広東省、温家宝を蔑ろにす・・・?!

2008年11月19日

こんな論評記事を見つけた。

人々はおかしいと思った。2008年11月16日の朝、広東の各メディアが、温家宝総理が汪洋の中小企業は”時代遅れの生産能力だ”という間違った議論に反駁したとの報道の中で、”中小企業を支える力を増大する”よう要求した際に、広東省省政府は、貫徹しますといった類の反応を何ら示さず、更には各メディアの社説や評論でも、中小企業問題を支持する文字が一字もないという異常な事態となった。午後に発行された『羊城晩報』は、なんと「汪洋、広東は大型企業を優先的に歓迎することを堅持す!」と紙面を大きく割いて報じた。これは驚異的な表明で、つまり、汪洋は大胆にも温家宝に逆らったということなのだ。

『羊城晩報』の当日のトップニュースは、「胡錦濤、世界経済サミットに出席す」で、その次が「汪洋、黄華華、李栄融と会見し大型企業の広東への投資を歓迎す」で、3番目が「温家宝、珠江デルタを励ます」だった。このような紙面は構成は人々に、温家宝総理が広東で調査研究を行い、中小企業の発展を支えるよう力を入れなければならないと強調したにも関わらず、広東省委員、省政府は依然としてこれまでの方針のままに、大型企業が広東に投資することを歓迎していると思わせた。

汪洋は、温家宝が今回、「広東省での調査研究の際に中小企業の発展を支えるよう力を入れなければならないと強調した」ことに対して、納得しておらず、反対と明言はしていないものの、広東のメディアに「汪洋、黄華華、李栄融と会見し大型企業の広東への投資を歓迎す」の記事で、「温家宝、中小企業の発展支持を要求す」の重要性を押し下げさせたことで、”温家宝論”への不満を暗示していると人々に思わせた。慣例では、温家宝の今回の広東での調査研究のニュースはトップ扱いで、胡錦濤の世界経済サミット出席のニュースが”ヘッドライン”になって、一歩引いてトップとしない場合でも、少なくとも2番目のニュース扱いとなる。『羊城晩報』は広東省委員会の機関紙のひとつで、このように新聞常規に背き、引き続き大型企業を重視し、中小企業を軽視したことは公然と温家宝に逆らったということで、このような大胆なことを自身で決めるなんてことはありえないことで、後ろ盾がいるに違いないのだ。

汪洋が、このように大胆に温家宝に逆らうということは、高層の支持という背景があるのだろうか?いとおもしろきことかな。

新世紀新聞網「汪洋頂撞温家宝:广東優先歓迎大型央企

china0266.jpg右のあるのが『羊城晩報』の16日付の第一面(画像クリックで拡大)なんですが・・・、温家宝の扱いが小さい・・・ですかね?文字の大きさを見ると、胡錦濤の金融サミット出席に次いで扱いが大きいように見えますが、文字の大きさではなく紙面での記事の位置で、その重要度に違いがあったりするのでしょうか。紙面の左端にあるのが、汪洋の大企業の投資を歓迎するという記事です。

ただ、ネット上の記事の並びでは、トップに胡錦濤、2番目に汪洋がきています。そして温家宝は3番目ではなく、6番目の位置にあります。

また、温家宝の広東視察を伝える記事では、汪洋、黄華華の広東団派ツートップが随行していたにも関わらず、彼らの反応は確かに一文字もありません。

論評記事の中でも触れられていますが、温家宝と広東省が意見対立しているのではないかという見方は、14日晩に東莞で開かれた座談会の席上で温家宝が中小企業の救済をぶち上げたのに対して、同じ14日に広東省トップである汪洋が、湛江市などを視察した際に次のように述べたためです。

調査研究の際、汪洋は、「現在みなさんは、広東経済が困難に遭遇していること、企業が倒産していることに非常な関心を寄せています。私の判断によれば、これらの企業は全体的に言って、圧倒的多数は立ち遅れた生産能力のものだ。立ち遅れた生産能力のものは、市場の周期的な波動によって淘汰される、これは、市場経済の規律が作用しているものだ。30年前、我々は市場経済を選択し、市場経済による急速な発展がもたらした快楽を享受してきた。今日、我々は市場の周期的波動がもたらした苦痛に対しても勇敢に立ち向かわなければならないのだ。1997年のアジア金融危機以降、広東はひとつの姿勢で猛スピードで走り続けて10年以上、現在は幾分速度を緩め、姿勢を少し調整し、少し長距離走の技術を高めることは、至極正常なことなのだ。今、積極的に産業構造の調整を行わなければ、明日の産業構造の調整はありえないのだ。現在、我々はまさにこのような調整を経験しているのだ」と述べた。

「産業構造の調整の過程で、政府は何をなすべきなのか?」、汪洋は、各級政府のキーは、社会保障機能を発揮し、職を失った労働者に適切な居場所を与えることができるかということなのだ。しかし、政府は市場経済が許さないようなことはできないし、時代遅れの生産能力を救うこともできないと答えた。「しなければいけないことは次のようなこと――伝統産業を転換とレベルアップを促進し、現代産業システムを建設することだ。先進的な生産能力を築き上げることだ」と汪洋は強調し、我々は市場の周期性波動がもたらす挑戦から学ばなければならず、真剣に問題のありかを分析し、問題を解決する方法を模索し、自らをイノベーションし、体制を刷新し、これは現代産業システムなどを築く重要な戦役であり、産業発展の転換とレベルアップを実現し、広東の経済と社会を更に良い、更に速い発展を推進しなければならないのだと述べた。

中国環境報「汪洋指出,在産業結構調整過程中 政府不能救落后生産能力

凄いですね。なかなか日本でもここまで思いきった発言は聞きません。もし言えば、「弱者切捨てだ!」、「格差容認だ!」、「庶民の気持ちがわからない奴なんぞ、政治家を辞めちまえ!」とマスコミが食いつくことうけあい。それを”社会主義”を掲げている国最大の地方政府のトップがのたまったわけです。

しかし、両者が対立しているというより、言葉が過激かそうじゃないかだけの違いで、温家宝も汪洋も言っていることは同じです。ただ、最大の市場経済の最前線で業務を司っている者とイデオロギー色が強い北京の中南海で鎮座している者の現状認識の違い、立場の違いが違う言葉を吐かせたのかも知れません。

広東省トップの汪洋は、今年初めの大雪害の際に、農民工らが広州駅に殺到した際に迷わず軍隊の出動を要請したほどの、現実主義的で決断力のある人物です。この時は、彼が農民工らに広東で年越しをお願いし、一旦混乱を収拾したのですが、中央が「○○までに復旧させる」と発表し、温家宝まで視察しに来て「もう少しで帰れます」なんて言って大混乱を招いたことが、軍隊の出動を要請させたのでした。

今回も、「甘いこと言うんじゃねーよ、こっちこっちのやり方があるんだよ」という苛立ちから上記のような厳しい言葉を吐かせたのかも知れません。最初に紹介した『羊城晩報』の温家宝の広東視察を報じる記事には、「1年で3度目の訪問」と副題が付いています。本音では「3度も来るな」ということなのかも知れません(w

北と南とで経済の落ち込みに対する危機感とその対応に温度差があることは事実で、この温度差が今後ドンドンと広がっていくと面白いことになるかも知れません。

彼のような人物が、豪腕を思う存分振るうだけの地位と力とを与えることのできる中共であるのなら、ほんの少し明るい未来が待っているのかも知れません。その前に華南一帯が・・・一緒に沈む前に分離を選択したりして。

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posted by タソガレ at 23:52 | Comment(6) | TrackBack(0) | 経済関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
温家宝、またこっち来ますね。
汪洋とサシで説教ですかね。
ゴタゴタは会社運営に困るんですけどネ。
Posted by こばん at 2008年12月04日 17:31
なんと、また来ますか。
四川大震災並みの危機感を広州の状況に抱いているということでしょうか。

朝令暮改。
ネットを通じて眺めているだけでも、最近この傾向が特に強いように見えるぐらいですから、現地で事業を営まれている方は、さぞかし・・・というところでしょうか。
Posted by タソガレ at 2008年12月05日 00:00
富みに民主を公言する事の多かった温家宝。
今日の改革解放30周年記念式典で
『社会主義から離れられない』
とも。

怖い人から叱られたんでしょうか。
Posted by こばん at 2008年12月05日 21:42
> 今日の改革解放30周年記念式典で
こんな式典があったのですか。

> 『社会主義から離れられない』
特色ある社会主義ですからね。

周近平が広東で講話を行ったようですが、温家宝、汪洋、どちらにも付かずという評のようです。
となると、実質温家宝の負けということですかね。総理と地方政府の長が同列で比較されること自体が・・・。
グダグダですね。
Posted by タソガレ at 2008年12月06日 11:52
習近平とツルんで行脚してる李長春は2002年まで広東省党委書記だったそうですね。
温家宝とはライバル関係だっただけに、
華南だけの話題かもしれませんけどここはちょっと注目ですね。
Posted by こばん at 2008年12月08日 13:48
国際エイズデーの視察には、胡錦濤と李克強の団派コンビがつるんで視察してましたね。

次から次ときな臭い匂いが方々からして、記事アサリをしたい出来事が多すぎてパンク状態でございます。
Posted by タソガレ at 2008年12月09日 00:02
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