ロシア圏には手を出すな

2008年09月04日

やはり気になるグルジアを巡る情勢。

ということでスクラップ。9月2日付『人民日報』をば。

本紙モスクワ8月31日電(記者・張光政)ロシア大統領メドベージェフは31日晩、ロシアは南オセチアとアブハジアの独立を承認した後、大害政策の五項目の原則を発表した。メドベージェフは、この日、ロシアテレビ、第一チャンネル、独立電視台の共同取材をソチで受けた際に、「ロシアが対外政策を推し進める際には5つの立場に基づいている」と述べた。

メドベージェフは、まず、ロシアは国際法の基本的原則を優先する立場を承認しており、これは文明的な人々との関係を決定しているものだと述べた。2つ目に、世界は多極であるべきで、単極は受け入れられない。ロシアは、ある決定がひとつの特別な国家、アメリカのような国家が作り出すといったような世界構造を受け入れることはできない。「このような世界は不安定であり、衝突の危険が生まれる」と解説した。

メドベージェフは、ロシアは如何なる国家とも衝突したくなく、「ロシアは孤立ではなく、我々は可能な限り欧州やアメリカ、および世界のその他の国家との関係を発展させたいと思っている」と強調した。

ロシアが対外政策において無条件で優先させる原則は、ロシア国民の生面と尊厳を保護することで、もちろんこれは彼らの身がどこにあろうともである、とメドベージェフは述べた。ロシアは、国外のロシア企業の利益も保護するという。

メドベージェフは、ロシアの対外政策五項目の原則は、ロシアの友好地域の利益でもあると述べた。彼は、「世界の他の国家と同じように、ロシアも利益を優先する地域を有しており、ロシアと伝統的に友好関係のある国家が、この地域である」と述べた。彼は、ロシアはこれら近隣との友好関係を発展させると述べた。これはロシアと国境を接している国だけを指しているわけではないとも指摘した。

その後、今後のそのほかの国家との外交関係の話となり、メドベージェフは、これはロシアだけでなく、ロシアの国際社会における友人やパートナーにも言えることであると述べた。「それらの国家も自分達で選択するのだ」と述べた。

新華社モスクワ9月1日電(記者・趙嘉麟)ロシア軍は、いわゆる「ボルゴグラード―2008」の戦略的戦役演習を1日に開始し、演習は沿ヴォルガ連邦管区とウラル連邦管区で、今月の27日まで行われる。

イタルタス通信の報道によると、今回の演習は、兵力およそ1.2万人、戦車と走行車両およそ1,000輌、戦闘機、爆撃機、輸送機、ヘリコプターが50機ほど投入されているという。参加演習部隊は、沿ヴォルガ連邦管区からウラル連邦管区の連邦安全局、内務局、緊急状況部などの部門だという。

ロシア陸軍総司令補佐Konashenkovは、「ボルゴグラード―2008」戦略的戦役演習の内容は、上級司令部演習、様々な兵種の聯合戦役演習でいくつかの戦術演習を含んでいると教えてくれた。今回の演習の第一弾系では、ロシアとカザフスタンが共同で戦術演習を行う。

報道によると、今回の演習の主な目的は、関係部門の武装衝突の制止、不法武装とテロ組織の粛清、および自然災害と技術的事故発生後の状況を取り除くといった方面における共同行動能力を検証することだという。

人民日報「梅コ韋杰夫宣布俄対外政策五項原則

「ロシアの友好地域」=「旧ソ連領」でしたね。旧東欧はどうなんでしょうか。

今回メドベージェフがインタビューを受けた黒海に面した都市ソチって、2014年に冬季オリンピックが開催されるところですね。実に微妙な位置にあるのですねぇ。

一連のロシア側の動きを牽制するために1日、EUが緊急理事会を開いたのですが、結局、ロシアに対する制裁など強硬措置を先送りし、グルジア内で失望が広がっているとか。

強硬措置を下せなかった欧州の事情を論じたものをば。

グルジア危機を解決するために開催されたEU特別首脳会議は9月1日の晩、ブリュッセルで閉幕した。会議では、ロシア軍のグルジアからの衝突前に位置までの撤退を決定し、ロシアとの双方向関係の枠組み協定交渉は先送りにされた。会議後に発表された声明では、グルジア危機はEUとロシアの関係における十字路であるとも述べた。

8月8日にグルジア危機が全面的に爆発して以来、EUは一貫して積極的に調停を試み、政治的決着の道を求めている。EUの議長国であるフランス大統領サルコジは、モスクワとトビリシを訪問し、ロシア、グルジア双方の指導者と停戦における6点の原則に達した。EUは、グルジア問題において、その進行に戦略的憂慮を示したり、ロシアの態度に何度も懸念を示したりと、積極的で主導的態度を何度も見せつけていたが、ロシア大統領メドベージェフが正式に南オセチアとアブハジアの独立を承認してようやくロシアに対して激しい非難を示した。今回のEU特別トップ会議も、緊迫した会議ではなく、トップ会議開始前に、EUの議長国であるフランスは、今回の会議はロシアへの制裁問題を討論するものではないとの態度を表明していた。

ロシアに対して制裁を加える意志がなく、ロシアとの双方向の関係枠組み協定の交渉を先送りにするということをEUのカードとしたが、会議の声明では、EUロシア双方向の関係は、協力と信任、対話によって基礎を更に発展させねばならず、取り除くという選択はありえないと強調した。アナリストによると、EUはロシアとの双方向関係構築協議の交渉の先送りの決定は、これ以外示しようのない政治的姿勢で、なぜならEUの手の内には、ロシアを制裁するというカードは全くなくて、最も重要な理由のひとつは、EUはロシアのエネルギーに深刻に依存しているためで、もうひとつは、EU内部にロシアにどのように対峙するかという問題で、明確な相違があるためだ。

データによると、EUの国家が毎年消費している石油と天然ガスのうち、それぞれ26%、29%をロシアからの輸入に頼っており、まさにこのエネルギーが障害となりEUが絶えずロシアとの関係において慎重に処理せざるを得なくさせているのだ。今回のEUトップ会議の声明の中でも、EUとロシアとは相互依存で、EUはロシアの最大のエネルギー市場でもあるというようなことが述べられている。ロシアは、ここ最近、何度もヨーロッパへのエネルギー供給は保証すると声明を出している。双方は一方でエネルギー友誼を維持することを試み、一方で双方が相手から脱却する新しい道を模索している。ロシア総理プーチンは、8月31日に極東地域のシベリアからアジア太平洋地域にまたがるパイプラインプロジェクトを視察した。この行動をロシアメディアは、ロシアがEUに対して、ロシアはエネルギー輸出の代替市場を見つけているという警告を発したと解読している。

EUとロシアの牽制の関係のもうひとつの原因は、その内部での意見の不一致だ。フランス大統領サルコジは、記者会見の席上で、EUはもっと同じ声を発する必要があると率直に認め、ポーランド大統領カチンスキもEU内部の”明らかな相違がある”ことはタブーではないと率直に認めている。具体的に言うと、ポーランド、バルト三国、チェコなどの新しいメンバーとイギリスは、ロシアに対して強硬手段を取るよう主張しているが、ドイツ、フランス、イタリアスペインなどの国は、引き続きロシアと密接な関係を維持することを望んでいる。アナリストによると、このような局面に直面し、EUは内部の対立をうまく調整することができず、ロシアに対して単に”張子の虎”の作用しか与えることができず、根本的にグルジア・ロシア危機の局面を転換させることなどできないのだという。

EUの議長国であるフランス大統領サルコジは、EUは元々ロシアと密接で積極的な関係を構築することを望んでおり、冷戦時代に戻ることは望んでいないと述べていた。ロシア大統領メドベージェフは、トップ会談の前日、ロシアは西側国家と衝突するようなことは望んでいないと述べ、ロシア総理プーチンも、ロシアはヨーロッパへ輸出している石油や天然ガスを制限するつもりはないと述べている。9月8日、フランス大統領サルコジ、EU委員会委員長バローゾ、EUの外交と安全政策を担当している上級代表ソラナ自らがモスクワを訪れ、ロシアの指導者と更に協議を行うという。アナリストは、協力は依然としてヨーロッパとロシアとの関係の主流で、双方の指導者共に政治的手段によって当面の危機を解決することを望んでおり、ヨーロッパとロシアはお互い依存しており、利益が折り重なっている現状で対抗すれば共倒れになり、双方の利益の最大化を模索することは、将来のヨーロッパとロシアの発展の大筋を主導するものであると双方の指導者は認識しているという。(記者・許欣)

新華網「処在十字路口的欧俄関系(国際在綫)

ヨーロッパがロシアへのエネルギーの依存度を減らそうと思い、グルジア経由でのパイプラインを敷設し、ヨーロッパ側へ引き入れようと画策していたところグルジア大統領の暴発によって全ておじゃんでEUなみだ目というところなのでしょうか。

尚、どの程度、中共フィルターがかかっているのかはわかりません。

そういえば、先日の上海協力機構の会議では、ロシアが一方的にグルジア問題について述べただけで、上海協力機構としては「話し合いによる解決を」と述べるに留まり、あくまで構成国のある地域、中央アジアにおける協力機構であるという逃げを打っておりました。

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posted by タソガレ at 00:02 | Comment(2) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
>今回メドベージェフがインタビューを受けた黒海に面した都市ソチって、2014年に冬季オリンピックが開催されるところですね。実に微妙な位置にあるのですねぇ。

近刊の『コーカサス 国際関係の十字路』(廣瀬陽子著、集英社新書)によると、「五輪のための開発拠点がアブハジアに置かれ、ロシアの大規模な投資が行われることにより、アブハジアがますます独立機運を高めるのではないかという懸念が強く持たれている」(p211)そうです。プーチンがソチ開催に強くこだわったのも、やはりこの辺でしょうか。

>先日の上海協力機構の会議では、ロシアが一方的にグルジア問題について述べただけで、上海協力機構としては「話し合いによる解決を」と述べるに留まり、あくまで構成国のある地域、中央アジアにおける協力機構であるという逃げを打っておりました。

個人的に、これは重要な点だと思います。つまり、中国とロシアの利害が一致しないという点において。下のリンクはIHTの記事ですが、

http://www.iht.com/articles/ap/2008/09/03/asia/AS-ANL-China-Georgia-Boon-For-Beijing.php

これによると、好戦的なロシアとの対比で中国は若干イメージを高められるのではないか、ということです。もともと中国にとって欧米のほうがロシアよりはるかに大事なので、これを機会に欧米での好感度アップが狙えるかも、ということのようですが・・・。

同記事は、「中国は中央アジア諸国と一緒になって、アブハジアと南オセチアの承認を求めるロシアの訴えを無視した」とはっきり書いています。確かに、台湾、チベット、東トルキスタンを抱える中国がロシアに同調できないのは当然のことのように思えます。さらに同記事によると、中国は「上海機構」という自分が主導する機関でロシアが上記のような主張をするのも気に食わなかったようです。

ちなみに、ニカラグアが早速、アブハジアと南オセチアの独立を認めたそうです。ベネズエラやベラルーシでさえ独立を承認していないのに・・・。
Posted by 歩厘 at 2008年09月05日 23:03
北京以上に国際的な政治的思惑のある五輪になりそうですね。
五輪そのものがそういうものだということですかね。


グルジア情勢で中国は、ロシアとのパイプがあることを生かしてEUとロシアの間に入ってEUにおける存在感と好感度を高めるのかなぁ、なんて少し思っていたのですが、さすがに北朝鮮やイランとロシアでは格が違いすぎますか。
中国としても上海協力機構が、西側と対峙するワルシャワ条約機構になることを嫌ったということのようですね。EUやアメリカに経済成長を依存している今の中国の状況を見れば当然といえば当然ですが、自ら拡大する上海協力機構を葬り去った観がしないでもないです。
逆にロシアは、今後も国際社会へ向けて自らの主張を発表する場として大いに利用すると。来年はロシアが議長国のようですし。
Posted by タソガレ at 2008年09月06日 17:48
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