金本位制復活を警戒せよ

2008年12月06日

12月3日付『人民日報』の論評記事を新華網より。

最近、西側でひとつの見方が出現している。それは、米ドルを核心的な固定為替相場制とする”新ブレトン・ウッズ体制”を設立し、”金本位制”を復辟せよという主張だ。一部のアメリカ政府要員や学者が、欧州を訪問した際に何度も公言していたこの理念は、欧州でも一定の支持を得ているようだ。アメリカ大統領選挙が終了し、メディアもこの風潮を取り上げ始めた。アメリカの『クリスチャン・サイエンス・モニター』のウェブサイトは先日、アメリカ経済研究所研究員ウォーカー・トッドの、アメリカ政府は、金融危機の対応として”金本位制”の復活を討論すべきであると明確に提案している一篇の文章を掲載した。

”金本位制”の復辟思想の出現は、決して偶然なものではなく、その最も深い背景は、アメリカの金融危機が米ドルの信用の失墜を引き起こしたために、アメリカの金融戦略家たちは”金本位制”に注目し、引き続きアメリカが世界の金融体系をリードしようとしているということなのだ。アメリカの欧州の盟友たちは更にはっきりと、アメリカと”トップの座”を争うことは現実的でなく賢明でもなく、対等に振舞うことが最上の策とし、追随する態度をとっている。

米欧が”金本位制”の復辟を選択することを物質的に支えているものは、米欧が現在、世界のほとんど多数の金備蓄を掌握しているということがある。IMFの国際金融統計データベースが2008年6月に公表したデータによると、世界の金備蓄は29,813.1トンになり、その備蓄トップ10は、アメリカが1位で8,133.5トン、占有率で27.28%、ドイツが2位で3,417.3トン、占有率11.46%、IMFが3位で3,217.3トン、占有率10.79%、次がフランス、イタリア、スイス、日本、オランダ、中国、そして欧州中央銀行の順となっている。中国は9位で、金の備蓄は600トンで、占有率はたった2%しかない。

当然、現在の世界通貨構造の条件の下、米欧の金融の専門家たちは、非常にはっきりと、復辟後の”金本位制”は、かつての”金本位制”ではなく、金を構成の一部とする”部分的準備金制度”のようなものであるとしている。このような制度の場合、世界各国の貨幣発行量は各国の金備蓄の制限を受けることとなり、貨幣供給レベルである程度の経済成長速度を制限する作用をもたらすのだ。この制度は少なくとも以下のような結果をもたらすこととなる。一つ目、米欧の経済成長速度が低いため、この”部分的備蓄金制度”だと米欧国家の貨幣供給を満たすことができるので、米欧経済には深刻な制限の作用が発生することはない。しかし、中国やインドなどを含む広大な発展途上国にとっては、金の備蓄が少ないために経済の急速な成長を満たすだけの貨幣供給を行うことができなくなる。発展途上国の貨幣発行量を制限するということは、発展途上国の実体経済と基礎的な建設の発展の歩みを阻害することになり、これは発展途上国にとっては極めて不利な世界貨幣制度設計なのだ。2つ目に、発展途上国は、大量の外貨準備高を高値で金に換えざる得なくなり、これにより米欧は世界の米ドルとユーロの支持を取り戻し、引き続き西側が主導する国際金融システムを維持できるようになるのだ。これは国際社会が普遍的に希望している、現行の国際金融システムを実質的に改革しようとする方向に反するものだ。

少し前、ドイツの週刊誌『シュピーゲル』が、6人のノーベル経済学賞受賞者らと資本主義の未来についての討論を掲載していた。この世界のトップクラスの経済学者らの中で、広大な発展途上国の利益と公正に対峙しなければならず、将来の国際金融の新たな体制の形成は、広大な発展途上国の関心を考慮しなければならないと声を大にして述べたのは、スティグリッツだけだった。

当面、厳しさを増す金融危機と対面し、国際社会は真摯に手を携えてはじめて、共に難関を潜り抜けることができ、少しずつ多元的な国際通貨体制を築き上げていくことができるのだ。一部の先進国が、他者を損なってでも自己の利益を求める思想を本当に棄て、協力して共益のための新たな新思考を採用し、公平で公正、包容力と秩序ある国際金融の新たな秩序の設立を望むことこそが、先進国と発展途上国の共同の利益に符合する正道なのだ。(呂 鴻)

新華網「警タ“金本位”復辟思潮(人民日報)

と言いつつ、米中経済対話を前に元安誘導で牽制する中国。鍔迫り合っているということでしょうか。

人民日報が取り上げるほど米欧で金本位制復活への議論は活性化しているのでしょうかね。単に敵愾心を煽っているだけでしょうか。よーわかりません。

金本位制についてぐぐってみたところ、こんなブログが記事がヒットしました。

全くもってわけがわかりませんが、ロスチャイルドについては、こんな連載があって、少しずつ読んでいるところだったりします。

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posted by タソガレ at 00:00 | Comment(5) | TrackBack(0) | 経済関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
金本位制を論じたCSMの記事は恐らくこれ(↓)だと思います。

http://www.csmonitor.com/2008/1115/p09s01-coop.html

この記事自体は、アメリカの中央銀行であるFedの資産がこの3ヶ月間で急膨張(2.5倍程度)していることへの一つの警告として、金本位制下ならそうはならなかったであろうことを述べたもののようです。また、金本位制下なら住宅バブルも発生しなかったのではないかと著者は論じています。

著者はアメリカのみを対象にして議論しており、中国など海外の国は扱っていないのですが、上記の引用文中の、

>発展途上国にとっては、金の備蓄が少ないために経済の急速な成長を満たすだけの貨幣供給を行うことができなくなる

というのは論理的には正しいと思います。

ただ、東アジアの某国は現在、世界第4位の経済大国になっても意図的に為替を減価させるなど「近隣窮乏化政策」的な姿勢を見せており、アメリカとの戦略経済対話でそのことを指摘されると、「アメリカは過剰消費を抑えるべきだ!」などと自分のことを棚に上げて逆ギレしているのを見ると、

>他者を損なってでも自己の利益を求める思想を本当に棄て、協力して共益のための新たな新思考を採用し、公平で公正、包容力と秩序ある国際金融

にその某国はふさわしいのかどうか考え込んでしまいます。
Posted by 歩厘 at 2008年12月08日 01:42
河村官房長官、領海侵入「極めて遺憾」=中国政府に抗議
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200812/2008120800642&rel=y&g=soc
河村建夫官房長官は8日午後の記者会見で、中国の海洋調査船が尖閣諸島・魚釣島付近の日本領海内に侵入したことについて「尖閣諸島は歴史的、
国際的にもわが国固有の領土で、中国艦船のこのような活動は極めて遺憾だ」と述べた。
調査船の領海侵犯が13日に福岡県で開かれる日中韓首脳会議に与える影響については、
「そういうこと(があると)は特に考えてない」と否定した。
これに関し、藪中三十二外務事務次官は8日、崔天凱駐日中国大使に対し、調査船の領海侵犯に抗議、
領海外への即時退去を求めた。北京に滞在中の斎木昭隆外務省アジア大洋州局長も武大偉中国外務次官に抗議した。 (了)
(2008/12/08-17:56)
Posted by m at 2008年12月08日 18:33
> 歩厘さん。
どこも必死ということですかね。
中国に限らず世界中が自国の経済を守るために手段を選ばなくなりつつある、そういう国内世論を作ろうとしているということでしょうか。

サルコジのダライ・ラマとの会談もこの線上にあるように見えます。
新華社が率先してネット上で音頭をとって反仏運動が盛り上がっております。その割にはカルフール襲撃の報は聞こえてきませんが(w

中国に限りませんが、世界中がきな臭く、冗談抜きで背筋が少し薄ら寒く。



> mさん。
領海侵犯を犯したのは、国家海洋局所属の2隻、海監46号と海監51号のようですね。
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/12/2008120801000458.htm

簡単に検索してみましたが大陸ではまだ報じられていないようです。
香港メディアは、日本政府が午後に「抗議」したところ外交部は「事件は関知している」と答えたと報じています。
また、外務省によると「直ぐ本国に連絡致します」と答えたとあります。
第一声が「我が国固有の領土であり問題ない」とのテンプレ回答ではない点は要注目かと。
また香港メディアは、日本政府が中国船の退去を「促した」という報道と「抗議した」という報道に割れております。
実際は「抗議」です。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kinkyu/2/20081208_200736.html

ガス田合意後の今年7月に海事局が大船団を組んでガス田付近を航行するということをやらかしていたのですが、この時は日本領海はおろか、中間線をも越えていませんでした。
今年2月に「東方紅2号」が日本EEZ内に侵入したときと状況が似ているように思います。

首脳会談を控えきな臭く、明日以降の外交部の反応などなど、要注目です。
Posted by タソガレ at 2008年12月08日 23:04
一応これも貼っておきます。

香港のテレビ局、鳳凰電視台はこのほど、「中国人民解放軍が魚釣島(尖閣諸島の中国語名)に
進攻すれば、日本に完全勝利できる」などとする記事をウェブサイトに掲載した。
台湾メディアの記事を引用した。解放軍の海軍陸戦隊と陸軍機械化師団が共同作戦を
実施すれば、日本の自衛隊よりはるかに強力な戦闘力を発揮し、尖閣諸島を「回収」できるという。
台湾軍関係者によると、中国解放軍は浙江省の島しょ部に台湾、東シナ海、南シナ海の島への
上陸作戦などにも対応できるよう、大規模な訓練基地を築き、訓練を続けている。

同基地での訓練により、中国解放軍はすでに台湾島北部への上陸作戦能力、尖閣諸島への
「快速な」上陸作戦の能力を得たという。

http://excite.co.jp/News/china/20081208/Searchina_20081208080.html
Posted by m at 2008年12月09日 00:00
> mさん。
探した方がまずいのか、元記事が発見できません..orz

ただ、麻生内閣の閣僚の大多数が日華(中華民国)議連に属していることから、日本と民国との関係が改善し、双方で尖閣沖について何らかの合意がなされ中共が蚊帳の外になるのではないか、といった記事や尖閣諸島で両岸は共闘できるだろうか、といった、ある種、危機感を抱いている記事を目にしました。

全体的には、あちらさんが勝手に踊っているような印象を受けます。
Posted by タソガレ at 2008年12月10日 00:08
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