中共政府からウイグル独立運動のリーダーと祀り上げられているラビアさんが来日中でございます。10の大学で講演を行い、11月2日まで滞在予定とか。
- 世界ウイグル会議「ラビア・カーディル総裁来日、全国10ケ所の大学で講演」
で中共政府の反応は・・・
亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル主席の日本訪問に関し、中国政府が日本の査証(ビザ)発給に抗議していたことが分かった。児玉和夫外務報道官が21日の記者会見で明らかにした。中国外務省幹部が19日に和田充広駐中国公使を呼び、伝えたという。(21日 23:52)
日本経済新聞「「ウイグル会議」主席へのビザ発給、中国が抗議」
20日の外交部定例会見では・・・
外交部「2009年10月20日外交部発言人馬麻旭在例行記者会上答記者問」
- 質問
- 報道によると、ラビアが近々日本を訪問するという。中国側はこれに対して何かあるか?この件が中日関係に何か影響を及ぼすことがあるか?
- 馬朝旭
- ラビアがコソコソと日本を訪問することに関して、中国側はすでに日本側に交渉を提出している。日本の一部の勢力が、ラビアの日本訪問によって中国の分裂活動を推進しようと画策しており、日本側が中国側の頑なな反対を顧みることなく、ラビアの入境を許したことに、我々は強烈な不満を示した。ここで私が強調したいことは、中国政府は民族分裂に反対し、国家の統一を維持するという意志は確固不動のものであり、如何なる中国分裂の企ても成功することはないということだ。
また、日本でも伝えられている通り先月25日には中共の圧力により中国国民党政府がラビアさんへのビザ発行を取りやめると発表しておりました。
- MSN産経ニュース「台湾行政院、ラビア・カーディル議長の訪台禁止」
9月末に開催された高雄市主宰の映画祭でラビアさんのドキュメンタリー映画が上映されたり、更に8月にはダライ・ラマを招いたこともあり、「高雄に金を落とすな!」ということで高雄への観光自粛運動が行われたりと、”民”を巻き込んでの牽制に余念のない中共でございます。
その中共が、現在ダライ・ラマ以上にその動向に神経を尖らせていると言われているラビアさん、実は日本訪問の前にドイツを訪れておりました。
ドイツを訪れたラビアさんは、同じくドイツを訪問中であった習近平が13日、メルケルと共にオープニングセレモニーに参加した書展の最終日、18日に姿を見せ、迫害されている中国の作家についてのシンポジュームにまで参加し、その後、中国館、台湾館を見学しております。
シンポジュームの中でラビアさんは、「中国では毎日死刑が行われており、人権が尊重されていない。このような書展に中国を主賓として参加させるべきではない」との言葉を発しております。
- 明報「熱比亞現身コ國書展批中國」
当然中共政府はドイツ政府に対しても強烈な不満を・・・というわけではありません。
フランクフルトで開催される書展にラビアさんが招待されていることは、9月18日に『環球時報』がすでに報じておりました。しかし、その後の外交部会見でこの件について質問が飛ぶことはありませんでした。質問があったのかも知れませんが、少なくとも外交部のサイトにドイツでのラビアさん、そしてドイツ政府についての言及は一切ございません。
この記事によるとラビアさんだけでなく、ダライ・ラマの特使もこの書展に招待されていたようです。
つまり習近平は、目下のところ中共にとっての敵、分裂主義者の二大頭目、ラビアさん、そしてダライ・ラマの特使が招待されている書展の開幕式にノコノコと出かけたということになります。
しかも、この開幕式での挨拶でメルケルから
言論の自由は国家にとって非常に重要で、近年中国の政治と経済とのパワーが大幅に上昇しており、政治や経済の自由、そして言論の自由において、中国もその国際的責任を引き受けなければならない。
新浪網「習近平默克爾主持掲幕(星島日報)」
なんて衆目の前で指摘される始末。
会談でもメルケルは、これまでどおり人権問題を取り上げたりしたようですが、「内政干渉だ」といった抗議をするでもなく、途中で予定をキャンセルするでもなく習近平は予定通りの日程をこなし数億もの商談を成立させてドイツをあとにしております。
以前にメルケルとの会談の直前に習近平が江沢民の著籍をメルケルに手渡したことは触れましたが、この時、習近平は江沢民の「よろしく」との言葉を伝えたが胡錦濤、温家宝の言葉は伝えなかった、またメルケルが江沢民によろしくと述べたと新華社は伝えたが、現総理である温家宝への言葉は伝えなかったなど、人事が先延ばしになったこととあいまって様々な憶測が飛んでおるようです。
- 明報「習近平見默克爾 談江澤民未提胡温」
- 大公報「習近平贈默克爾江澤民書惹聯想」
それに加え、このドイツでの習近平の扱い・・・色々妄想したくなります(w
ラビアさんが書展に姿を現したことを受けて21日に『環球時報』が記事にしておりますが、ほとんど転載されることもなくヒッソリとしております。
- 環球時報「コ国媒体持続給法蘭克福書展施圧」
この記事、表題からも伺えるようにフランクフルト書展が”反中”ドイツメディアから圧力を受け、中国政府の意向に反する形で書展を開かざるを得なかったと述べております。そもそも中国が主賓となったことに憤っているメディア、議員さんがいるようで、「一部の反中勢力が・・・」、対日のように「右翼どもが・・・」といった表現で切り捨てるのではなく、批判は耳を傾けるに値しないが、これを機にドイツ内で反中が広がることを警戒せねばならぬ、といった趣旨のコメントを専門家に吐かせております。
ドイツの中文サイトの記事をいくつか斜め読みした感じでは、書展開催前から中国を主賓とすることに対する批判があって、書展は「二つの中国を体言している」なんて言われたりしていたようです。
また、中国側が亡命作家の参加に圧力を加えたり、関連行事の中で反中共的(と中共がレッテルを貼っている)人物が現れると、中共側の人間が一斉に退場するといった愚行を行ったりとドイツメディアに格好のネタを提供したこともあって、余計に中共の行動に世間の目が集まる結果となったようです。
- DW「習近平訪コ:中コ簽署巨額経済協定」
- DW「専訪:戴晴談法蘭克福書展感受」
中共がチベットで云々、ウイグルで云々というより、異なる声に耳を傾けない、対話を拒絶した姿勢への批判が大きいようです。
書展終了後に中国側との調整役だった人物が辞任したことからも、中国を主賓国としたことへの批判と亡命作家の参加を巡るグダグダが引き起こした騒動の大きさが伺えます。
このようなことは、国民性の違いの前に、宣伝部のドンの前に雁首そろえてありがたいお話を拝聴し、そのことを取り上げ非難しないようなメディアしかない日本ではなかなか起きそうにありません。
それにしてもメルケルは、初めて首相として訪中した際に北京の大使館で発禁処分を受けた『中国農民調査』の著者と面会した頃と、中国に対する物言いは少しも変わりませんね。そして中共のサルコジ、フランスへの対応との差は、どこから来るのですかね。経済的なものなのでしょうか。
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