中国当局は、様々なデータを発表しておりますが、そのほとんど全てが信用されていないのはご存知の通り。「中国の最悪の輸出品は数字である」とまでおっしゃられている方がおられます。
- Voice+「WEB連載 実は深刻!中国経済」
また「各省が発表しているGDPを合計すると中国全体のGDPを凌駕する」とはよく言われる笑い話です(本当だけどw)。
中央が「保八を!(GDP成長率の8%維持)」と唱えれば、「保八は無理だろ」という声が支配的であっても各省政府は目標値に軒並み二桁を掲げるといったお国柄で、GDPの成長率が8%を切ることはありません。
そんな中にあって、理由はわかりませんが、中国電力企業聯合会が発表する発電量や消費電力量に関するデータについては、そこそこの信頼性があると見れており、上述した方もその記事の中でそうおっしゃっています。
そのデータ終了のお知らせを。
その前に、5月18日付『上海証券報』をば。
中国電力企業聯合会の最新のデータは、1月から4月までの社会全体の消費電力量は、昨年の同時期と比べ4%のマイナスで10,559億キロワットになり、4月の1日平均消費電力は、同時期と比べ3.6%下落したと示している。これは、ちょうど公表された4月の工業増加値が、同時期と比べ7.3%増加したことと鮮やかな相違を形成している。片方が下がり、片方が上がる、しかもその差は11%にもなっている。これは、工業成長構造に変化が生じていることを意味していると専門家は考えている。
消費電力量は、工業経済発展の道しるべで、正確に経済状況を反映するものであるのが道理だ。しかし、この両者の奇怪な乖離は、初めて出現したものではない。2009年の第1四半期の規模以上の工業増加値は、同時期と比べ5.1%増であったが、同じ時期の社会全体の消費電力は4%下落し、両者の乖離は9%で、今年3月の工業増加値は同時期と比べ8.3%で、同じ時期の消費電力量は1.8%前後下落し、両者の乖離は10%となった。
工業消費電力統計を見ると、この乖離は更に大きくなる。1月から4月の工業消費電力は同時期と比べ9.3%の下落で、そのうち軽工業消費電力は同時期と比べ6.8%の下落、重工業消費電力は同時期と比べ8.6%の下落で、4月の月間だと同時期と比べ8%下落、うち軽工業が4%下落、重工業が9%の下落となっている。4月の工業消費電力量と工業増加値の乖離は15.3%にもなる。
このような乖離現象は、昨年の第4四半期のデータで明確に出現したもので、昨年の第4四半期の規模以上の工業増加値は6.4%のプラスであったが、社会全体の消費電力量は、同時期と比べ比較的大きな下落が出現し、10月の社会全体の消費電力量は3.7%下落し、11月は8.6%、12月は8.93%下落した。
全人代財経委員会副主任委員で元国家統計局副局長の賀鏗は昨日、上海証券報の記者の取材を受けた際、これは、経済の構造調整と関係があって、4月の工業増加値の伸び幅が前月と比べ下落し、消費電力量は更に下落している、これは産業構造と大いに関係があるとの認識を示した。4月の高エネルギー産業は、鉄鋼が少し上昇が見られた以外は何も反発しておらず、このために工業増加値の増加の主要なものは、非高エネルギー業界の力であるという。
このような乖離現象は、社会の広範な関心を引き起こしている。最近、国家統計局の関係者が、あらゆるところで釈明を行っている。スポークスマン李暁超は、以前の例を挙げて、消費電力と経済成長の矛盾はアメリカにも存在すると述べた。統計局局長・馬建堂の説明は、消費電力量の主体は現在重工業で、サービス業の消費電力は非常に少ないというものだった。工業増加値の下落が比較的大きいが、サービス業は相対的に安定している。このほか、工信部運行監測協調局局長・朱宏任も、工業エネルギーの消耗が減ったことを理由に挙げた。今年頭の2ヶ月を比較すると、冶金、非鉄金属、石油石化、化学工業、医薬、紡織、電子などの業界の総エネルギー消費が、同時期と比べ7%から16%まで下落している。
当然、主要な業界の工業増加値の増加を見れば、それぞれの消費電力量の増加と同じような趨勢で、高エネルギー業界が下落し、非高エネルギー業界に比較的大きな成長が出現している。紡績業は7.8%増、化学原料および化学製品製造は9.5%増、非金属鉱物製品は11.7%増、一般機器製造業は7.1%増、運送機器製造業は9.6%増、 電気機械器具製造業11.1%増 、通信機器、コンピュータ及びその他の電子機器製造業は1.1%増、電力熱力生産供給業は1.7%増で、非鉄金属製錬および圧延加工業は1.7%の下落となっている。
上海証券報「4月[イ分]用電量与工業揄チ値乖離度加大」
リーマンショックに端を発し世界的な金融危機が発生したことにより産業構造の転換を声高に唱え続け8ヶ月ほど、中国はすでに数値にはっきりと表れるほどの省エネ、エコ社会を実現しつつあるようです(棒
「工業増加値」とは、中国独自の数値のようで、日本で言うところ「売上げ高総利益」に近いようでございます。
- サーチナ「工業増加値」
何のこっちゃわかりません。
中国電力企業聯合会が発表している消費電力や発電量やらのデータを拾ってグラフにしてみました。
中国電力企業聯合会のサイトを中心にデータを漁ってみたのですが、現在のように毎月データを公表するようになったのは2006年からなのか、これより以前のデータを拾うことができませんでした。また、年間総計(12月分)や1月分も拾うことができていませんが、こちらは単に検索ベタなだけかも知れません。
中国当局が発表している貿易総計と米財務省の対中貿易総計との累計前年度比のデータを重ねてみました。
『上海証券報』の記事では1月から4月のデータを元に記事を組み立てていますが、検索の仕方が悪いのか、この最新のデータを拾うことができませんでした。ちなみに上記グラフ中の4月分のデータは、『上海証券報』の記事から数字を拾っています。
「なぜだろー」と思いつつネットを徘徊している際に目に留まった、電力データ終了を知らせる記事をば。
長くなったので一端区切ります。
「その2」に続く。