政府権力の部門化、部門権力の私物化

2009年04月28日

末端の治安維持組織に「城市管理管理行政執法局」というものがあります。中文版wikipediaには次のようにあります。

城市管理行政執法局、または”城菅”と呼ばれ、市容管理弁公室の下部部門のひとつで、中華人民共和国の国家事業単位に属している。その責務は、都市の景観に対して、道路を占拠している屋台、荒廃しているといった状態を整理し管理を行うことである。城管は、規約違反の当事者に対して教育や罰金を課す権利を有しており、規約違反の物品に対して証明書を発行し徴収することがあり、当事者は徴収証明書を持って城管弁公室に行って教育、あるいは罰金を支払った後、再び罪を起こさないとの保証を行った後、徴収されたものを受け取ることができ、理論上、城管に物品を徴収する権利はない。

実際の”執行”過程においては、相応する法的根拠がないため、城管の執行の際に規約違反を行う現象が常に見られる。例えば、金銭を巻き上げたり、不合理に罰金を課したり、物品を徴収したり、徴収した物品を処分したり、暴行を行ったり、普段着で執行したり、破壊掠奪行為を行ったりなどの現象が見れら、民衆はみな、反感を持っており、行商人に同情している。城管と行商人との間の対立は尖鋭化しており、城管の執行中に行商人が負傷したり、行商人に負傷させられるという事件が頻発している。

wikipedia「城市管理行政執法局

今までのこの「城管」絡みの事件を何度か紹介してきました。ヤクザの地回りみたいなものというか、まんま、そのものです。

屋台のおじいちゃんをいじめたことに端を発し数千人規模の武装警察が出動するほどの官民衝突に発展させてみたり、暴行を働く現場を携帯で撮影した学生を追い掛け回しボコボコにしてみたり、縄張り争いで城管同士が抗争しパンツ一丁で後ろ手に縛られている姿を晒してみたり、出稼ぎ子弟のための無許可学校取り壊しの尖兵として突撃してみたり、刀を持った行商人に詰め所を襲撃されたりなど、wikipediaにあるとおり、至極評判が悪い連中で社会の不安定化に一役買っている輩。

つい最近も江西省で城管に殴られ死亡したという事件で万人規模の抗議行動があり、四川省でも同様の事件によって数千人規模の抗議が行われ暴動鎮圧部隊が出動した、なんてことが報じられていました。

そんな城管の養成マニュアルが暴露されちょっとした騒動となっているようです。23日付の『南方都市報』の社説から。

1冊の『城管執法操作実務』が、ネット上のあちこちで熱い議論を引き起こしている。仔細に眺めてもよし、流し読みしてもよし、どう見ても民衆の目には、この本が城管に、どのようにすれば巧みに痕跡を残さず暴力を用いることができるかを教えているようにしか見えない。この点に関して、編集者を組織した北京市城管局はもちろん、編集者も、城管への偏見が、このような感情的な読解をさせているのだと釈明した。しかし、いくつかの文字、”顔に血がついていないか、体の傷が見えないか、周りに人がいないかを注意しなければならず、非常に素早く一連の動作を1回でやり終えねばならず、やり残してはいけない。一端やり始めたら、躊躇することなく一気に行わなければならない。全ての力を用いること”、”軽々に見逃してはならず、執行車に乗せて、公安機関に連行するか、しっかりと部隊に連れて帰らなければならない・・・”これをどのように解釈しても、行間に敵意がないとは思えず、これは暴力的抵抗を行う露天商を敵として見ているとしか思えない。

しかし、このような方法は間違いではなく、暴力的抵抗を行う露天商は、すでに”違法”であり、城管は有効的に暴力を制さなければならず、暴力を制する過程においてはいくつかの技巧が必要なので、それがこのような文章となったのだ。更に、城管は、逆らう露天商に対して暴力を行うことは、実際によくあることで、街頭でも見るし、新聞紙上でも目にする。昨日も、広州で5人の城管が、1人の17歳の露天商を囲んで暴行を加え、仲裁しようとした者までも殴られたと報じられていた。これは、”暴力を制する”限度から遥かにかけ離れていると思われる。この種のニュースは、耳にすると憎たらしく思うが、驚いたり、このようなことについて広範に熱心な議論を引き起こすことはなかった。現在、この1冊の本にある数行が、人々をこのように不安にさせ、むちゃくちゃなことだと思わせている理由は何だろうか?

これは城管部門自らが組織し編纂した本なので、北京市城管局が自ら”言葉遣いが不適当”であったと気づき、発表することなく、内部で使用されるのみとなり、この本は城管部門の委託と助言を受けて編纂されたもので、出版前に当局がこの内容について何も知らなかったなんてことはありえない。これを実際に見た者は、この本は敵意と暴力をもたらす傾向のある本で、表紙に”北京市城管総合行政執法局公開発行”という文字があって、城管の貧しく弱い露天商に対する暴力行為とほぼ同じで、これは城管隊員個人の行動ではなく、暴力による抵抗に直面し致し方ない上での行動でもなく、城管部門が授けた正当な行為であると捉えたのだ。これが、民衆が受け入れがたいと感じている肝だ。

これまで長い間、城管部門や城管隊員たちは、それぞれ”城管”の2文字を弁護する際に、仕事がつらい、責任が重い、多くの露天商に穏やかに対処しても効果がない、露天商が暴力によって抵抗して城管自身の身が脅威に晒される・・・・と述べ、これらの自己弁護は、社会の城管への強烈な反感の感情をある程度緩和していた。また、理性的な人々は、次第に城管の暴力行為の背後には現実的な対立があって、城管、特に具体的な城管隊員に対してあまり深い偏見を持つべきではないと意識するようになっていた。更に、疎通を試み、理解ある態度を求め、少なくとも城管個人も暴力はよくなく、できるだけ避けるべきであると認識していることを証明し、対立を緩和しようとしていた。

この内部で出回っていた本は、城管部門はどのように暴力を有効的に用いることができるかに関心を持っており、有効的に暴力を減らすことには関心がないと人々に思わせたのだ。そうでなければ、暴力での抵抗に対抗する箇所は、大体次のように書くべきなのだ。”人を傷つけないように注意し、更に周辺のその他の人を間違って傷つけないようにしなければならない・・・・対峙している者が攻撃能力を消失させたら、すぐに手を収めねばならない”と。城管が殴られたというニュースも耳にするが、更に多くの次のようなニュースを耳にする。城管が人を殴り死亡させても身元が明らかとならない、城管が妊婦の腹を両足で踏みつけ流産させた、路上で城管を撮影したものが集団暴行され死亡した・・・目撃者によると5人で1人を囲み殴っていたという、これらがはっきりと説明しているこは、城管は常に過度の暴力的傾向があるということだ。城管たちに暴力を濫用する権利は与えられていないとはっきりとと教えることが、城管と露天商との対立を緩和し、城管のイメージを改善し、城管の圧力を軽減する方法でもあり、これこそが城管の養成マニュアルが強調しなければならない点だ。我々は、この本を全てみたわけではないが、暴力をできるだけ避けるようにと重点的に述べられている章があるかどうか知らないが、章題を見た限りでは可能性は大きくないようだ。――そうでないなら、北京城管局が”メディアとネットユーザーたちは、この本の断片を切り取っている”と非難した際に、その箇所を示したはずだ。

最新の報道によると、この本を公表した城管隊員・趙陽は、同業者から非難されているが、趙陽は重要なのは問題の根源を探すことだと認識しているという。趙陽は、自分の仕事の中でどうしても暴力的な法執行を行わなければならず、そうしないと仕事にならず、給料ももらえないと率直に述べている。趙陽の苦しい立場は、城管隊員全員の苦しい立場を表しているわけではなく、更に城管全体の苦しい立場を表しているわけではないが、少なくとも、城管の暴力的法執行の現象を説明しており、城管部門は大いに責任を負わねばならない。養成教育の視点からであろうと、評価監督の視点からであろうと、城管部門は暴力を減らすことを組織の制度の中に組み入れることを全く行っていないのだ。城管部門が主動的に暴力的法執行の問題を解決する気がなければ、城管と露天商との対立は更に深くなり、暴力が更に頻繁に行われるだけで、更には城管と社会の一般民衆との間で衝突を引き起こすだろうことは明らかだ。こうなると城管は、自らの立場が危険だ、暴力は合理的なのだと更に理由とするだろう。――このような悪循環を、どのようにすればよいのだろうか?

南方都市報「城管執法操作不応含有暴力内容

すでに大きな衝突に発展してますけどね。しかも城管への不信感だけで衝突が大きくなっているとも思えない。また、城管のマニュアルに書いてることが公安、武装警察のマニュアルに書いていないとも思えない。

続いて26日付の同じく『南方都市報』より。

4月23日の南方都市報の社説『城管執行マニュアルに暴力内容は含めるべきでない』で、まず非難されている『城管執法操作実務』という一冊の本は、”敵意と暴力的傾向を伴う本”であるとし、”城管が貧しく弱い露天商に対して暴力行為を働くのは、城管隊員の個人的な行為ではなく、法執行に対して暴力での抵抗に直面したのやむを得ない上での行動でもなく、城管部門が行為の正当性を授けたもので、これが民衆が受け入れがたくしている肝である”としている。しかし、最後には痒いところ、肝心なところ避け、どうしようもないという結論、”城管部門が主体的に暴力的な法執行の問題を解決しようとしなければ、城管と露天商との衝突は更に深くなり、暴力が更に頻発するようになるだけで、更には城管と社会の一般民衆との間の衝突を誘発しかねない。こうなると、城管は、自らの境遇が危険だ、暴力は合理的であるとの理由を更に叫ぶようになる――この悪循環をどうすればいいのだろうか?”としている。

筆者は、城管執行員・趙陽自身の話の中に、実際の城管の暴力的な法執行の根源があると思っている。”私が思うに、城管は地方の法執行の力量に支えられている。これはそれぞれの城管の服装が統一されておらず、全国的な法律が全くなく、素質もバラバラだからだ”、”地方の法執行のパワーは、完全に地元の指導者、特に担当者の命令に従わねばならない。ひとつの城管のイメージは、その担当している主要な指導者の理念と大いに関係がある”、”城管のイメージが普遍的によくないのは、それ俺の指導者の審査と政治的業績といったプレッシャーがあるからだ。上級の指導者が審査にやってきて、街道が散らかっていたら、第一印象は台無しで、担当の指導者も当然プレッシャーがあるのだ。いずれにしろ、皆が言う通りにはならないのだ”(4月23日付の南方都市報のA21面)。

趙陽のこの数段の話の中から、私達はいくつかの問題の肝を見出すことができる。一つ目、国家は今に至るまで『城管法』の類の法律法規を制定しておらず、これが全国各地の城管が勝手に振舞うという”自由法執行状態”となっている理由だ。二つ目、地方の指導者の命令に従わねばならないという地方的な法執行力となっているために、城管の法執行の形式が、主管の指導者の行政の性格、個人的な好き嫌いによって決定されており、このために法執行の手段に相当大きく主観と随意性とを併せ持っている。三つ目、各級の行政指導者は、上級に対してだけ責任を負い、民衆の監督を受けておらず、審査において、昇級などの様々なプレッシャーの下、各級指導者は自然と常に民衆の利益を犯したり犠牲にしたりするといった様々な行政措置を行うようになり、城管の暴力的な法執行はその中の突出した事例のひとつに過ぎない。明らかに見て取れることは、城管の暴力的法執行の根源は、”公権力の私物化”にあるということだ。

”政府権力の部門化、部門権力の個人化”という韻文があるように、この種の”公権力の私物化”はよくない現象だ。様々な公共権力(特に行政権力)は民衆の監理を受けておらず、各方面にバランスすることがなく、そのために常に様々な異なる形式によって、あるいはルートを通じて個人が掌握する私的な権力となり、様々な腐敗、汚職、暴力、権利侵害など違法行為が次々と現われ、何度禁じてもなくならないのだ。”公権力の私物化”という核心的な問題に大して、筆者は各級官員と社会の民衆の皆が、どうすればよいのか少し考えて欲しいと思っている。

郭海強

南方都市報「“城管暴力執法”的根源在于“公権私有化”

ほら、そこはやっぱり、庶民の味方、温家宝総理が城管担当者を一喝し、哀れな露天商の肩を抱き涙すればいいんじゃないかなぁー。

冗談はともかく、ここまでの指摘はよく目にするところ。ここから先が20年前から一向に進んでいない。

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posted by タソガレ at 23:36 | Comment(2) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
アメリカとは争わないという事なんでしょうか?

【中国のアンケ】中国と交戦の可能性がある国、第1位は?
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0428&f=national_0428_005.shtml
中国大手サイト新狼網(SINA)で「中国と最も戦争の可能性がある国は?」との題で大規模なインターネット
アンケートが実施された。(インド、ベトナム、アメリカ、日本、韓国、フィリピン、ロシア、インドネシア、
オーストラリア、モンゴルの10カ国中からの選択制)

2009年4月27日現地時間午前11時時点での投票数は1万7790票。1位インド26.5%(4812票)、2位日本24%(4263票)
、3位ベトナム16.2%(2893票)、4位フィリピン8.2%(1459票)。

日本と僅差で抜いたインドの理由は、領土問題。中国とインドでは東部、中部、西部合計1700キロメートルに渡る
国境問題がある。中国は 9.2万平方キロメートルの領土をインドに占領されていると主張している。現在、両国
の話合いは平行線を辿っている。「インドは話し合いでも全く歩み寄りを見せず、中国を挑発しているとしか思
えない」との意見が最も多かった。

2位日本の意見もまた、日本海問題や尖閣諸島(中国名:釣魚島)など領土問題に関するものが多かった。しかし
、歴史問題に関しては「現在は歴史問題が発端で戦争に発展する可能性は少ない」、「仮に日本が軍国主義に戻
った場合、核兵器保有、軍備増強などが急速に行われ戦争に発展する可能性があるが、今の日本政府は軍事に関
して一定のコントロールがなされているので、問題はない」と比較的冷静な意見が目立った。

3位ベトナムに関しては、「かつては中国だった国」との考えがあるようで「たった千年前に
中国から独立し、百年前まで中国に属した国だったにも関わらず、その恩恵を忘れている」
「中国から多大な援助を受けているのに、なにかにつけて中国に牙を向ける」と感情的な
部分からの意見が多かった。

現在、文化侵略問題で険悪となっている韓国はわずか4.6%であった。理由としては
「韓国は中国の足元にも及ばない」「相手にもならない」と軽視した意見が目立った。
Posted by M at 2009年04月29日 21:13
アメリカと直接ことを構えるとするにはあまりにもリアルすぎるんじゃないですかね。ほら、つい最近も南シナ海で衝突しましたし、数年前に海南島沖で衝突してましたし、ユーゴでは爆撃までされましたし。
Posted by タソガレ at 2009年05月05日 11:39
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