毒餃子は究極のタブー@日中首脳会談

2009年05月02日

麻生さんが首相になってから初めての中国への公式訪問が行われました。訪問スケジュールの発表からの流れを、個人的に気になった情報も加えまとめておきます。

  • 4月3日:ロンドン金融サミットでの胡錦濤との会談で4月29日からの麻生総理の訪中が決まったと日本側が発表
  • 4月7日:零八憲章署名者で2002年に中国当局の腐敗を指摘し迫害され日本に逃れてきた人物に対して日本政府が中国人として2人目となる難民資格を授与
  • 4月21日:麻生総理、靖国神社の春季例大祭に合わせて真榊を献上
  • 4月21日:中国外交部定例会見、「適切に、慎重に関連問題を処理」することを希望すると述べるに止まる
  • 4月21日:韓国外交通商部、非常に遺憾
  • 4月23日:中国外交部、真榊献上について外交ルートを通じて「重大な関心と不満」を伝え、「言動を慎み適切に処理」するよう日本側はに要求したと定例会見の直前に発表
  • 4月23日:中国外交部定例会見、「麻生首相の訪問取り消しを考慮したのか?」との質問に「麻生首相の訪中に関する情報に関しては、我々が適切な時期に発表する」。
  • 4月24日:中国外交部が29日からの麻生総理の訪中を正式に発表
  • 4月29日:インドネシア在留台湾出身元日本兵に日本政府が旭日単光章を授与

そして29日に行われた温家宝との会談を伝える記事。まずは日本側のプレスリリースを元に組み立てられている財経網の記事をば。

4月29日、中国国務院総理・温家宝は、人民大会堂で訪問した日本首相・麻生太郎と会談を行った。両者の会談は、2時間20分におよんだ。

温家宝は会談の中で、国際金融危機の深刻な衝撃に直面し、中日が協力を強化することが共に困難を克服する助けとなり、地域の経済成長をもたらすと強調した。当面、二国間貿易と相互投資の安定を努力し、積極的にエネルギー環境保護、情報通信、エコ経済、ハイテクなどの領域での協力を開拓し、新たな経済の成長ポイントを育成しなければならない、アセアンとの実務的な協力を拡大し、中日韓三カ国の協力を充実させ、”チェンマイイニシアティブ”の多角化とアジア債券市場おの建設を推進し、地域一体化の過程において新たな一歩を踏み出さなければならない、国際金融システム改革において積極的な成果が得られるよう推進しなければならない。

日本の外務省スポークスマン児玉和夫は4月29日、北京でメディアに対して「三本柱」が麻生の今回の訪中の主な成果であると述べた。双方は、3つの方面において共通認識に達し、経済対話と協力提供の支持、環境、エネルギー、気候変動における協力、両国の人員交流のより一層の促進だという。

両国の”戦略的互恵関係”の一環として、双方は会談の中で”日中環境エネルギー総合協力計画”の合意に達し、計画は、水質浄化などの中国の環境エネルギー分野における技術協力を推進する。双方は、アジア経済の発展を確保を目標とし、各国への借款と資金提供の枠組みを強化することでも同意に達した。

その他、双方は内需拡大、貿易の保護主義への断固とした反対、国際金融監理の強化でも一致に達した。新型インフルエンザ対策では、双方が情報交流の強化と疫病蔓延某市の問題における協力でも一致に達した。

麻生は会談の中で中国政府が今年の5月1日から実施予定だった”情報安全製品の強制安全制度”について言及し、麻生は中国側に重ねて考慮するよう要請し、温家宝はこれに対して、中国政府の強制認証システムについて、その他の国家からも多くの提案を得ている、中国政府は正式実施の日時を1年遅らせることをすでに決定していると述べたと児玉は語った。

4月29日、中国国家認証認可監督管理委員会(以下、認監委)は、”情報安全製品強制認証”の実施日時を1年遅らせ来年の5月1日とし、実施範囲も縮小し政府購入の範囲とすると宣言した。

この認証制度は、外国企業のネットのファイアーウォールなど13種類の安全製品を中国に輸出する際に、中国政府の強制認証を受けなければならないと規定している。これらの決定に対して、認監委は”国内外企業の広範な意見を聞いた後、実施範囲や時期を決定する”と弁明し、29日に日米欧韓の業界関係者に対してすでに通報しているとも述べた。

その他、4月21日に麻生は”内閣総理大臣”の名義で自費で靖国神社に供物を献上した。麻生が靖国神社に供物を献上した一件が、訪中前の敏感な時期に暴露され、中国側の強烈な不満を招くのは必至との分析があった。

児玉は、『財経』記者に対して、会談中、温家宝から麻生の靖国神社への供物献上の件に対して言及はなかったが、温家宝は、歴史問題は十分に敏感で、国民感情に影響を及ぼすと指摘したと述べた。靖国神社問題は敏感な話題で、中国は日本政府に対して靖国神社問題を重視し、態度だけでなく、現実的な行動においても表現しなければならないと希望している。

麻生はこれに対して、日本政府の歴史問題における立場は、1995年と2005年の日本の首相が発表した公式談話にあるように、主要な精神は歴史を正視し未来志向を完全に体現しており、日本側のこの立場になんら変化はないと示した。日本は、大局から発し、両国関係の中に存在している問題を適切に処理し、双方の政治的信頼の増進を一歩進めることを願っており、”中日青年経済リーダー対話”などの機会を通じて両国の若者世代の交流を強化し、両国国民の感情増進を願っていると述べた。

朝鮮が、朝鮮核の六者会談からの退席を宣言したことを鑑み、日中双方は、朝鮮に早期に六者会談へ復帰するよう促し、六者会談の枠組みの中で拉致問題解決を得る努力を行うことで一致したと述べた。麻生は、朝鮮問題における日本の立場は、朝鮮の日本人拉致問題、朝鮮の核問題、ミサイル問題が一緒に全面解決しなければならないということだと述べた。全面解決して初めて、日中は正常な関係を回復できるという。

朝鮮外務省スポークスマンは4月29日に発表した声明で、国連安保理での朝鮮の自主権を侵犯した行動に対する”謝罪”が行われなければ、朝鮮は自衛措置を一歩進め、再び核実験と大陸間弾道ミサイル実験を行うと述べている。

朝鮮が今月5日に衛星発射を宣言した後、国連安保理は13日に議長声明を発表し、朝鮮の発射活動を厳しく非難し、国連安保理1718号決議に違反しているとした。14日、朝鮮外務省は声明を発表し、安保理の議長声明の受け取りを拒絶し、朝鮮核問題の六者会談の退席と核施設の機能回復を宣言した。

児玉は『財経』記者に対して、両国の指導者は、会談の中でこの声明について言及することはなかったと述べた。児玉は、麻生は朝鮮問題に対する立場を詳述し、彼は、日本は朝鮮の言論は挑発的な性質を帯びており、朝鮮半島の非核化の実現に対して有意義なものではないと認識していると述べたという。このほか、双方は会談の中で論議されると予想されていた、インド洋での海賊攻撃に関する協力問題については論じられることはなかったという。

財経網「中日就環保和節能合作達成協議

ここ最近、話題となっている「IT情報強制開示制度」について担当当局による1年延長の発表は下記。

この件についてはチナヲチさんの「マジっすか?中国でITの「技術盗用」を合法化する動きが!」に情報が続々と集まっています。

続いて新華網の記事を、上記で触れられていない箇所を中心に。

ちなみに「IT情報強制開示制度」についてのくだりは、新華網の記事にはありません。日米欧の反発で1年実施を延期した、という事実そのものが不都合だということのようです。上記の財経網の記事に「外圧に屈するのか!海外の声に耳を傾ける前に人民の声に耳を傾けろ!」なんて威勢の良いコメントが寄せられています。

新華網の記事。

(前略)

温家宝は、中日友好は大局の赴くところでで、人心の向かうところである。双方の共同努力において、ここのところ両国関係は積極的な発展の趨勢を保持しており、この良好な局面は容易なことではなく、大切に保持しなければならないものであると述べた。両国政府と政治家は、中日4つの政治文書の精神を堅持し、歴史を鏡とし未来志向で、中日関係推進のために改善と発展を継続するたゆまぬ努力を行わねばならないと述べた。

温家宝は、歴史問題は十分に敏感で、国民感情に影響を及ぼす。日本側は承諾を堅守し、適切に処理することを希望する。(中略)

温家宝は、中国は平和発展の道を歩むことを堅持し、互恵ウィンウィンの開放戦略を遂行し、日本ぐぁと地域と国際事務における疎通と協調を強化し、アジアと世界の平和、和諧、繁栄を促進したいと願っていると述べた。温家宝は、中国側の東シナ海における立場と主張を重ねて述べた。

(後略)

新華網「温家寶與日本首相麻生太郎舉行會談

歴史問題のくだりでの温家宝の発言は『朝日新聞』によると次のようにあります。

一方、温首相は「歴史問題は非常に重要だ。特に靖国問題は国民感情にかかわる敏感な問題で、適切な処理を希望する」と懸念を表明。

あさひしんぶん「中国に核軍縮求める 日中首脳会談 温首相は靖国に言及

冒頭で紹介した財経網にあるとおりです。

『朝日新聞』は、この記事の表題を「温首相は靖国に言及」としていますが、新華網の記事を見ると「特に靖国問題は」の箇所が削除されていることがわかります。中国内の活性化しつつある糞青どもを無用に刺激しないようにとの配慮の跡が見えます。ここからも「靖国神社問題」が、中国の国内問題となってしまっている様子が伺えます。

麻生さん訪中の前日、28日の外交部定例会見でも、どこの記者かわかりませんが「麻生が真榊を献上した件を会談で取り上げるのか?」なんていう質問をしている者がいて、「双方のそれぞれの関心事について話し合う」とはぐらかしておりました。

”東シナ海”問題に関する箇所は、外務省の発表では次のようにあります。

(b)東シナ海資源開発について、麻生総理から、国際約束締結交渉の早期開始に向け、温総理の指導力発揮を求めた。温総理からは、事務レベルで意思疎通させていきたい旨述べた。

外務省「麻生総理の訪中(概要)

中国側は原理原則を述べるに留めたということから、厳しい内情が透けて見えるようです。

そして日本側は、「東シナ海”資源開発”」とはっきり述べていますが、新華網の記事では「東シナ海問題」とあやふやに表記。尖閣諸島についてのやり取りがなかったと叩かれないように予防線も張っております。前日に「釣魚島も会談で論議される可能性がある」なんて大きく報じられたことも一因なのかも知れません。

ちなみに、この新華網の記事は、外交部のサイトに掲載されている日中首脳会談の記事と一字一句同じです。つまり中共政府の公式発表です。

そして、今回の表題としている「毒餃子」について。

日本のメディアでもすっかり取り上げられなくなった「毒餃子」ですが、日本政府は中共首脳と顔をあわせるたびに言及しています。今回も同じ。

(a)食の安全について、麻生総理から、我が国消費者の不安を伝え、ギョウザ問題の早期真相究明を求めた。温総理からは、刑事事件として関係当局も懸命に努力している、日中間の協力を強化し、一日も早く決着させたい旨述べた。

外務省「麻生総理の訪中(概要)

この件は、最初に紹介した財経網の記事にも、新華網の記事にも、そして朝日新聞の記事にも一文字もありません。

表題に記したように「究極のタブー」というよりも単に中国側に問題を解決する気がなく、ぞんざいに扱っているということなのでしょう。

食の安全について正面きって説明できないような政府が、新型インフルエンザや防疫についていくら奇麗事を並べられても信用も信頼も勝ち得ないだろう・・・というようなことをどこかのメディアが指摘して圧力を掛けるぐらいのことはして欲しいところ。

ちなみに財務省が発表している数字で、ドルベースで2008年の中国からの食料品の輸入は、前年度比で-13.13%となっています。対中輸入食品の中で大きな割合を占めている加工食品が-16.68%となっています。中国からの輸入が減った分をタイからの輸入にまかなっている状況です。

china-food001.jpg
(画像クリックで拡大)

china-food002.jpg
(画像クリックで拡大)

最後に少し気になる点として、今話題の「IT情報強制開示制度」の担当当局は「中国国家認証認可監督管理委員会」なのですが、ここは「毒餃子」の時に逆切れした「国家質量監督検験検疫総局」が管理している部署だったりします。

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posted by タソガレ at 00:28 | Comment(2) | TrackBack(1) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
>ここからも「靖国神社問題」が、中国の国内問題となってしまっている様子が伺えます。

前回コメントで説明書き込みが不足しておりましたが、昼間のコメント(五毛銭が沸き出す前)は9割方の網民の書き込みが、麻生の靖国参拝は愛国行為であり批判に値しないというものでした。

この問題はすでに人民の心をつかむだけの力を失ったということではないかと思います。人民の心の成長は思った以上に速いようです。

そして対外的には靖国問題の矛盾を隠しておいて外交の武器にしたいのでしょう。
Posted by 大陸浪人 at 2009年05月02日 09:42
なるほど面白いですね。


> そして対外的には靖国問題の矛盾を隠しておいて外交の武器にしたいのでしょう。
「中国が」ということでしょうか。

日本に対する外圧としての靖国問題は、外圧が最も激しかった年の靖国神社への参拝者数が過去最高を記録し、小泉さんへの支持率に大して影響を与えることもなく、逆に対中好感度が大幅に下がったことで、中共にとってのデメリットがメリットを大きく上回り、その効力、威力は大幅にそがれたのではないでしょうか。
日本のメディアは自らの影響力を誇示しようと未だに必死ですが中共の現主流派はそう判断したと愚考しております。
外交部の右往左往ぶりは、その一端が現われたものであると。


> 9割方の網民の書き込みが、麻生の靖国参拝は愛国行為
あの反日暴動華やかりし頃にも「主席や総理は、なぜ八宝山、盧溝橋、南京に参らないのだ!」といったコメントをたびたび見ましたが、この現象が「人民の心の成長」を表しているのでしょうかね。
書き込みがなされていた状況を見たわけではないので想像でしかありませんが、当時との「社会状況の変化」を表しているものだとすると別の意味で剣呑です。
今回の「靖国」削除も、もう少し重い意味を持っているのかも知れません。
Posted by タソガレ at 2009年05月05日 11:47
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