中央規律委員会の伸張、内紛?!@深セン市長失脚

2009年06月11日

深セン市長の失脚について。

先週の金曜日(6月5日)に出席予定であった投資フォーラムを欠席したことから、「拘束されたんじゃね?」と香港メディアが騒ぎ出し、9日に新華社が中央規律委員会が調査を行っていると発表し、自殺未遂なんて情報や女優が絡んでいるなんて情報が飛び交い、お隣香港がヒートアップしております。

 【香港9日時事】香港紙・明報は9日、中国共産党中央規律検査委員会が調べている広東省深セン市の許宗衡市長の不正疑惑に関連して、香港居住権を近年取得した本土出身の有名な女優が拘束されたと伝えた。

(後略)

時事通信「中国の有名女優も拘束か=深セン市長の不正疑惑調査

拘束された市長が7月にセルビアを訪問予定であったことから、出国されそのまま逃亡される可能性が高いと中央規律委員会が判断し、5日早朝に許宗衡と夫人を拘束したと報じられております。

そして11日、新華社が同氏を深セン市市長から罷免したと報じております。

様々な情報が乱れ飛んでいる中から、9日付の『香港苹果日報』をば。

深セン市市長・許宗衡が、中央規律委員会の「双視」を受けた後、内地政界の恐怖現象は、広東省からその他の省市、金融系統、高官の人々にまで広がっている。ことの原因は、国美電気の前首席・黄光裕事件が引き起こした汚職追放行動で、これは中央規律委員会内の出世争いが表面化したもので、そのほかの省や機関も災いに飲み込まれつつある。

鄭少東、陣紹基、王華元が取り調べされた後、広東閥は世論から多くの注目を受ける状況となった。筆者は、広東閥はすでに衰退し、中央の高層にも代表する人物はなく、中共十八大の政争の重点にはなりえないと以前に指摘した。海外の『多維月刊』は、黄光裕事件は、中央規律委員会副書記・何勇が、金融系統を掌握し、中央規律委員会書記・賀国強が築き上げてきたものを骨抜きにしようとして打った一手であると報じている。このニュースは、メディアの注目を受けていないが、その信憑性は極めて高く、内地高官も心中では、中央規律委員会の内紛が激化し火の粉が飛んでこないかとビクビクしている。

処理方法は法規を超えている

新聞、雑誌、ネットなどを擁する多維は、中共十六大前に賀国強が重慶市委員書記から中央組部長に転任するとスクープし、中共十七大前に再び賀国強の政治局常務委員、中央規律委員会書記に昇進をスクープしたことがあり、その情報源は、賀国強一派と関係が深いと見られ、中央規律委員会の内紛の報道に関しても全くのデタラメであるとは思えないのだ。

反腐敗が中共の政争の重要なツールとなってからは、中央規律委員会の権勢が凄まじく、それの法規を凌駕している処理方法が非難されるほどで、更には明代の特務組織、東厂、西厂のようだなどと皮肉られている。何勇は、1987年に監察部副部長に就任し、現在に至るまで規律検査、監察部門に22年間指導し続け、大権を握っており、賀国強でさえ手出しできない。報道によると、何勇は金融系統を把握するために、腹心に黄光裕と金融界の繋がりを厳しく調べさせ、まず中国銀行北京支局頭取・牛忠光を引き釣り下ろしたという。鄭少東が黄光裕をかくまったため、何勇が大いに怒り、鄭少東と陣紹基、王華元などの関係者を一斉に調査処理を行い、許宗衡の失脚も単に黄光裕事件の余波に過ぎない可能性がある。

中央規律委員会は、反腐敗の旗幟の下でやりたい放題で、若い規律委員官員は昇進するために、処理手段を選ばず、更にそれぞれの上司のために、攻撃範囲を拡大し、黄光裕事件に絡む高官がもっと存在し、更には金融高官が絡んだ大事件が次々と暴露されると思われる。

新世紀新聞網「李平:中規委内斗升級 高官恐慌(香港苹果日報)

面白い話ではあります。賀国強は江沢民に近い人物。

香港に隣接している深センの市長の失脚ということで香港政財界への影響も大きく、マネーロンダリングや賄賂を行っていた者たちが戦々恐々としていると報じられております。

思いのほか混乱が広がっているのか、中央規律委員会の関係者が「広東省の大部分の幹部や民衆はこれを支持している」と述べたと新華網が、罷免を伝えた同じく11日に掲載しております。

10日に広東省書記・汪洋が深センを訪れ、事件の善後策を話し合ったとの消息筋情報が流れております。以前に何度か紹介した汪洋が推し進めている広東経済の再編の中で発生した事件だと思うのですが、今回紹介した記事のように中央の政争が影響していたりするのですかね。ただ、これでこの事件が収束するというより、これから芋ずる式に関係者が挙げられる可能性があると内地メディアさえも報じていたりします。

単に見落としているだけかも知れませんが、『南方都市報』がこの件を一切報じていないのが少々気になっております。

もうひとつ、同じ筆者による10日付の『香港苹果日報』の記事をば。

広東の省級官員が次々と失脚し、中央規律委員会の権勢が更に注目されるようになり、加えて中央規律委員会は最近、県級の規律委員会の権力拡大を後押しし、地方の規律委員会官員は「春が来た!」とこれを歓迎し、3年前に格下げさせられた風潮を一掃した。しかし、中央規律委員会の反腐敗の背景の政争の性質は、司法システムを凌駕し、司法の人権的な処理手法を無視し、賛同を得ておらず、中国の法治の冬は何時まで続くのだろうかと人々に憂慮させている。

権力の拡大は政争の需要を満たす

司法の腐敗は、内地民衆の怨嗟の主な原因の一つで、毎年数十万人が北京に「ご陳情」に訪れている。司法が独立しておらず、党が法より上であることは、司法の腐敗の根源であるが、中共当局は本末転倒し、与党の党規を規律委員会の最高法執行部門に改変し、司法機関の法執行権を上回る権限を授け、まるで明代の東厂、西厂のようで、結果として規律委員官員が職権を濫用し、湖南省チン州市前市委員会副書記兼規律委員会書記・曽錦春は「第一腐敗規律委員会書記」と呼ばれたが、これは規律検査システムの腐敗の氷山の一角に過ぎない。

内地では、2006年、2007年の地方党委員会で交代選挙によって「減副」が行われ、即ち党委員会副書記の人数が減り、その中で、規律委員会書記が党委員会副書記を兼任しないのが一般的となってしまい、これは規律委員会の降格を意味し、中央が職権を濫用する規律委員会の行動を制約するものであると見られていた。

しかし3年経たずして、規律委員会の権勢が再び膨張し、中央規律委員会は最近連続で九号、十号文書を発し、県級規律委員会の地位と装備を強化し、人員編制の増加、党委員会内における規律委員会の地位を以前に戻し、新たな車両、コンピュータ、撮影機材、録音機材などの購入、中央の財政補助を50%から80%にし、残りを省級の財政負担とした。地方の規律委員会官員は、更に規律委員会書記の党委員会副書記兼任の回復し、ここ数年の規律委員会が被ってきた「虚しい」状況の改変を要求している。

中央規律委員会が深セン市長・許宗衡を失脚させたことは、主因は許宗衡が欲を出しすぎたということではなく、権利分配問題において権力者の機嫌を損ねたため、「深センの背後には北京の大物がいるかもしれない」と外界は信じている。規律委員会の権力を拡大するのは、反腐敗の需要というより、中共十八大を控え政争の需要があるということなのかも知れない。いずれにせよ、規律委員会の権力は強大であるということは、腐敗官僚の問題が解決しないだけでなく、中国の司法の独立性、法治国家という目標を更に遠のかせるものである。

新世紀新聞網「李平:中規委的春天 法治的冬天(香港苹果日報)

主人は誰なのでしょうかね。

北朝鮮が絡んできたりしたらもっと面白いのに。

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posted by タソガレ at 23:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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