28日の名古屋で開かれた公明党議員の会合での麻生さんの発言に対して韓国政府が早速反応を示しました。
韓国外交通商省は30日、天皇の靖国神社参拝を促した麻生外相発言について遺憾の意を表明、発言の即時撤回を求めた。報道官名の声明は、外相発言が「過去の日本の侵略戦争の歴史を正当化し、美化するもので、極めて遺憾だ」と批判している。麻生外相は28日、「英霊の方は天皇陛下のために万歳と言った」と述べた。
(毎日新聞) - 1月30日21時3分更新
Yahoo!ニュース「<韓国外交通商省>麻生発言の即時撤回要求 天皇の靖国参拝」
まー、韓国の反応など、どうでもよくて興味はありません。興味がないのでよく知らないのですが、韓国は、A級戦犯の合祀などに関係なく、日本の首相が靖国神社に参拝すること自体に反対しているのでしょうかね。上の記事では、韓国外交通商部の発言が切り貼りされていて全体像が見えませんが、この記事を読む限りA級戦犯云々関係なく靖国神社へ参拝すること自体に反対しているようですね。
興味があるのは、中共の反応です。
【北京29日時事】中国国営新華社通信は29日、麻生太郎外相が28日に天皇陛下の靖国神社参拝を実現すべきだとの考え方を表明したことについて、「日本の一部右翼は一貫して天皇陛下の靖国参拝復活を鼓舞しているが、麻生外相の発言は極右勢力の立場を代表したものだ」と非難した。
(時事通信) - 1月29日19時0分更新
Yahoo!ニュース「麻生外相「極右の立場代表」と非難=「天皇の靖国参拝」発言で中国新華社」
確かに新華社や人民日報などで今回の麻生さんの発言を伝える記事が多く出ています。見つけたものを並べてみます。上記、時事通信にあるように「極右勢力の立場を代表したものだ
」とした新華社の記事は見つけることが出来ませんでした。
- 1月29日:新華社「麻生「天皇は靖国神社参拝をすべきだ」」
これが多分、第一報。表題からして恣意的。「天皇の参拝を望んでいる」と記し「天皇が参拝を取りやめた理由をA級戦犯を合祀したから」と説明を加えている。 - 1月30日:人民日報「麻生は日本をどのこへ導くつもりか」
新民晩報の転載記事。A級戦犯合祀の経緯を時系列で詳細している。だから天皇は参拝を取りやめたのに麻生は何を考えて天皇参拝を求めているのか?と。 - 1月30日:新華社「社民党の福島党首が麻生を追求す」
- 1月30日:新華社「韓国政府、麻生発言は受け入れられない」
- 1月30日:新華社「安倍「発言は麻生の個人的見解だ」」
- 1月31日:人民日報「麻生は詭弁を弄す」
新華社の転載記事。麻生は皇国史観、軍国主義復活をもくろんでいるに違いない、と。 - 2月1日:人民日報「麻生曰く「靖国参拝は適切に判断する」」
中国新聞網の転載記事。昨日のテレビ朝日の報道ステーション出演時の発言を取り上げての記事。まだ、靖国神社には「位牌」が祀られているなどと言っています。
見落としている記事もあると思いますが、大体こんな感じです。んで、肝心の中共政府の反応なのですが、春節中ということで正式に反応はまだ示していません。麻生さんに日ごろの仕返しをしてやりたいと思っているであろう日本のマスコミにとっては、孔泉が強い姿勢で非難する絵が欲しくて仕方ないのでしょうが全く反応を示していません。
ここで突然ですが、駐日大使王毅について。
彼は、昨年12月12日に突然密かに帰国していました。異例の長期帰国で重病説などもささやかれていましたが、今月26日に、これまた密かに来日していました(註1)。そして、重病説を振り払うかのように29日はゴルフに出かけています。
昨年十二月中旬から、約一カ月半にわたり中国に帰国し、「重病説」までささやかれていた王毅駐日大使が二十九日、東京都小平市で「友人」とゴルフを楽しみ、“健在”ぶりをアピール。産経新聞に「帰国は休暇だ。中国の大使には二カ月の休暇がある」と語り、さまざまな憶測を否定した。
王大使は「休暇中にいろいろな人と会い、いろいろな議論をした。仕事をしながら休暇を取った」と述べ、帰国中に対日政策に関し意見交換を重ねたことは認めたものの、「中国が対日政策の見直しを検討している」との見方については、「それは本当にうわさだ」と否定した。
(以下略)
Yahoo!ニュース「王毅駐日中国大使 「対日」見直し否定/長期帰国の憶測払拭」
この王毅が、28日に日本在留中国人に対して春節の祝辞を駐日本中国大使館のサイトで発表しています。その中で現在の悪化している日中関係を次のように言っています。
周知の原因により、中日関係は現在困難な局面に直面している・・・(以下略)
中華人民共和国駐日本国大使館「2006年新春祝辞」
祝辞ということで表現が非常にマイルドで曖昧です。「周知の原因」とは、潜水艦による領海侵犯、反日暴動、東シナ海ガス田などのことでしょうか。というように受取る側がどうとでも解釈できる言葉を使っています。ですが、この後「歴史を鑑み」云々といつものテンプレ文章が続くのですがね。
28日にこの祝辞を発表して新華社辺りが翌日に掲載する算段だったのではないでしょうか。しかし、新華社が掲載したのは31日でした(註2)。28日に例の麻生発言があり、記事掲載を見合わせた。来日早々につまずいてしまったわけです。そして、31日になりようやくGOサインがでて掲載となったのではないでしょうか。この微妙な時差が、なんとも味わい深いです。
この祝辞、中日友好を高らかに謳いあげていて「中日双方が共に努力し、向き合って進んでいく必要がある
」などと言っていたりもします。祝辞ということを差し引いても、なんだか気持ち悪さを感じるのは中共を色眼鏡でしか見れなくなっているからでしょうかね。ちなみにこの祝辞の記事、新華社が掲載してから多くのサイトが転載掲載しています。
何が言いたいのか分からなくなってしまいましたが、日本のマスコミが「中韓が猛反発」などと囃し立てていましたが、韓国はともかく、中共政府は麻生発言に対して今日現在で全く反応していないと言うことです。
また、中共にとって靖国なんかより、台湾の陳水扁が国家統一綱領廃止を検討しているというニュースの方が衝撃が大きいでしょう。陳水扁の発言に対して馬英九などの反発、日米共に1つの中国を支持しており今回の陳水扁の動きを牽制しているなどと伝えています。こちらの事案についても中共政府は、公式に反応を示していません。韓国もウォン高で靖国どころではないと思うのですが・・・。
ともあれ、春節明け一発目の外交部の記者会見が、色々な意味で楽しみです。孔泉かな。
香港紙の反応を少し。
香港紙も例により麻生発言を多く報じています。そんな中、明報が靖国神社についての解説記事を掲載していました。ようやく靖国神社には位牌など祀られていないということに気づいたようです。
中国メディアは、ずっと東條英機などのA級戦犯の位牌が靖国神社内に祀られていると報道してきたが、日本外務省の官吏は「これは極めて大きな誤解で靖国神社内には位牌は祀られておらず、亡霊の名前が記されているだけである」と強調している。
明報「供奉戰死亡魂 包括甲級戰犯」
その他、明報は記者を日本に派遣して取材を行っていて、「祀られている全ての魂は、一枚の青銅製の鏡の上に解けていっしょに存在し、魂は海の中の水のようなもので分けること等できない
」などということを紹介していたりします(註3)。今までよく知りもしないで批判をしていたつーことです。大陸メディアがこの間違いに気づく時が来るのでしょうか。
最後に朝日新聞の社説を転載しておきます。
外務大臣は日本外交の責任者である。だが、靖国神社をめぐる麻生外相の最近の発言は、その責任と重みをわきまえているのか、疑問を抱かせる。
先週末、公明党参院議員の後援者らの会合で、小泉首相の靖国神社参拝について聞かれ、こう答えた。
「英霊からすると天皇陛下のために万歳と言ったのであって、総理大臣万歳と言った人はゼロだ。だったら天皇の参拝なんだと思うね、それが一番」
「(天皇の参拝が)何でできなくなったかと言えば、公人、私人の、あの話からだ。どうすれば解決するかという話にすれば、答えはいくつか出てくる」
なにが言いたいのかよく分からないが、天皇の靖国神社参拝こそが重要であるというメッセージは伝わってくる。
この発言は直ちに世界へ報じられた。
「麻生外相が戦争神社への天皇参拝を求めた」(英BBC放送)。「日本外相が、天皇は靖国神社を参拝すべきだと主張した」(中国国営新華社通信)……。
麻生氏にはそこまで言ったつもりはないのかもしれない。だが、外相が天皇の参拝の問題まで持ち出した事実は重い。
いま、天皇による参拝の可能性が国内でも国際的にも注目を集めているわけではない。深刻な外交問題になっているのは首相の参拝であり、その収拾策こそが外相に求められている。
首相の参拝中止を求めている中国について「たばこを吸うなと言われたら吸いたくなるのと同じ」と批判したのもいかがなものか。煙で迷惑をかけていたら、吸わないのが礼儀だろう。
問題をさらに広げるかのような発言は不見識のそしりを免れない。どこか言葉のうえで、もてあそんでいるような風情すら感じさせる。
事実関係からみても、麻生氏の発言には理解できない部分がある。
昭和天皇は戦後8回靖国神社に参拝したが、75年11月を最後に参拝をやめた。戦争の指導者だったA級戦犯が78年に合祀(ごうし)された後は一度も参拝していない。
天皇が参拝しない理由はなにか。麻生氏が「公人、私人の話」と述べたのは、75年8月に参拝した三木首相が「私的参拝」と位置づけたことを指すようだ。
参拝支持派の一部はこのため「公的、私的の区別がない天皇は参拝できなくなった」と主張している。A級戦犯の合祀が障害なのではないと言いたいのだ。
だが、この主張は筋が通らない。三木氏の参拝の3カ月後に天皇が最後の参拝をしたことの説明がつかないからだ。外相はどんな根拠があって天皇の真意について発言したのか、説明を求めたい。
秋の自民党総裁選に意欲を示す麻生氏は、小泉路線の継承者という立場を打ち出そうとしているようだ。靖国神社をめぐる発言には、党内の右派の支持を集める思惑もあるのかもしれない。
だが、外交の責任者という立場を忘れてもらっては困る。麻生氏は改めて自らの真意について丁寧に語るべきだ。
朝日新聞31日付社説「麻生発言 天皇を持ち出す危うさ」
三木の「私人、公人の話」の為に天皇は参拝を中止したという説を「説明がつかない」として一蹴し、A級戦犯合祀が参拝を取りやめた理由であるかのような書き方をしていますが、A級戦犯合祀がなされる3年も前に参拝を取りやめていたことについて、朝日新聞はどう捉えているのでしょうかね。
この社説で朝日新聞は、「A級戦犯合祀が天皇の参拝取りやめの原因である」とは主張していません。しかし、そうであるかのような印象を与える書き方をしているわけです。これが、朝日の印象操作というやつです。
追記
しかし、天皇参拝は75年11月21日を最後に途絶えた。現在の天皇も皇太子時代に4回参拝したが、即位後の参拝はない。
なぜ、途絶えたのか。78年のA級戦犯合祀(ごうし)に配慮したとの指摘が政界には根強い。ただ、最後の天皇参拝と合祀の間には約3年の空白がある。このことから、最後の参拝の前日、75年11月20日の国会審議が響いたとみる向きも多い。同年8月15日の三木武夫首相の参拝は「私人」の資格を強調したため、野党は天皇参拝はどうなのか、と追及。吉国一郎内閣法制局長官は「私人としての行為」であり、公的参拝は「憲法20条(政教分離原則)の重大な問題になる」と答弁した。
(以下略)
毎日新聞2005年7月16日「「靖国」と政治:/5 天皇参拝30年の空白 「復活」絡めた分祀論も」
- 註1
- 星島日報「駐日大使結束休假」
- 註2
- 新華社「王毅:中日関系面臨困難局面 需双方相向而行」
- 註3
- 明報「靖國神社 中日關係死穴」






まあ,韓国などどうでも良い言いながらも,
彼らの抑えきれない衝動による支離滅裂な行動にはどうしてもほほえんでしまいます.いや,ほんと期待を裏切らないです.
それはともかく,中狂の反応の薄さは気になりますね.
正月惚けしているなら,感情的な反応があってもいいのでしょうが.
対日政策を転換したのかなと勘ぐります.
正面衝突を避け始めたのかな〜と.
まあ,エース孔泉の言を期待です.
それにしても,ネタだらけの日中関係ですが,日本のメディアは相変わらず素っ気ないですね.
ブログ巡りでもしないと,中国の言い分さえ分からないというのは,かなりストレスです.
このブログに期待していますので,頑張ってください.
励ましのお言葉ありがとうございます。
おっしゃる通り、韓国の反応を眺めているのは面白いですね。打てば必ず響くし、時々期待以上の反応に驚かされることも多いです。
今回の王毅の祝辞、日本の対中感情向上作戦の一発目の仕事だったのに麻生さんがものの見事にぶっ潰したのではないかなぁと思ったりします。王毅にとっては幸先の悪い年初めとなったではないでしょうかね。
ともあれ、やはり孔泉待ちですね。