表題の件に入る前に、盧武鉉前大統領の件。
23日早朝に自宅裏の崖から飛び降りてしまいましたが、その23日の北京の地方紙『新京報』が「盧武鉉の悲劇と韓国の政治文化」と題して、韓国の歴代大統領の引退後の境遇についてのコラムを掲載しておりました。
単なる偶然ですが簡単に紹介しておきます。
(前略:盧武鉉への疑惑とこれまでの動き)
韓国では、大統領引退後に司法調査を受けたのは、これで3人目となる。1995年に2人の前大統領、全闘煥と盧泰愚が、収賄罪と反乱罪によって無期懲役と懲役17年の判決を下され、のち恩赦されている。国を尊び国家元首となり、引退後に司法調査を受け、おまけに処罰される、これは韓国社会の独特な”政治文化”と呼べよう。更に”罰するに値せず”と幸いにも牢獄の災難を免れたとしても、晩年に世論からの非難を被らない者はなく、断罪された全、盧の両大統領に限らず、金泳三本人は平穏に”着陸”したが、次男が企業から巨額の賄賂を受け取ったとして逮捕され、”革新政権”と見られていた金大中は、任期中に3人の子供が告発、処罰され、父親としての親心のプレッシャーを背負いつつも国民に対して何度も謝罪した。
このような政治文化の原因は非常に複雑で、政治的地縁、血縁主義などの伝統的”風土”の踏襲、直接選ばれる大統領の権限が非常に大きく、任期が長いなどの制度的な要因があると同時に、今の政治構造は民主化以前の軍事専制体制から脱却したものであるので、政変、軍事統制、政治的迫害を源とする恨みの遺伝子が引き継がれており、これは単に政党政治の運営上に影響を及ぼしているだけなく、一般国民が執政者を見るときの心理にも影響を及ぼし、遠くは大統領の家族が”免罪符”を発行する政治的寛容がかもし出しているものでもある。逆に、熾烈な論戦や背後で異なる政治勢力を代表するメディアが動き回ることで、とかく社会の対立を先鋭化させ、有罪だ、無罪だと、前大統領の裁判を世論が熱狂する現実の政治活劇に仕立て上げてしまうからでもある。
”盧武鉉派”らは、夫人や親族の収賄行為に対して全く事情を知らなかったといった、盧武鉉自身がどう言ったのかというより、司法当局が捜査や事実的な基礎の上にたった法律的判断に拠っているかどうかを懸念している。たとえ最終的に本人が”潔白”となり起訴を免れたとしても、それは大目に見られた、更には側近の腐敗を放任した道義的に責任を指摘され、その咎からは逃れにくい。盧は高校卒業後、独学で弁護士となり、そして政界へと進み、最も人を引き付けたのは、このことではなく、まさに”腐敗と無縁”と呼ばれた清涼感であった。2002年12月、大統領就任直後の記者会見の席上で、彼は公職者の清廉の重要性を再度強調し、「今まで相変わらず請託文化が盛んに行われてきたが、今後不法な請託が見つかったら、私は引き下がる」と。盧政権が衰えていく中であっても”無能”と保守派がレッテルを張ったのだが、”清廉”を否定するものではなかった。
このため、盧武鉉の没落は、保守派を驚かせ、左派から言葉を奪ったのだ。
新京報「盧武鉉的悲劇与韓国政治文化 」
これまで以上の衝撃を韓国社会が襲ったとありますが、どうなんですかね。そうであるなら、今回の件によってより衝撃を受け、”韓国的政治文化”からの脱皮がより困難となったのではないでしょうかね。
それとも中南海への皮肉と、このぐらいのことで衝撃が走る韓国社会への羨望と嘲笑とが入り混じった記事だと行間を読むのが正解なのでしょうか。
しかしまぁ、盧武鉉は「純粋まっすぐ君」だったのでしょうね。一国の指導者であった人物としては、あまりに弱すぎるという印象を今回の件で持ちました。つい最近、某党の代表となった人物と同じような匂いがいたします。
表題の件。
「情報統制強化?!、電力データも”官製”に <その2>」の続き。
「その3」としてもよかったのですが、チョイトきな臭い匂いがしたもので表題を変えてみました。上記と同じく『新京報』より22日付の論評記事をば。
今年になってから、全国の”消費電力量”と”工業増加値”の2つのデータが、常に片方が下がり片方が上がっていて、これは確かにばつの悪いことだ。しかし、統計データが様々であることは悪いことではなく、逆に、仕様の統一を強調したり、データの統一はデータの偽造を招く可能性があり、経済の真相から遠ざかってしまうこととなる。
同じ経済状態を反映している、我が国の社会全体の電力使用量と規模以上の工業企業の増加値の2つのデータが、片方が下がり、片方が上がり、この乖離幅の拡大は11%にも達している。このような”異常”は、今年はすでに”常態”となっている。
国家統計部門は非常に困惑し、規模異常の工業増加値と消費電力量とが10%以上という巨大な乖離を説明する術がなく、個々の経済学者の説明も納得しずらいものとなっている。
データの乖離という恥ずかしい事態を避ける最もよい方法は、データを更に透明性を高め公開することで、同時に政府が民間の研究機関にデータを提供し、データを科学的に解読し、事実求是の結論を得るよう促せば、経済が政策が現実から乖離することもなくなる。
関係各方面はこの道の逆を行うようで、彼らはルートを統一し、解釈を統一するというやり方で気まずさを回避しようとしている。先日、国家統計局と中国電力聯合会(略称”中電聯”)の主管部門である国家エネルギー局が会議を開き、2つのデータの公表ルートの統一とデータの解釈についての統一を協議した。事情通が漏らしたところによると、2つのデータの新たな公表方法は、数日中に発表されるという(5月21日『毎日経済新聞』より)。
国家統計局が困惑を避けようという意図は理解できるが、仕様を統一し、解釈を統一することによって厄介ごとを避けようとするのは、伝統的な理念ではあるが実践においては賢明ではなく、仕様を統一することでデータの偽造が非常に容易となり、統一的見解は、民衆の智慧を封殺することになると指摘せざるを得ない。
すぐに電力データを公表する効能は明らかで、消費電力量は偽造することが非常に難しいからである。発電量と消費電力と比較すると、我が国の規模以上の工業増加値の”注水”の可能性は少し大きい。そのため、消費電力量は、マクロ経済の動きを考慮する客観的な指標として非常に重要なものとなっており、一部の研究部門は往々にして消費電力によってマクロ経済データを推測するほどだ。
中電聯は、5月中旬に4月分の消費電力データを公表するというルールに従わず、恐らく考え解釈する時間が必要で、国家統計局から、時間によって双方に乖離がなくなり、完璧な説明となる標準的なデータが統一的に発表されるだろう。関係各方面も、彼らの分析は十分に科学的で、権威的で、そのほかの研究機関が論証する必要がないと思うだろう。一般庶民にイタっては、彼らの結論が行くところを認可すればいいだけなのだ、
国家統計局が招聘している専門家、国務院発展研究センターマクロ経済研究部研究員・張立群が出した研究結果は受け入れがたい。張立群は、2003年から我が国は経済は、新たな比較的速い成長の中にあって、重化学工業が常に急速に発展し、このために電力需要が非常に大きく、発電量の増加が経済成長を上回る事態を招いたと述べている。しかし、現在の重化学原材料業界の調整によって、必然的に発電量と経済成長との関係に非常に大きな矯正力が生まれ、短期間のうちに発電量(消費電力)のマイナス成長と経済のプラス成長という現象が出現した可能性があるという。
しかし、中電聯の関連報告が示しているところによると、非鉄金属、化学、建材などの四大高エネルギー産業は、依然として発電量、消費電力の急速な増加を牽引している主要動力だ。中国電力企業聯合会の報告は、1月〜2月の消費電力量は-5.22%、第一次産業は前年比で4.88%の上昇、第二次産業は-10.19%、第三次産業は+7.66%で、第三次産業の上昇が第二次産業のマイナスを補うことなどできないと示している。
統計データは様々であるべきで、自由市場の進行による長期間の篩い分けによって、それぞれが信頼に足る結論を得ることができるのだ。アメリカの三大消費者信頼指数は、アメリカ企業聯合会、ミシガン大学消費指数、ABCニュースの調査によって完成し、全てが民間機関だ。数十年の試練を経て、市場がこの3つの会社が発表する指数が信頼できると選んだのであって、国家の統計部門に譲られた天下の研究組織の仕事ではないのだ。
統計データの乖離を解決するには、民衆の叡智を発揮し、更に多くのデータを提供し、多方面な解釈を行わなければならず、仕様を統一し、データを統一することは、経済の真相から更に遠く離れてしまうかもしれない。
新京報「経済数据強調“統一”未必是好事」
「データの信頼性云々」という話よりも、体制批判の色彩が濃いと思ってしまうのは、穿ちすぎでしょうか。六四が近いこの時期に微妙な論評記事を、と思ってしまいます。
そういえば、対中強硬派で19年前に天安門で抗議運動をやらかした米下院議長ペロシが、議員団を引き連れて24日から1週間ほど中国に滞在します。この時期のこの訪問、どちらが主導権を握っているのでしょうか。
当然、中共はペロシの後を追いかけてくるアメリカメディアの取材に神経を尖らせていて、趙紫陽の秘書であった鮑トウ氏の下に政府から六四まで取材を受けてはならないとの通知が22日に届き、CBSの取材陣が彼の元を訪れたが取材できなかったと氏自らがRFAに語っております。
- RFA「中国民間人士関注美国会女議長佩洛西訪華」
また、全国各地で人権活動家の監視が強化されたり、軟禁されたり、暴行されたりといった事態が発生していると報じられてもいます。
- RFA「中國政府在六四前夕加強監控異見人士」
電力データの話から逸れてしまいましたが、国家統計局から工業増加値のデータを拾ってきたので、中電聯のデータと並べたものを置いておきます。





