2009年は中国軍事の年

2009年01月09日

と題された香港紙『明報』の5日付のコラムをば。

新しい年の始まりに、中国の軍事ニュースが非常に多く、中国海軍護衛艦隊が近日中にソマリア海域に到達し、7つの巡邏区域を設立する。更に建国60周年を祝う大式典の閲兵指導小組が設立され、解放軍総参謀長・陳炳徳上将が統率責任者となったことから、外界は巨波二号潜水艦発射ミサイル、殲十戦闘機などの最新装備を大閲兵で見られる可能性が非常に高いと注目している。軍事委員会委員全体を統率する胡は、武装警察将校と接見し、突破と反テロ能力とを強化せよと命じた。

軍代弁者:解放軍は「辺境の利益」を保護す

『解放軍報』は昨日、1篇の署名入り文章で、中国の国家利益は伝統的な領土、領海、領空の範囲をすでに飛び越え、海洋、宇宙、電磁空間の開拓をすでに始めていると述べている。どのような国家利益の開拓であっても、解放軍の使命はそこに手を伸ばすことである。文章は、解放軍は国家の「辺境の領土」を守るだけでなく、国家の「辺境の利益」をも守らなければならないと強調している。解放軍の役割の転換についての論述としては、未だかつてないほど露骨なものであると言える。「辺境の利益論」は今後、おそらく解放軍の世界に対する理論の根拠となるだろう。同じ日、『解放軍報』は、3人の中米関係の専門家とのインタビュー記事『新たな歴史的基点において行うこと』を掲載し、主要な論点は、重大な突破はないが、軍側の代弁組織が討論していること自体が、解放軍の国家の政治、外交方面における分量をある程度増加していることを意味している。

これら以外にも、新設された国防部のスポークスマンは、国防白書を近日中に公表し「両会」における軍事予算の増額幅が世間の目を集めるだろうと頻繁に述べている。そして、先日の「胡六点」の中では、海峡両岸の軍事的交流を増強し、解放軍と国民党軍とがミサイルを撤収し、兵器購入などを停止し軍事交流による相互信頼を構築しようと提案している。様々な事柄が示していることは、2009年は中国の「軍事の年」となるということで、解放軍が非常に活発となり、中国が国際政治の舞台において軽視できない役割を担うようになり、中国が更にその軍事力を多方面に展開し、武力での威嚇を強め、透明性のある公開された交流のツールとなるということを示しているのだ。

孫嘉業

明報「中國評論:2009 中國軍事年

4日に『解放軍報』が掲載した、未だかつてなく露骨に軍事戦略の転換を謳いあげた記事をば。

2008年12月26日、国内外の広範な注目と期待の下、中国海軍艦艇編隊が遠くアデン湾、ソマリア海域で航行護衛行動を展開した。これは、中国が初めて海外に赴いて軍事力を用いて国家の戦略的利益を保護するものであり、中国軍隊が初めて海外に赴いて海上戦力を組織し国際人道主義の義務を履行するもので、中国海軍が初めて遠洋で重要な輸送ルートの安全を保護するものである。

陸地から大洋への、浅藍(沿岸)から深藍(大洋)への、海軍の遠洋護衛航行行動の小さな一歩は、我が軍が新たな世紀における新たな段階の歴史的使命の大きく踏み出した大きな一歩なのだ。

陸地の安全から海洋権益まで:国家の戦略的利益保護のために強固な保障を提供す

軍事力は、階級、国家、民族の根本的利益を護衛することにおいて、これまで直接的で重要な作用を発揮してきた。建国の初め、我が国の対外経済の依存度は高くなく、国家の安全と発展の根本的利益は大陸に存在した。陸軍を主体となす人民解放軍が、祖国の万里の陸地の辺境の防衛線を護衛する使命を担っている。海軍は新たに組織された軍隊で、近海の防御をその主目的とし、外敵が海上から大陸に侵入しえくることを防止するためのものだった。今日、海外貿易は、すでに実際に我が国経済の最も重要なものとなっており、海上交通ルートと重要なルートは、我が国経済社会の発展における”生命線”となっている。海上の軍事力を用いて国家の海洋権益を護衛することは、我が軍が国家の利益を護衛するという重要な措置であり、これは、新世紀の新段階における”3つの提供、1つの発揮”という歴史的使命の履行を鮮明に体現したものである。国家利益は、国家の生存と発展の必要性を総合したもので、軍隊の果たすべき使命の前提となるもので、職務を履行する最高の使命的原則でもある。情報のグローバル化時代に入り、軍隊の果たすべき使命も必然的に国家利益の開拓にしたがって不断に伸張するものなのだ。新世紀の新段階において、我が国の総合的な国力が不断に増強され、国家利益の開拓のために広範な空間を提供し、国家利益は徐々に伝統的な領土、両会、領空の範囲を超え、海洋、宇宙、電磁空間の開拓を始めているのだ。どのような国家利益の開拓であったとしても、我が国の使命はそこまで伸張しなければならない。新たな歴史的使命の要求に照らして、我が軍は国家の”領土的辺境”を護衛するだけでなく、国家の”利益的辺境”をも護衛しなければならず、国家安全の利益の守護者となるだけでなく、国家発展の利益の守護者にもならなければならないのだ。これは、時代の発展による要求であり、社会変化による必然なのだ。グローバル化とは、海洋に大きく依存するということでもあるのだ。我が国は、海洋において巨大な戦略的利益を有している。海洋は、無尽蔵の貴重な資源を埋蔵しており、陸地沿岸地区に生成している藻類の量は、現在の世界の小麦の総生産量の20倍ほどもあり、我が国の対外貿易額の97%が海上輸送を通じて行われており、我が国の東部沿岸地域は発展しており、国家の経済成長を急速にならしめた黄金地帯なのだ。改革開放が深くなるにしたがって、我が国の対外貿易の依存度は段々と高くなり、世界へのエネルギー需要も大幅に上昇している。2020年までに、我が国は60%の石油を海外から輸入するだろうと予測されており、その輸送は主に海運に依存することになるので、海洋の安全はすでに国家安全の重要な領域となっているのだ。グローバル化の条件の下、国家は本土の辺境の外にある安全への隠れた脅威を無視することはできず、領土内に限定して安全措置と行動を行うのではなく、国家の安全空間は領土空間を超越しなければならないのだ。社会の歴史がグローバル化の深い発展の段階に入ると、海上軍事力を運用し国家安全利益と経済利益とを護衛することは一部の大国の専売特許ではなく、世界と緊密に連携する中において、それぞれの国家の普遍的な要求なのだ。

現在、ソマリアの海賊活動が我が船舶と人員の安全の深刻な脅威となっており、我が国の経済発展と海洋権益とを深刻に損なっている。我が海軍艦艇編隊の今回の遠洋護衛航行は、国際法、国連決議の枠組み内において、合理的で合法的に軍事力を運用し、我が国の安全的利益と経済的利益とを保護する正統な行動で、我が軍の果たすべき使命が国家の陸地の安全を護衛することから国家の海洋権益を護衛することへと歴史的な転換を象徴するものでもあるのだ。

”国家防衛”から国際平和維持へ:我が軍は世界平和の維持と共同発展促進という確固たる信念を体現す

世界平和維持と共同発展の促進、これは人類の共同の願いであり責任であり、我が軍が履行する新たな歴史的使命の時代的な課題でもある。

経済のグローバル化、情報ネットワーク化された今日において、国と国との連係がますます緊密となり、資源、資本、技術、人材など全てが世界規模で流動し、如何なる国家も”地球村”から孤立していては発展できない。世界経済全体は、一種の相手の中に自分があり、自分の中に相手があり、一栄倶栄、一損倶損の局面で、各国は安全と発展の利益において相互に連係し、互いに影響しあうことが、日々緊密となっている。国際社会の安全と発展というこの種の新しい構造は、すでに各国の間に安全と発展の利益において相互にバランスをとり、相互依存が更に深くなり、国際社会が共同で安全を追求するようになり、共同発展は必然的に選択され有効な発展の方式となっている。

現代中国と世界の関係とに歴史的な変化が生じているのだ。改革開放以来、中国は世界政治、経済の舞台に、これまでにない気迫で登場してきた。中国の発展は世界と切り離すことができず、世界の発展も中国から切り離せないのだ。中国の国家利益と世界各国の共同の利益が、ますます緊密に不可分なものとなり、中国の軍隊の職務も、建国初期の”国家護衛”という限定的なものでは、明らかに時代の発展に着いていけなくなった。事実が証明する。ひとつの国家の国際社会に対する発言権と影響力は、国際事務への貢献と参加の程度と切っても切れないものなのだ。このことは、我々に主体的に世界戦略の構造的変化と安全情勢に適応する必要性を要求するもので、世界平和の維持という各種活動の中で相応の任務の負担を要求するものでもあるのだ。我が国は、世界への影響力が不断に上昇している責任ある大国として、世界平和の維持と共同発展促進において重要な作用を発揮しなければならないのだ。新世紀の新段階の歴史的使命とは、我が軍に崇高な職責と非常に巨大な任務とを賦与し、我が軍の職務を国家安全の護衛から世界平和の維持と共同発展の促進まで伸張させたのだ。我が国の総合的な国力が不断に増強され、国際事務の中における地位が不断に上昇するについれて、我が軍も単に国家主権と安全とを維持していればよいというわけにはいかなくなり、国際社会の平和維持と、救援、反テロなどの行動に積極的に参与しなければならなくなってきたのだ。2002年以来、我が軍はすでに外国軍と10回あまりの合同軍事演習を経験し、上海協力機構の構成国家との反テロ演習、パキスタン、インド、フランス、イギリス、オーストラリアなどの国と合同海上捜索救援演習を行ってきた。1990年以来、我が軍は18件もの国連平和維持活動に参加し、累計でのべ11,063人の平和維持将兵を派遣し、安保理常任理事国の中で最も多くの平和維持員を派遣した国家となっている。今回の海軍編隊がソマリア海域に赴き行う護衛航行任務は、ひとつの責任ある大国として国際的義務と国際社会と地域の平和安全維持を承諾することを積極的な態度を実際の行動で示したもので、世界の世論の多くは積極的に評価し、”中国は集団的利益を生み出すために積極的に貢献を行っている”と称賛されている。しかし、これは中国が海外への軍事拡張を求めていることを意味するものでは絶対にない。

需要が牽引し能力建設へ:使命を効果的に履行するために我が軍の多様化と軍事任務能力とを不断に高めなければならない

クラウゼビッツは『戦争論』の中で、「戦争が生み出す一切のものは、軍隊を通じて体現されたものだ。軍隊の設立と維持は単なる手段であり、軍隊の使用こそが目的なのだ」と指摘している。近代軍隊の使用を取り決めるものには2つの要素がある。ひとつは軍事能力、もうひとつは軍事能力を使用するという決心である。国家利益の維持のために、国家が軍事力の使用を引き上げることを国家意志とし、軍事行動の展開の必要性が生まれれば、軍隊の軍事能力は、この国家意志が決定した軍事的要求を満たさなければならないのだ。これは、軍隊の果たすべき決定的な使命である。今回の海軍の遠洋護衛航行行動はなぜ挙国一致し、条件が熟し成就したのだろうか?ひとつは、党中央、国務院、中央軍事委員会と胡主席が我が国の国家利益と経済的安全から出発し、国連の安保理の関連決議を根拠に重大な方策決定を行ったためである。二つ目は、我が軍が護衛航行任務をこなすだけの軍事能力を備えていたからである。護衛航行の3隻の軍艦は、全て中国が自主設計製造したもので、武器装備の性能も先端で、海上全体での作戦能力も比較的強い。同時に、中国海軍はすでに比較的豊富な遠洋航海の経験を擁しており、中国海軍の足跡は五大陸四大洋のいたるところにあり、今回の遠洋護衛航行のために強固な基礎を築いてきた。人民海軍への決心と能力に喜ぶと同時に、はっきりさせなければいけないことは、当面の我が軍の近代化のレベルと情報化の条件において、局地的戦争の要求には未だに適応しておらず、軍事能力と歴史的使命の要求の履行に適応していないということだ。この基本的な矛盾の根本を解決する道は、我が軍が多様な安全の脅威に対応する能力を高め、軍事任務の能力の多様化を成し遂げることだ。ひとつの軍隊にとって、どのような使命を背負おうが、相応する軍事的要求が生まれれば、必ずやその要求は軍隊の関連能力建設を引き出すのだ。世界の軍事史を眺めると、軍事的要求は歴来、新たな武器装備、新たな組織体制、新たな軍事的人材、新たな作戦理念、新たな戦いの様式などを生み出し、生産と発展の有効な牽引力であり、軍事的変革を引き起こす重要な要素であり、新たな軍事能力建設の巨大な推進力となってきたのだ。戦略的輸送能力を例とすると、国際社会、国内の情勢の発展が変化するにしたがって、我が軍は国際平和の維持、共同反テロ、人道的援助、緊急災害援助などの非戦争の軍事行動任務が段々と多くなり、戦略的輸送空間の範囲を不断に開拓し、運用の頻度が明らかに増加している。我が軍は多種多様な安全の脅威に有効に対応する必要があり、国家の陸地、領海、空域の内を多方面への高速機動の能力を具えることが必須だった。ブン川地震救済行動の中で、我が軍は、各地に配置されている軍の交通輸送能力を俯瞰し、多様な方式で立体的に輸送を実施する措置を採り、10万もの救済大軍と救急に装備物資を被災地域に輸送し、救援行動の迅速な展開を保障したのだ。多岐にわたる外国軍との合同軍事演習から2008年の南方風雪氷結災害まで、ここ数年の国際平和維持、海外緊急災害援助などの軍事任務は、我が軍の戦略的輸送に対する必要性は、戦争の領域から非戦争の領域にまで伸張し、経常的となり、常態化する勢いだ。これら一切は、我が軍の素早い戦略的輸送能力建設する過程で、部隊が満足に”緊急に応対し、即時応戦”できる多様な軍事任務の需要に適切に対応することが求められるのだ。海軍の遠洋護衛航行行動は、国家利益の開拓が軍事行動という戦略的空間を更に一歩拡大させたことを表明したもので、我が軍に”出向く”能力だけでなく、”遠くまで行って”効果的に国際戦略ルートと海外経済利益の安全とを護衛できる能力の必要性を切実に呼び起こしたのだ。同時に、我が軍の戦略的輸送能力の上昇は、我が国が責任ある大国というイメージを維持し、世界平和維持と共同発展の促進という歴史的使命を履行に対して、全てを左右する作用を持っている。これは我が国の大国の地位を揺ぎ無いものとし、大国の作用を発揮するのに客観的な需要でもあるのだ。今の世界、安全の脅威の多様化は、軍事行動の多様化をもたらした。戦略的輸送能力は軍事能力建設の重要な方面で、これ以外にも、情報化組織の指揮能力、高速機動能力、精密攻撃能力、危機管理能力、協調能力、総合支援能力などの能力の建設は、多様化する軍事的要求が牽引する中で、同様に強化しなければならない。”戦鼓を聞けば意気生じ、国平らなること燕趙の如し”。今回の海軍の護衛航行行動において、人々は我が軍が遠洋に向かい、濃紺の壮大な大志に向かうのを見ることができるだけでなく、更に我が軍が新たな歴史的使命を担い、多様化する軍事能力建設推進という歴史的な飛躍をも見ることになるのである。

解放軍報「从亜丁湾護航看履行我軍新使命(黄昆論)

昨年は五輪で国威発揚を、今年は軍事力で国威発揚を行おうということのようです。

以前「我ら中国海軍、ソマリア沖に出兵す」で紹介した、ソマリア沖出兵に関する解放軍の記者会見でぼかして明確にしなかったものが全て網羅されている記事ではないでしょうかね。

今回のソマリア沖出兵の意義を沿岸海軍から大洋海軍への一歩とありますが、これはこの派遣された3隻の軍艦からも伺えることを派遣決定直後に中共メディアは報じておりました。曰く「この編隊は大洋艦隊の基本であり空母護衛ユニットの基本単位である」と。

補給艦を除く2隻で空中、海上、海中の監視を網羅し情報を処理し即応能力もあるそうな。

日本の場合。

同盟国のある国とない国との違いということでしょうか。

何をすべきで、その中で何が出来て、何が出来ないのか。そのためには何を改善しないといけないのか。危機感を煽るだけでなく冷静な分析と議論を行い、日本の意志をはっきり示し、その意志を支える能力を整備し、また必要な能力を整備し発揮できるだけの環境構築を目指さないと、と思います。

ブログランキング ←宜しければランキングに1票をお願いします。

posted by タソガレ at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのTrackBack URL 

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。