぶつけて道端の電柱と街路樹を何本も破壊し、直ぐに車から降りて、再び手製の爆弾を残りの公安国境警備員に投げつけた。この時、凶悪犯の両腕も手製爆弾によって切断され、その後取り押さえられた。この時、近くで身を隠していたもう一人の凶悪犯も、国境警備支隊施設の入り口に手製爆弾を1発投げつけたが、死傷者はなかった。その後、この凶悪犯は、手に刀を持って施設に突入し、施設内の公安員を殺そうとしたが、現場で取り押さえられた。カシュガル地区公安刑事警察は、その後、凶悪犯が運転していたトラックから10個の爆破装置と手製拳銃一丁と刀四振りを発見した。

新華社の報道によると、爆発現場は、昨日の午後2時には、ほぼ整理されたという。怡全賓館の入り口は、爆破でめちゃくちゃになり、3本の街路樹も切り株だけが残っていて、通行人はかすかな血痕と血生臭い雰囲気を感じるのみだ。政府側の初歩的捜査によると、襲撃を行ったのは2人のウイグル人男性で、年齢はそれぞれ28歳と33歳だという。

事件と東突との関係の可能性

中国現代国際関係研究院反テロ研究センター主任・李偉は、2人の容疑者が行った方法はと襲撃の対象の選択などを見ると、この暴力襲撃事件は、おそらく「東突」組織が関係している可能性があり、少なくとも「東突」を支持している集団が行ったものであると報道の中で述べている。警察側も、事件がテロ襲撃の可能性を排除せず、現在、調査を進めていると述べている。

香港の「中国人権民運信息中心」が漏らしたところによると、カシュガル市で昨日発生した爆発は、「自爆式攻撃」で、少なくとも100人以上が死傷し、現地はすでに戒厳状態で、当局は武装ヘリを出動させて捜索しているという。香港の保安局および旅行業議会は、香港人が助けられたという情報はな今のところないという。

保安局は、引き続き事態を密接に留意しており、もし香港人で助けが必要なら、入境事務所24時間ホットライン1868に電話すれば可能だ。

太陽報「京奧驚慄倒數新疆恐襲 車撞掟彈刀劈 兩漢殺16公安

カシュガルねぇ。私が訪れたときは、街があまり漢化されていなくて非常にのんびりとして過ごしやすい街でした。いや、屋台のにーちゃんが「てめーらは漢族に似ているからウイグル帽をかぶるといいぞ」と忠告してくれたり、実際に漢族が襲われるという事件が発生して町中公安だらけ、なんてことに遭遇したこともあったのですが、普段は公安の姿をあまり見ませんでした。本格的なチャイとナンを出してくれたオヤジは元気なのでしょうか。今回の事件現場からそう離れていないように思います。

早朝8時(北京時間なのでカシュガルでは6時ぐらいかな)とはいえ、警察が70人も隊列を組んで移動しているというだけで、なんだか街に漂う緊張感みたいなものを感じます。

この『太陽報』だけでなく、日本のメディアなどでも「犯人はウイグル人」と新華社が伝えていると報じていますが、「犯人はウイグル人」と記している新華社の記事を、中国内地の報道をまだ見ていません。

新疆自治区公安庁が発表したところによると、容疑者は「23歳と33歳のカシュガルの人で男性」とあるのみで、「ウイグル族」との記述はありません。書き換えられたのかな?また2人は、それぞれタクシー運転手と八百屋であったとあります。

また、現場で発見された手製爆弾は、2007年1月に警察が「東突」の訓練施設を襲撃した際に発見した装置とよく似ていて、現場で「聖戦」の宣伝物を鹵獲したともあります。本当ですかねぇ。

「ウイグル族」とはありませんが、「カシュガルの人」とは「海外からのテロリスト」ではないということで、重要な情報ではあります。2007年1月の訓練施設襲撃の際の「テロリスト」側の死者の国籍は、明らかにされていなかったはずです。

というのも、カシュガルはパキスタン国境に近い街で、多くのパキスタン人を見るほどです。上述した本格的なチャイとナンを出してくれたオヤジもパキスタン人で主にパキスタン人を相手に商売していた人でした。

それにしても、なんでも安直に「東突」によるテロつーのは、どうですかね。たとえ容疑者がウイグル人であっても、警官にもウイグル人は多く含まれていただろうし、個人的な恨みによる犯行の可能性も。また、昨今流行の民衆による政府機関への攻撃と同じような性質の可能性も高いかと。ただ漢族の反応は「チベットと貴州の違い」に記したように違いがあると。

追記:死亡した16人は全員漢族ぽい

公表された犠牲者の名前を見た限り、全員漢族ぽい。(/追記ここまで)

んで、こんなニュースも。

中国西部の新疆ウイグル自治区で、武装警察の隊員16人が襲われて死亡した事件を取材していた日本のテレビ局の記者と新聞社のカメラマンが顔を殴られるなどの暴行を受け、それぞれの会社が「きわめて遺憾だ」などとするコメントを出しました。

暴行を受けたのは、日本テレビの37歳の記者と東京新聞の38歳のカメラマンで、このうち、日本テレビの記者は、4日夜11時ごろ、事件が起きた現場付近で取材中、武装警察の隊員に羽交い締めにされるなどして警察の施設内に連行されました。そして、武装警察の隊員に顔を地面に押しつけられたり殴られたりしたうえ、2時間ほどの間、身柄を拘束されたということです。これを受け、日本テレビ総合広報部は5日、「正当な手続きを踏んで取材していた記者に対し、暴力行為が行われたことはきわめて遺憾だ」とするコメントを出しました。また、東京新聞のカメラマンも地面に倒されたうえ、顔を踏みつけられるなどの暴行を受けたということで、東京新聞は「事実関係を確認中だが、解放されたとはいえ正当な取材に対する暴力的拘束には強く抗議する」というコメントを出しました。町村官房長官は、閣議のあとの記者会見で「中国の日本大使館に、4日夜、報道機関から『現地に取材に出かけた記者と連絡が取れず、現地警察に拘束されたのではないか』と連絡があった。直ちに中国政府に事実関係を照会したが、現時点で回答はない」と述べました。そのうえで、町村官房長官は「その後、報道機関から大使館に『釈放された』という連絡があった。記者は、外傷はないものの、殴られたりカメラを壊されたりしたそうだ。おそらく事実だと思うが、今後、情報収集に努め、事実であれば強く抗議する」と述べました。

NHKニュース「新疆 日本人記者ら暴行受ける

その公安施設内に連行される様子を写した1枚。

china0257.jpg

現地の武装警察幹部が謝罪したようですが、これを大陸メディアは今のところ報じておりません。

オリンピック開催のために無理に無理を重ねてきた歪みによる悲鳴が、開幕前からあちこちから聞こえてまいります。

追記:日本人記者への暴行について

5日午後にウルムチで開かれた記者発表の席でこの話題が出たようで、これを新華社が報じております。

(前略)

日本の朝日新聞の記者の質問に対して(新疆ウイグル自治区公安庁庁長)柳耀華は、2名の日本の記者が軍事完成区域ないで取材し拒否された状況についても釈明を行った。

柳耀華は、新疆カシュガル公安国境警備支隊は軍事管制区に属しており、記者の取材撮影は許可されておらず、この点は明確であると述べた。中国政府が各国記者に取材の自由を与えているが、取材者の同意を得なければならない。彼は「日本の記者が勝手に軍事禁止区を撮影したことは、中国の関連規定に違反しており、無理やり軍事禁区に侵入することは理性ある行為ではなく、相応の責任を承諾すべきだ」と語った。

カシュガル国境警備警察と日本の記者とが口論になり言い争いになったことに対して柳耀華は、「私、自治区公安庁庁長として、日本の記者に謝罪します」と述べた。

新浪網「襲警是蓄謀已久暴力恐怖活動(深セン特区報)
ウェブ魚拓(キャッシュ

中国新聞網などもこれを報じていたようですが、今はなぜか削除されています。

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posted by タソガレ at 22:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | ウイグル・新疆・中央アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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