4月2日付、香港紙『明報』のコラムをば。
昨日発売された雑誌『求是』は、中央軍事委員会兼総政治部主任・李継耐上将の文章を掲載し、「軍隊の非党化、非政治化」と「軍隊の国家化」等の誤った思想の影響を断固として阻止しなければならないと強調している。今年になってから、軍は、「軍隊の国家化」に対する批判の調子を絶えず高めており、これは中国の政治情勢と関係があることは明らかだ。
今年は、内地の政治は敏感な年で、同時に「軍事年」でもある。10月1日の国慶の閲兵式典以外に、今月は青島で海軍閲兵が行われ、11月11日は空軍建軍60周年記念日で、盛大で厳かな記念行事が行われる。その他、例えば、空母建造やインド洋での海軍航行護衛のニュースなど、いたるとこで軍事的作用がもたらされていることが明らかになっている。更に重要なことは、上半期に開会が予定されている中共第17回全中四会において、中央軍事委員会は人事調整が行われる可能性が高く、中共の後継者として最右翼の国家副主席・習近平が、中央軍事副主席に選出されるだろうと思われており、ウォッチャーは、それが「天命を受けた天子」となるかどうかの重要な指標であると見なしている。トウ小平、江沢民の例に照らせば、現職の中央軍事委員会主席・胡錦濤は、3年後に中央総書記と国家主席などの党政職務から解任され、順調に引き継ぐが、軍事委員会主席は、しばらく保留することとなる。
本来、国家は中共がコントロールし、近年、中共が制定した『国防報』では「法律によって軍を統制する」と強調しており、「軍隊の国家化」に反対することは理に合わない。しかし、単に字ずらだけで理解することはできず、「軍隊の国家化」のスローガンが打ち出している目的は、中共は軍隊への指導を放棄しなければならないということである。
軍側による国家の指導層への影響力は下落
多くの専門家が指摘していることは、軍隊の国家化の本質は、文人政府による軍隊のコントロールである。この点から言うと、軍と密接な関係にあった指導者であった毛沢東やトウ小平の死後、江沢民、胡錦濤などの文官の指導者は、軍隊をうまく制御してきた。軍事費が不断に増加しているが、軍側の国家の指導者層への影響力は下がっている。中共の九大政治局の21人の委員のうち現役軍将校・士官が7人を占めるということは、もうない。もし軍隊が国家化されれば、「六四」事件は発生しないと言う人がいるが、これは本末転倒な物言いで、台湾の経験を見るに、軍隊の国家化は民主化の前提ではなく、民主化された結果なのだ。
明報「中國評論:批判「軍隊國家化」有玄機」
孫嘉業
「民主化もされていないのに軍が国軍化されるはずがないだろうが!」という自虐的コラム。
ちなみに今月行われるという青島での海軍閲兵式典には、米国、イギリス、インド、韓国の海軍艦艇などが招待されていますが、日本の海上自衛隊の艦艇は”反日感情を考慮”し招待せず、高官を閲兵式典に招待するのみだと報じられています。また、この式典で空母建設を宣言する可能性が高いと報じられていたりもします。報じているのが、反日キチガイの『環球時報』なので、何割か割り引いて眺める必要はありそうですが。
閑話休題。
『明報』のコラムで取り上げられている『求是』の記事は下記。
長文なので、大陸メディアがこの記事内容を紹介している記事をば。
今日発売された雑誌『求是』は、中央軍事委員会委員、総政治部主任・李継耐が、新たな情勢下における軍隊の思想政治建設を論じた文章を掲載した。文章は、党と軍隊の絶対的指導の根本原則と制度を動揺することなく堅持し、”軍隊の非党化、非政治家”や”軍隊の国家化”などの誤った思想の影響を断固阻止しなければならないと強調している。
文章は、党の軍隊に対する絶対的指導の根本原則と人民の軍隊の根本的目的とした思想政治の建設を根本的出発点とすることを堅持しなければならず、我が軍は正確な政治的方向性を常に保持しなければならないと述べている。中国共産党は、中国の特色ある社会主義事業の指導の核心であり党の絶対的指導を堅持することは、我が軍が特有の政治的優位であり、永遠不変の軍魂であり、これは我が軍の発展の強大な根本的な政治的保証である。全身全霊人民に奉仕することが我が党の目的であり、我々のこの軍隊が奮闘し発展する全ての出発点でありゴールでもあり、我が軍が永久に不敗の地に立続ける力の源泉でもある。新たな歴史的条件の下、党の軍隊に対する絶対的指導を堅持し、全身全霊で人民に奉仕しすることを堅持し、我が軍の性質と方向の決定は、中国の特色ある社会主義の盛衰成敗に関係するのだ。思想政治の建設は、我が軍は常に党の絶対的指導下の人民の軍隊であることを根本的な軍務としてしっかりと確保しなければならない、という。
文章は、党の軍隊に対する絶対的な指導という根本原則と制度を動揺することなく堅持し、意識的に執政与党の路線方針政策を支持し模範とし、”軍隊の非党化、非政治化”や”軍隊の国家化”などの誤った思想の影響を断固阻止しなければならならず、軍隊は常に党の旗幟を旗幟として、党の意志を意志とし、党の方向を方向とし、一切の行動は党中央、中央軍事委員会と胡錦濤主席の指揮に従わなければならないと強調している。将兵の目的意識を強化し、常に人民の利益を何よりも高位に置き、何よりも重視し、終始、人民群衆と心を通わせ、一緒に生活し、運命を共にし、永遠に人民の子弟の兵であるという政治的役割を保ち、我が軍が永遠に党に忠実にあるよう、社会主義に忠実であるよう、祖国に忠実にあるよう、人民に忠実にあるようにしなければならない、という。
環球網「総政治部主任:堅决抵制軍隊国家化等思想(中国新聞網)」
ここで思い出すのが、今年の2月1日に行われた中央軍事委員会の勉強会での胡錦濤の次の発言。
皆さん知っているように、成績を肯定すると同時に、工作の中に問題と不足が存在していることもはっきりとさせておかなければならない。主なものは、新たな情勢下に対する軍隊の特徴的規律の認識の建設を更に一歩深化させる必要性であり、いくつかの状況は、未だに全面的に理解できていないことである。いくつかの問題であまり深く認識されておらず、厳格に軍隊を統治する方針を貫徹する力を更に大きくする必要があり、軍隊の統率が厳格ではないという問題は、いくつかの部隊にそれぞれ程度の違いがあるが存在している。科学的に統一されている一部の工作において、より一層強化しなければならないものもある。このいくつかの問題に対しては、高度に重視しなければならず、今後の工作の中で真剣に解決しなければならない。
新華網「中央軍委召開深入學習實踐科學發展觀活動專題民主生活會 胡錦濤主持」
南シナ海で非武装の米海軍調査船1隻を中国海軍の艦艇や国家海洋調査局の艦艇などを含む5隻が取り囲み、米軍調査船の鼻先15メートルにつけて航行を妨害し、米軍調査船に対して尻をまくりケツを叩いてみせるという過剰愛国戦士をどうにかしなければならない・・・ということなのでしょうか。
「5月に尖閣に突撃するぜ!」と鼻息荒い連中を抑えられるかどうか。だから穏便によろしくね、と李長春がわざわざ言及しにきたということなのでしょうか。
【北京=佐藤賢】中国国家海洋局は東シナ海での監視活動を強化する方針を明らかにした。同局の機関紙、中国海洋報によると、東シナ海を管轄する海監東海総隊が浙江省紹興市で会議を開き、海洋権益を保護するため巡視活動の範囲拡大を決定。領有権を日本と争う尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近での監視も強まるとみられる。
会議では「東シナ海の海洋権益の保護は厳しい挑戦に直面している」との認識で一致。今年の巡視活動方針として、軍・地方政府との連携強化や重点海域の設定なども決めた。事件が起きてから応急的に対処するのではなく、事前に計画を練り対処能力を高める方針を申し合わせた。(07:02)
日本経済新聞「中国、東シナ海の監視強化 尖閣巡り日本と摩擦も」
この中で取り上げれている記事は下記(注意:リンク先に飛ぶと中国語で記事朗読が始まります)。
- XPLUS「『中国海洋報』:加大東海区維権巡航執法力度」
ということを口実にした突撃漁船の監視強化なのか、それとも海洋調査局自体が前のめりなのか、中央の意向に沿って動いているのか。注目点が多々。
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- 2006年12月22日「解放軍は国軍に非ず中国共産党の私軍なり」





