中国版サブプライム危機への憂慮

2009年07月17日

2週間近く前、7月3日に人民日報傘下の環球網が掲載したシンガポールの経済コラムニストの評論記事をば。

経済政策の緩和と4兆の刺激資金などによって、今年1月から5月の中国の新規貸付累計は5.84兆元に増え、この数字は、年初に予測した年間新規貸付総額をすでに超えるものである。事実上、今年上半期の新規貸付総額は、新中国が設立してからの全ての年間総額を超えるもので、もちろん世界的な金融危機に対応し、経済衰退を押し留めるためには必要なことではあるが、このように巨大な集中的放出に、”やりすぎではないか”と心配せずにはいられない。

人々の最大の心配事は、このように巨大な資金の相当な部分が、緊急に資金繰りを必要としている実体経済、対外輸出を維持し、内需を刺激し、経済の良好な循環を促進する実体経済に向かっているのではなく、不動産市場や株式市場などの仮想経済の領域に向かっているということだ。このような憂慮は取り越し苦労では決してない。審計署の最新の調査によると昨年、6軒の銀行の下部機関が不法に組んだ住宅ローンは300億元以上で、そのうち215億元は不動産市場に流入したという。

統計によると今年、全国70の大中都市の不動産価格は、3ヶ月連続で前月比で上昇しており、そのうち一部の都市のいくつかの不動産ビルでは、伸び幅が30%を超え、下火になっていた自ら価格を吊り上げたり虚偽入札などの悪意ある扇動現象が再び出現している。

不動産市場を刺激するために、関係各方面が、不動産開発業者の自己資金比率を緩和し、住宅ローンの敷居を下げ、更には酷いものでは、某地方では”頭金1割”という驚くべきニュースが聞こえてきており、”頭金ゼロ”の出現も時間の問題であると予想している人までいる。

一部の地方や部門にすれば、貸付資金が不動産市場に投入されることは、”成長を保つ”のに最も効果が現われる近道ではある。自由資本比率の緩和は当然ながら不動産開発業者の資金繰りの圧力を軽減し、資金繰りが破綻する心配をしなくてよくなり、気兼ねなくどんどんと販売することができ、価格を押し上げる手口を用いるようになっている。住宅ローン、特に”中古物件”の住宅ローン利率と敷居を下げたのは、市場を刺激する必要性があったからであるが、投機目的、利益目的による不動産購入が再び頭をもたげてきている。”頭金1割”や”頭金ゼロ”が現実のものとなった場合は、更にコントロールしにくくなる。この意味するところは、本来であればワンルームしか購入できない者が、投機し、10室、いやもっと沢山の家を買えると煽っているということだ。

一部の憂慮しているアナリストは、このような現象を放置し続ければ、中国版”サブプライム”危機が出現し、中国経済に壊滅的な打撃を与えるだろうと考えている。

”サブプライム”は、たんに不動産市場に対する過度の扇動と投機というだけでなく、不動産、流通市場のそれぞれとリンクした証券化、派生商品化し、元々のリスクをより一層非常に大きなリスクとなるが、金融の領域でアメリカから大きく遅れている中国において、その不動産市場の証券化は、未だに初歩的な段階にあって、”サブプライム”自体が出現することはないので、”サブプライム”危機なんて問題外であるという。

しかしこれは、中国の不動産市場に”バブル経済”のリスクが存在しないということではなく、逆にリスクがすでに非常に大きなものとなっていると言える。

分譲住宅価格と国民世帯収入の比率は、すでに世界のトップに位置しており、買えない、部屋が足りない、ということはすでに中国の都市に暮らす人々が共有する痛みとなっており、まさにこのために、一昨年末から昨年の頭にかけて、各方面が徐々に不動産市場の条項を強化し、不動産価格を引き下げようとしてきた。しかし現在は、開発業者が、政府が経済を刺激し”保八”しようと焦っている心理を利用し、再び元の非常に高い不動産価格へと煽り、経済復興への光が未だに見えない中で、多くの民衆が振り返って憂慮している状況の下、不動産市場の剛性需要は圧迫され、不動産市場の投機化、バブル化は加速するのは明白だ。

国家が貸付の緩和を行い経済刺激計画の最初の意図は、実体経済の活力を取り戻し、内需を刺激し、経済成長を確保することであったが、仮に大量の新規資金が”実を避けて虚に向かい”、不動産市場に流入すれば、実体経済、特に最も流動資金を必要としている企業の”失血”をもたらし、広大な労働者の雇用と収入に影響を及ぼすこととなるので、国民経済の長期的、健康的な発展に対して憂慮すべきことなのだ。

資金が大量に集中し熱くなっている不動産市場、このような熱い不動産市場の繁栄は、主に利用者の煽りによる高騰に頼っており、このような真実が欠乏した需要の旺盛は売買は、最終的に食物連鎖の断絶を必ずや招くこととなり、金融システムの大量の不良債権を生み出すこととなる。非常に明らかなことは、中国に”サブプライム”はないが、”サブプライム式バブル”やバブルがはじけるリスクは、不動産市場の中に明らかに存在しており、尚且つ段々と深刻になっているということだ。今回の世界的な経済衰退の根源は、まさに不動産バブルと”サブプライム”危機が引き起こした連鎖反応で、現在のところ、世界経済は未だに回復せず、傷が癒えておらず、ここでどうしてこの痛みを忘れることができるのだろうか?

(筆者、シンガポール『聯合早報』経済コラムニスト)

環球時報「当心出現中国式次貸危机

いずれにせよ、7.9%という驚異的な成長率を発表できたのですから、めでたし、めでたしなのでした。



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posted by タソガレ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 経済関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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