10月4日のNHKニュースより。
アメリカ政府は、最新鋭の地上配備型の迎撃ミサイルなど総額6800億円相当に上る武器を台湾に売却する計画を議会に通知し、これに対し、中国政府は、内政干渉だなどと強く反発しています。
アメリカ国防総省は、3日、総額65億ドル、日本円にしておよそ6800億円相当の武器を台湾に売却する計画を議会に通知し、議会からの承認を得る手続きに入りました。売却計画には、中国が増強している弾道ミサイルに備えた最新鋭の地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」330発や攻撃用ヘリコプター「アパッチ」30機などが含まれ、国防総省は「台湾海峡の軍事バランスを維持するためだ」などと説明しています。今回の売却はブッシュ政権が2001年に決定した大型の武器売却の一部で、中国外務省の劉建超報道官は談話を発表し、「粗暴な内政干渉で、中国政府と人民の強い憤慨を招くだろう」などと強く反発しました。台湾への武器売却は、陳水扁前総統の独立志向の強い政策にアメリカとしても懸念を強めていたことや、台湾で武器購入予算の成立が遅れたことなどから先延ばしになっていたもので、アメリカ政府としては、ブッシュ政権の任期終了直前というタイミングを選ぶことで、米中関係への影響を最小限に抑えたいというねらいもあるとみられます。
NHKニュース「米が台湾に武器売却 中国反発」
今回、議会に通知された商品は下記の6つ。
- 車両型迎撃ミサイルシステム:迎撃ミサイル182発、20組の迎撃発射台など約4,700万ドル
- 戰機零組件:F-5、F-16に搭載されるもの、総額およそ3億3,400万ドル
- E2T早期警戒機の性能アップ:現有のE2をホークアイ2000にグレードアップ、総額およそ2億5,000万ドル
- アパッチ攻撃型ヘリ30機:総額およそ25億3,200万ドル
- パトリオット3ミサイルシステム:パトリオット3ミサイル330発など、総額およそ31億ドル
- 潜水艦用魚雷32発など:総額およそ2億ドル
これらの中で、戦闘機と潜水艦関連で台湾側の要求より低い回答となっているようです。台湾側は、F-16C/Dとディーゼル潜水艦を要求していましたが、回答はそれぞれ既存兵器のアップグレードに留まっています。『WSJ』は、今回の回答は台湾側の要求の半分だと記しています。今回通知されなかった兵器について台湾国防部は、引き続きアメリカ側と協議を続けると発表しています。
アメリカが台湾の要求を丸呑みしなかった点に着眼した、台湾聯合報系アメリカ華僑向け中文メディア『世界日報』の記事をば。
半年近く引き伸ばされてきた7+1項目の武器購入案を、アメリカがついに一部同意し、台湾アメリカ関係を修繕したい馬政府にとって心強い知らせであるだけでなく、国家安保部門も興奮が言葉に現われた。しかし、通過した時期や内容を見ると、台湾アメリカ関係は依然として暗い影が漂っていて、「しっかりとして良好」な状態までは一段の距離がある。
アメリカは、国内経済の苦境と中国からの圧力に直面している中、これらの売却項目に同意した理由は、それほど複雑ではなく、「台湾関係法」の承諾を維持しつつ、中国を害することなく、最大限利益をあげ、更に米中台の戦略的トライアングルにおいて主導権を維持するというものだ。
しかし、アメリカは、議会の延長の最後の一日で法案を送るという選択を行ったのは、表面的な理由は部門を越えて審議するためだが、実際は、発注書はすでに早くに提出されていて、早く審議しなければならなかったのだが、最後まで引っ張ったのは、馬政府の出鼻を挫くだけのものだ。
もちろん、国民党が下野していた時期に武器購入に関する政治的発言を避難したり、あるいは国民党が与党となった時に国家安保の高層が武器購入についてリークしたことも、アメリカの感情を不快にさせた。潜水艦案について述べると、アメリカ大統領ブッシュは2001年に売却に豪快に同意していたが、台湾の政党が泥沼の末に政権交代が行われると、台湾が再び「青信号」を否定したことを評価し、アメリカを大変不快にさせた。
馬政府は、両岸関係と対米関係は同等に重要で、処理の手法と繊細さは少しの間違いも許されないということを用心すべきだ。武器購入の一部が通過し晴れ間がのぞいたのに続けて馬政府は、積極的にアメリカの民主、共和両党との友好相互信頼を構築しなければならず、来年どちらが与党になるか関係なく、台湾アメリカ関係を安定した新たな時期に進めなければならない。
世界日報「下馬威 美台關係湧暗潮」
台湾外交は実質、米中2カ国の間のみにしか存在しないようなものですが、その両者との関係を対等にしなければならないというぐらいに今は大陸に傾いているということを今更ながら再認識させられます。
それにしても下院で金融安定化法案が否決されたことを受けて会期が延長された10月3日に武器売却計画が提出されたということは、金融安定化法案を1度否決することは予定調和だったということでしょうかね。いずれにせよギリギリのタイミングで提出するつもりだったということのようです。
提出された武器売却計画は、30日以内に異議申し出がなければそのまま通過する運びのようです。
これに対して中国側の反応はNHKニュースにある通り、4日に外交部が声明を発表しております。
10月3日、アメリカ政府は中国側の再三にわたる厳正な抗議を顧みず、”パトリオット3”迎撃ミサイルシステム、”E-2T”早期警戒機アップグレードシステム、”アパッチ”ヘリコプターなどの武器装備、総額64.63億ドルに達する売却を台湾に行うことを決定したと議会に通知した。中国政府と人民は、断固として反対し、これはアメリカ側が中国の利益と中米関係の行程をひどく傷つけることとだと厳しく非難するものだ。外交部副部長・何亜非は、すでにアメリカ駐中国大使館臨時大使を呼び出し、アメリカ側に強烈な抗議を提出している。
中国側は、断固としてアメリカが台湾に対して武器を売却することに反対しており、この立場はこれからも明確であり断固として動くことがないものである。アメリカ側が上述の先端武器を台湾へ売却することに同意したことは、中米の3つの共同コミュニケ、特に”八・一七”コミュニケの原則に対する深刻な違反であり、中国の内政に対する粗暴な干渉で、中国国家の安全に危害を及ぼすもので、両岸関係の平和的発展を妨害し障害するもので、中国政府と人民が強烈に憤慨するのは当然のところである。
我々は、世界に中国は1つしかなく、台湾は中国の一部であるとアメリカ側に警告してきた。如何なる者も中国政府と人民とが国家の主権と領土保全とを維持し、外来の干渉に対して反対するという断固たる意志を揺り動かすことはできない。如何なる者も両岸が交流協力を推進し、両岸関係の平和的発展の新局面を切り開くという歴史的潮流を妨げることはできない。
我々は、台湾への武器売却がもたらす深刻な危険性と、1つの中国政策を切実に履行し堅持し、中米3つの共同コミュニケを遵守し、”台湾独立”反対を承諾し、直ちにこの措置の誤りを正し、関連する台湾への武器売却計画を撤回し、米台軍事連係を停止し、両岸関係の平和的発展に干渉することを停止し、中米関係と台湾海峡の平和と安定に更なる損害を生むことを避けるよう再度アメリカ側に督促す。中国側は、更なる反応を示す権利を保留する。
外交部「外交部発言人劉建超就美政府通知国会决定售台武器発表談話」
これまでの武器売却時の反応がどのようなものであったのかわからないので、この声明がどのぐらい強いものであるのかわかりません。ただ、最後の一文が「今日はこれぐらいないしといたるわ」という捨て台詞に聞こえなくもないです。
温家宝は、つい先日、国連での演説のためにニューヨークを訪れた際に、友好団体が主催する晩餐会に出席し台湾問題について次のように述べたばかりでした。
台湾問題は絶えず、中米関係の中で最も核心的で、最も敏感な問題だ。歴史が証明していることは、中米関係は順調に発展することができるかどうかは、非常に大きな部分で台湾問題を適切に処理できるかどうかにかかっているということだ。
今日、台湾の新しい指導者は”九二共通認識”に回帰し、海峡両岸の関係は、緩和と改善という積極的な形成が現われ始めている。海峡両岸関係協会と海峡両岸基金委員会は、協議中断から9年ぶりに初めて会談を行い、両岸は週末の直行便と大陸観光客の台湾訪問を順調に実現させ、更に多くの両岸人員と経済文化交流の重要な措置を現在協議している最中だ。
現在、そして今後しばらくの間は、海峡両岸の関係発展にとって肝心な時期である。我々は元々、”相互信頼を築き、争議を棚上げし、相違の中から共通点を求め、ウィンウィンの関係を創設する”という原則に基づき、”九二共通認識”の基礎の上に、実際に各種問題を解決することが、両岸関係の更なる発展を生み出す条件であると信じている。
5年前、ブッシュ大統領は”台湾独立”に反対する立場を公に表明し、国際社会において積極的な影響を生み出し、中国人民の賞賛と尊敬を獲得し、中米関係を引き続き前向きな発展へといざなった。5年後の今日、我々はアメリカ側が承諾を遵守し、1つの中国政策や中米3つの共同コミュニケを堅持し、”台湾独立”に反対し、両岸の関係改善を支持し、共同発展を実現することを望んでいる。これは、両岸人民に有利であり、中米関係に対して有利で、世界平和にとっても有利なのだ。
新華社「温家宝:中美関系很大程度上取决于台湾問題」
「台湾の新しい指導者」なんていう、中華民国総統を認めるような発言は今まであったでしょうかね。穏健路線のイメージ戦略の一つなんでしょうけど、ちょっと気になる単語であります。しかし、どこまでがデキレースなんでしょうかね。
ちなみにこの訪米で温家宝は、キッシンジャーとビル・ゲイツと会見を行っていましたが、アメリカ政府現職とは会見しておりません。出来なかったのか、しなかったのかはわかりません。



中国が脅すのは当面、アメリカと日本だけです。
もっともそれで具体的な影響を及ぼすなら、台湾独立派を利するだけなので台湾独立阻止には、いかなる手段をも考慮すると言う、口だけだと思いますよ。
李登輝さんが沖縄で「尖閣諸島は日本の物」なんて発言しても反応薄でしたし。
対日関係に限れば、安倍〜福田で築いた友好ムードを推し進め、できるだけ波風を断たせないようにという向きは思いのほか強いのではないかと。
実は、中共がここまで日本に対する態度を軟化させた理由はなんだろうとうのが無謀にも経済関連記事をあさり始めた動機だったりします。
ついでに・・。
対日外交の先陣に向こうは反日を看板にしている李肇星をあててきていますね。中国国内世論を睨んだうまいやり方だなぁと思っております。
麻生さんがメディアに対して李肇星とのトイレ会談を何度も話しているのと同じことを中国では李肇星がやっていていたりもします。
同じく引退した唐家センじゃなくて李肇星というのも意味深だなぁ、なんて思っております。
何の意味もなく李肇星が単なる目立ちたがりというだけかも知れませんが。