まず、6月19日付の新華社傘下の『国際先駆導報』より。
6月15日、ロシア大統領メドベージェフは、中国中央電視台の取材を受けた際に、珍しく自ら本国の最新のスホイ34爆撃機を薦めた。周知の通り、武器売買はロシアの国の財政と民生の大事であるが、大統領が自ら広告を行うことは多くなく、この”大統領による軍事ショー”は何を意味するものだろうか?
ロシアの軍事産業は”包囲を突破”に中国に狙いを定める
中国の記者が特別取材を行った際、メドベージェフ大統領は、3月にスホイ34に自ら搭乗したときに感じたことを思い出し、「これは確かに偉大な飛行機だ」と率直に述べた。メドベージェフは、隣国やその他の国にこのような飛行機を輸出したいと思っており、この言葉には中国も含まれている。報道によると、スホイ34はスホイ27を基礎とし”四世代半”として作られた戦闘機で、スホイ27の空中戦能力を残しつつ、対地対海上遠距離攻撃能力を更に高め、7トンの爆弾を装着し、大陸間で正確な攻撃を行うことができ、ロシア空軍は2015年までに70機のスホイ34を購入することをすでに表明している。
ロシアは、このような先端戦闘機が中国の購買意欲を惹きつけることは、現実的に考慮している。少し前、中国解放軍総装備部部長・常万全上将率いる軍代表団が欧州三カ国を訪れたが、その中でロシアから最も熱烈な歓迎を受けた。モスクワにとって、当面、対中武器輸出を回復したいという差し迫った動機が、金融危機によってロシアの実体経済に巨大な打撃を受けたためであることは、ロシアの軍事企業の2009年上半期国際展示会での出展料の支払いが、大幅に下落したことからも見て取れる。同時に、金融危機は、いくつかの伝統的なロシアの武器輸入国(例えばインド、ベトナム)にも非常に大きな打撃をもたらし、そのためにできるだけ早く中露の軍事貿易を回復させるは、苦難にあえいでいるロシアの軍事産業に塩を送ることとなるのだ。
”北極熊”はどれだけのカードを持っているのか?
今年の5月16日付『ロシア報』で、ロシアの国営武器輸出会社のGMイサイキンは、ロシアの対外武器貿易は”繁栄の危機的状況”への道をまっしぐらであると述べている。2008年のロシアの対外武器貿易額は、67.25億ドルに達し、再び歴代記録を更新した。しかしイサイキンは、ロシアの技術集約型の武器輸出は年々下降しており、新たな発注量も著しく減少しており、イサイキンは、「私は(ロシアの)武器輸出の将来が、鉄鋼の輸出の轍を踏むことを座して待つようなことはしない」と憚ることなく述べている。
イサイキンは、この問題について、中露軍事貿易における影響を受けている極めて典型的なものであると述べた。つまり、長年、中国は常にロシアの武器の最大の買い手であるということだ。2001年から2008年まで、露中の軍事貿易総額は160億ドルに達しているが、対中輸出はロシアの軍事貿易総額の中で占める割合は急激に下落している。
ロシア戦略問題の専門家コノバーロフは、西側が依然として対中武器禁輸を行っている状況の下、中露の軍事貿易は下がり続けているが、20年前と比較すると、中国の国防の技術的な備蓄は明らかに豊かになっており、戦略的見地からも計画性と展望性とを有しているという。言い換えると、ロシアは、”蔵の奥にしまってある”品物と人民元を交換するか、何も得られないかのどちらかであるということだ。
問題の解決は問題を引き起こした当人が為すべきだ
ただ、ロシアの専門家は、現在の中露の武器売買において忠言している状況の主要な問題はロシア側にあるという。報道によると、2005年に中露はイル76輸送機とイル78空中給油機の売買協定に署名したが、その後ロシア側が、タシュケントにある製造工場が飛行機の生産能力を失い、生産ラインを移転しなければならず、新たな設備投資の必要であることを理由に、この協定を履行しないことを表明したのだが、核心は飛行機の価格を吊り上げようとしているためであるという。ロシア側は、30%の上乗せを申し出ているという。
実際、上述の事件は、ロシアの軍事産業の輸出の不正行為の氷山の一角が暴露されたに過ぎない。これは中国に対してだけでなく、他国に対しても同様だ。だから、ロシアが対中武器輸出をできるだけ早く回復したいと思っているのなら、更に努力し、更に多くの誠意を示さなければならない。中国にある古い話を送ろう、――”問題の解決は問題を引き起こした当人が為すべきだ”
国際先駆導報「俄總統親自向中國推銷蘇-34」
「別に困ってないけど、武器を買って欲しかったら買ってあげてもいいわよ」とツンデレの中国。
軍事的な側面だけを見ると、”中国製”兵器の開発生産によって、中国のロシア依存は20年前に比べると減っているのは真実であるかも知れませんが、ロシアは”唯一の友好国”であるという側面から見ると決して喜ばしいことではないのではないでしょうか。事実、ロシアはインドと第五世代の戦闘機の共同開発を行っていますし、中ソ対立思い起こさせるような孤立への道は避けたいのではないですかね。
もうひとつ、29日付『環球時報』より26日付のロシアの『独立新聞(Независимая газета)』の記事を中国語訳したものをば。ロシア発の中国脅威論です。
世界的な金融危機は中国に対して深刻な影響を与え、その発展の内部に多くの矛盾を生じさせている。このいくつかの生まれた矛盾の結果として引き起こされるひとつの結果として、中国の拡張の勢いの強化がある。
中国経済の急速の発展は、まず工業生産の成長があった。しかし、これには大量の資源を必要とし、中国自身の資源では不足するようになった。同時に、都市と農村、東西の生活レベルの格差が絶えず拡大し続け、社会の安定の脅威となり、更には領土保全に対しても影響を与えるようになった。その他、一人っ子政策が危機的な男女比と年齢比のバランスの失調をもたらしている。これらの矛盾を解決するためには、対外拡張の道を歩むしか手がないのだ。現在の境界の状況を見ると、中国はすでに生存空間が不足しているのだ。
中国の影響力が普段に強くなるのに対して、中国人は『中国は嬉しくない』という本を出版し、この中で中国は世界の如何なる国家よりも、世界の資源を有効に制御するだろうと指摘している。中国の大部分の知的エリート、特に若者は、軍事的手段を通じて資源と世界を統治する地位を奪取することを提案している。中国政府は、このような観点を”造反”とは見なしていない。軍隊が、中国経済の発展のひとつの主要な因子となる可能性が高く、国家が必要とする資源と領土を奪取することが可能なのだ。この本は、中国は武力によって国家の経済的問題を解決すべきであるという観点をすでに指摘していたのだ。
現在の中国の軍隊は十分に強大で、特に陸軍がそうであることは衆知のことだ。中国の軍事費は、増大し続けており、経済危機の影響を受けてもいない。このため、中国は自らを欺くことをやめねばならない――中国の現在は防衛ではく、防御する相手がないのだから、中国はすでに進攻を計画しているのだ。
中国の最終的な発展が、十分に強大な段階に達したときに、武力によって生存空間を拡大する戦略を始める可能性がある。二つ目に、内部の問題が一定程度に達した場合も、このような拡張を避けることはできない。こうなったときに、中国を阻止できる者は誰もいない。アメリカは、イラクやアフガニスタン、そして国内経済の疲弊によって苦しんでおり、欧州は平和主義と享楽主義の影響によって軍事力を失っており、ロシアも欧州を必死に見習おうとしている。現在のイメージでは、モスクワは、各領域、特に軍事面においては北京をリードしているように見られている。しかし中国の視点からみれば、ロシアは、現在の軍事改革が行われた後、軍事兵力がほとんど失われたと見えるだろう。このような情勢の下で、G2構想実現が最も可能性がある。現実が中米両国に先入観を取り除かせ、友好という方法によって我々の星を分割することとなるのだ。当然、中国は周辺の領土、東南アジア、中央アジア、朝鮮、そしてロシアのアジアの部分を得ることとなるだろう。
(筆者、アレクサンダー・Храмчихинロシア政治軍事分析研究所分析室主任)
環球時報「俄専家臆断経済発展推動中国拡張」
下記がその元記事。
- Независимая газета「Пекинский тигр изготовился к прыжку」
ロシア紙の記事を翻訳というより、抄訳、いや抜粋要約といった方が正確かもしれません。
元記事は、もっと長く、中国の内部矛盾について「都市と村では全く別の国である」、「8%という高成長を続けているが、その実8%を下回ると就業者を吸収できない」、「周辺各国が中国人労働者を締め出した影響もあり失地農民が増加している」などと具体例を挙げています。そして、内部矛盾による崩壊を食い止めることができるものは、「古典的な民族主義イデオロギー」、自身を世界の中心とし周りを夷狄とする中華思想しかないとし、それが軍事的拡張を支えているとあります。
ロシアの軍事改革がどのようなものか全く知りませんが、安易に軍縮に走ることへの警鐘を、中国脅威論を借りて鳴らしている、といったところでしょうか。
そしてこの中国語に翻訳された要約記事、300以上のコメントが寄せられるという人気ぶりだったりします。コメントのほとんどが「お前が言うな」、「バカだ」というものですが(w
記事内容の是非はともかく、ロシアでの報道とそれを中国メディアが紹介しているという点に、ロシアにおける対中感情、中国における対露感情に微妙なものを感じます。その触媒となったのは北朝鮮の暴走だったりしてね。





もちろん警戒している人もいるでしょうが。
金融危機が起きた時、輸入中心の中国は相当なダメージをうけ、震源地であるアメリカ、その影響をうける欧州は立ち直るのは難しい、それとは対照的に、日本はホワイトナイトの様に欧米金融機関に金をつぎ込み、金融危機の救世主になるなんて意見もありましたが、現実は全く違うものでした。
日本は欧米と比べて大幅なマイナス成長、つい最近も欧米と比べようもないほどのデフレが発表されました。
それとは対照的に中国は大幅な成長率、今年中に日本のGDPを抜く事が確実となり、日本はデフレで経済も縮小し、いずれインドにも抜かれるのではないかと思われます。
元の記事でもあるように今後大国へと突き進む中国とアメリカがG2を形成するのは時間の問題でしょう。
アメリカの識者の意見などは、G2が形成されて一番苦境に立たされるのは、ロシアでも朝鮮でも無く、日本であろうという意見でほぼ一致しています。
たぶんその通りなんだと思います。
7月に日米中で局長級の会議をやるそうですが、たぶん米中でG2をいきなり形成すると、日本が警戒してあらぬ方向(核武装とか)に行くのではないかという懸念もあって、実質的には米中G2なんだけど、日本を挟む形で核武装など阻止すために3カ国による会談になったのではないかとみています。
本当に日本としては厳しい状況になりました。
> 日本はホワイトナイトの様に欧米金融機関に金をつぎ込み、金融危機の救世主に
そうでしたっけ?
「米欧は自分でケツを拭け、発展途上国には1,000億ドルをIMFに融資するからここから助けてやれ、ちなみに中韓は途上国に入らないからな」って早々に自身の立場を鮮明にして無用の期待論を吹っ飛ばしつつ、途上国が吹っ飛ぶことを防いでいるんじゃなかったでしょうか。