9月9日、上海総合指数がついに2,200ポイントを割り込み2,145.78ポイントで引けました。1ヶ月ほど前、北京オリンピックが始まった8月8日から21%以上の下落です。
なーんてこと書いても、いまいちピンとこなかったりするのですが、ここ数ヶ月のあちらの経済に関する記事を眺めていると、非常に切羽詰った、ヤバイ状況に追い詰められつつあるということがよくわかります。危機意識は高いものの手詰まり感からの焦りをプンプン感じます。
表題の件。
表題は『本当にヤバイ!中国経済』の副題から一部つまんでみました。この本の中に次のような一節があります。
1989年に起きた人民解放軍による中国人学生や市民の虐殺、いわゆる六四天安門事件の原因について、単純な中国人による民主化運動の弾圧と捉えている日本人は多いのではないだろうか。確かに始まりは民主化推進派学生による、胡耀邦の追悼集会であった。だが、事が大きくなったのは、当時の中国国内の物価高騰に怒りを覚えていた市民や労働者が、学生たちに合流したからなのである。
中国は1987年、1988年と、2年連続で2桁の物価上昇を記録した。このハイパーインフレーションに抗議する市民たちが学生たちに合流したことで、最終的に人民解放軍による武力弾圧に至ったのだ。
『本当にヤバイ!中国経済』第四章 崩壊へのカウントダウン(P.146)
この一節を思い起こさせてくれた記事を新華網より。
1998年と比べると、今の中国の経済情勢は更に複雑なものとなっている。周知の通り、1992年に中国経済は加熱局面が現れ、1993年になり直ぐにマクロコントロールが行われ、1994年にはマクロコントロールと共に改革措置が行われ、1996年になり中国経済は基本的に”軟着陸”を実現した。
なので、1997年にアジア金融危機が爆発した際、当時の中国経済が直面した危機は一方向のもので、政策の選択も一方向――積極的に財政政策を実行するというもので、経済を押し上げることができたのだ。
しかし、現在我々が直面している危機は、双方向、つまり国内のインフレとアメリカのサムプライム危機という双方向のものなのだ。
内が熱く外が冷たい、このため中国の経済政策の選択もひとつではなく”両難”という立場にあり、方向と力点共になかなか把握しにくいという状況なのだ。
過去数年間、一番良い機会を逃す
このような”両難”局面を生み出した原因は、国内外の要素があって、客観的原因と主観的原因とがある。
その原因の中のひとつは、我々が過去数年間にいくつかの最も良い時期を逃したということがある。
一つ目、創業市場を推し進める最も良い時期を逃した。
A株市場が比較的良好だった時期の2年間のうちに創業市場を推進していれば、中小企業への新たな融資ルートが切り開かれただけでなく、更にA株市場の資金が流れ込み、A株市場のバブルを軽減できたかもしれない。今のところ、A株市場の価格は大幅に下落し、市場は非常に脆く、この状況で創業市場を推し進めると、A株市場にとっては泣きっ面に蜂となる。しかし、創業市場を推し進めなければ、中小企業への新たな融資ルートを提供することができず、中小企業融資という困難な問題は解決することが難しくなる。
二つ目は、預金保険制度創設の最も良い時期を逃した。
経済情勢が比較的良好だった2年間、銀行の不良債権が急速に下がり、国家財政収入が急速に増加していたうちに、預金保険制度を推進していれば、比較的容易に行えたかも知れない。一旦経済が曲がり角、成長速度が鈍化し、銀行の不良債権が再び上昇し、国家財政収支の状況に逆転が発生し始めてから、預金保険制度を推進すると、難易度が非常に高くなるのだ。
三つ目は、資源価格のバランスを取り戻すのに最も良い時期を逃した。
一般商品の価格レベルが比較的低い2年間のうちに資源価格のバランスを取り戻していれば、抵抗力は比較的小さかったかもしれない。しかし、今は物価レベルが高い状況なので、資源価格のバランスを取り戻すには比較的大きなリスクを背負わなければならない。しかし、資源価格のバランスを取り戻さなければ、資源不足の状況は更にひどくなるだろう。
要するに、様々な原因によって、直面している経済情勢の判断に非常に大きな相違が存在するために、方策を決するのが”両難”というわけである。
当面の経済情勢:成長の下落なのか、それとも依然として過熱するのか?
現在の情勢について、学術界には現在、非常に大きな相違が存在している。
まず、経済成長の動きに関して、2種類の異なる見方がはっきりと存在している。
1種類目は、当面の経済成長の下落を心配しているもの。理由は充分で、世界経済の成長速度が緩くなり、自然災害による経済成長へのマイナスの影響、不動産、証券市場の動揺がもたらす経済成長への影響が含まれている。その他、企業の生産コストの上昇、中小企業への貸し渋りによる資源性製品価格のねじれによる供給不足などなどだ。
その他、外需方面では、国内の輸出税還付率、人民元価格の上昇速度の加速による中国の輸出への影響、投資方面では、科学的発展観の実行によって、地方政府の投資熱が弱まったと考えている専門家がおり、消費方面においては、専門家に言わせると、物価の上昇が消費の成長を抑制しているという。全体的に言うと、これらの視点を持つ人は、緊縮しすぎること、調整しすぎる局面が出現することを心配し、金融緩和、経済を刺激し拡張性貨幣政策を実行し――経済成長速度を少しずつ緩めよと主張している。このような声は、現在のところ少しずつ大きくなりつつある。
もうひとつの異なる視点は、依然として経済成長が過熱する局面が現れることを心配しているというものだ。主な理由は、投資の角度から見ると、政府が代わるたびに、政府は投資熱を増強させていて、地方(主に中西部地区)を調査した何人かの専門家は、今年になってから、いくつかの突発事件によって、投資熱を抑えていたいくつかの地方で、例えば1月の大寒波被害、3月の”チベット独立事件”、5月の地震災害など、オリンピックの後で、地方の投資熱が依然として爆発する可能性があるという。
消費の角度から見ると、ここ数年の公務員の給料の上昇によって、国有企業の職員の収入の増加、農民工の最低賃金基準の上昇、更には農業税などの減免、都市居住者の収入の上昇によって消費スピードが加速するというものだ。
更にオリンピック経済が投資期から消費期に移ったことで、消費速度が促進される。このような視点の主張は、緊縮的な貨幣政策と穏健な財政政策の実行を堅持すべしと主張している。
その次に、物価の動きに関して、現在は2種類の違った見方が存在する。ひとつは、今年の物価動向は、上下しながら物価は持続的に下がるだろうというもの。もうひとつは、インフレは高まり下がらず、さらに持続的に高くなるだろうというものだ。
インフレが高くなり下がらないという見方は、更に2つに分かれている。ひとつは、主に供給の角度から見ていて(”供給派”と呼ばれている)、当面の物価高は構造的、輸入型で、貨幣政策は無用で有害であるだけでなく、経済成長の損害となるので、ただじっと我慢するしかないというもの。
もうひとつは、需要的観点から見ているもので(このため需要派、貨幣派と呼ばれている)、インフレはインフレであって、構造的であるとか構造的でないというものではなく、現在のインフレは、結局は貨幣の供給多可がもたらしているものであるというものだ。
更に、現在の物価上昇は、国際原油価格、食糧価格、資源価格の暴騰に中国国内の需要が過度に”触発”されたもので、中国国内に過度に影響したもので、これは”輸出商品の国内販売への転化型”インフレであると認識している人もいる。
そのため、この見方の人々は、引き続き金融を緊縮し、インフレを制御することが最も肝心な点であると主張している。
”停滞”と”膨張”のそれぞれの可能性は?
これ以外にも、経済全体の動向に関して、経済成長とインフレの組み合わせで、いくつか異なる意見が存在している。
一つ目は楽観派で、次のように見方をしている。中国経済全体は過熱しておらず、ただ輸出だけが過熱しており、このためアメリカのサブプライム危機によって中国の輸出が低調となったが、この温度でちょうどよいのだという見方。二つ目の視点は、現在は一時的にインフレだけが膨張しているだけで、インフレ圧力が下がれば、経済成長も一時的に下がるが、これは願ってもないことだというもの。もうひとつの見方は、基本的に良好で、経済成長が緩やかで、コントロール効果が顕著に現れており、これは現在の経済成長速度の下落は、実際にマクロコントロールが目指していた目標でもあるのだというものだ。
一方、悲観派の視点は、主に3つの心配あるいは3つのリスクが存在すると見ている。
1つ目は”停滞(デフレ)”のリスクだ。主な心配は、外需が冷え込み、内需が過度に緊縮し、この2つが合わさり中国経済の成長速度が下落し、更に中国株式市場の下落、不動産市場が冷え込み、日本のバブル経済がはじけた後に出現した経済的停滞局面とよく似た状況が出現するかもしれないことを心配しているというもの。
2つ目は、”膨張(インフレ)”のリスクだ。インフレを心配するあまり、経済成長を蔑ろにすることで、この観点の主なものは、経済成長の下落に過度に反応し、2003年にSARSの衝撃によって緊縮コントロールを中断したことで、2004年の過熱を招いたという同じ轍を踏まないか心配しているというものだ。
3つ目は”滞膨(スタグフレーション)”によるリスクだ。物価の高騰を心配する一方で、経済成長の下落、失業者数の増加を心配するというものだ。この観点の人々は、現在引き起こしているインフレの要因は、国内的に言えば、人口増加、耕作地の減少が食品価格の高騰を押し上げていることが要因で、国際的に言えば、ホットマネーが株式市場から大口商品市場に流れ、食糧価格を押し上げ、原油価格が膨張し、輸入型インフレを招いていることが要因であると見ている。”停滞”を招いている主な要因は、国内的に見れば、2007年下半期までの投資熱が一転して、2008年中期には明らかに減退し、生産能力の集中的放出が要因で、国際的に見れば、アメリカのサブプライム危機、経済衰退が中国の輸出を阻害していることだと見ている。
しかし、如何にしてスタグフレーションを防止するかという問題においては、2つの異なる見解が損題する。1つ目の意見は、現在の中国のスタグフレーションのリスクは、アメリカの当時のものとは違い、中国は物価の上昇によるコスト押し上げ、貨幣政策の機能不全に直面しており、そのため、ただ成長を保ち、就業を保つしか手がないというものだ。もうひとつの観点は、アメリカで1970年代に出現したスタグフレーションの原因の一つに、ケインズ主義政策を実行したというものがあり、持続的に貨幣の供給量を増やすことで成長を保ち、就業を保ち、最終的にスタグフレーションの形成を招いたというものだ。
現在の経済動向をいかに判断するか、”停滞”なのか、”膨張”なのか、それとも”スタグフレーション”なのか、という問題には、様々な見方が存在している。どの判断が妥当なものなのだろうか?
新華網「専家分析当前中国経済的風険与対策:治滞張最困難」
<下>へ続く。



