朝日新聞と人民日報

2006年02月13日

朝日新聞と人民日報は1999年の友好宣言以来、朝日新聞は人民日報の記事を自身のサイトで掲載しています(「朝日新聞の人民日報の記事掲載ページ」)。

このコラムは日中両国をつなぐウェブ上の言論・報道の架け橋です。
朝日新聞と人民日報はそれぞれ日中両国を代表する報道言論機関として、長年、国境の壁を越えたさまざまな友好協力関係を築いてきました。この絆を、インターネットをはじめとする新しいメディアの世界にも広げようと、この春、両社間で「友好覚書」を締結し、電子メディア分野でも手を携えていくことを約束しました。
今回スタートした「日中飛鴻」のページは、その第一弾です。両紙の記者が執筆したコラムを相互に交換し、アサヒ・コム、および人民日報網絡(インターネット)版に日本語と中国語で掲載していきます。「日中飛鴻」というタイトルには、日中両国をまたいで大きく羽ばたく鴻(おおとり)に育て上げたいという願いを込めています。
両国の代表的な報道機関である両紙の記者によるコラム交換は、日中両国国民の相互理解をさらに深め、友好関係の強化に寄与すると期待しています。さらに、これまで米国を中心に発展してきたインターネットの世界に、「アジア」という新しい拠点を築いていくことができればというねらいもあります。
コラムを執筆するのは、両紙で取材経験を積み重ねてきたベテランの記者です。身の回りの出来事から、社会事象、歴史に至るまでさまざまなテーマを、わかりやすく、鋭い切り口でひもどいていきます。それでいて肩のこらない読み物にしたいと考えています。「日中飛鴻」にどうぞご期待ください。
1999年8月15日
朝日新聞社電子電波メディア局長 堀鐵蔵
人民日報社網絡版編集部副主任 蒋亜平
人民日報日本語版-日中飛鴻-「両紙友好宣言

人民日報は、言わずと知れた中国共産党中央委員会の機関紙、中共のプロパガンダ紙です。

朝日新聞は、どういうつもりで「友好宣言」などして人民日報の記事を自身のサイトで紹介しているのでしょうか。また、どういう基準で掲載する記事を選別しているのでしょうか。人民日報からの指示で掲載する記事が決まっていたりして。

ちなみに、上記にある友好宣言以来、人民日報日本語版上で連載が始まったコラム「日中飛鴻」は、2000年5月15日を最後に更新は行われていません。宣言から1年経たずして中国側は、更新を停止しています。

そういえば先月、次のような記事を産経新聞が報じていました。

中国外務省傘下の半月刊誌「世界知識」(16日発行)は3ページをさいて産経新聞などを名指し批判した。中国メディア上で産経が批判対象となることは珍しくないが、「言論暴力団」「保守御用喉舌(宣伝機関)」と呼ぶなど、ここまで激しい論調は珍しい。今月上旬、日中協議の席で、中国側が日本側に報道規制を求め断られた経緯があるが、当局が日本メディアの中国報道にいかに敏感になっているかがうかがえる。
・・・(中略)・・・
一方、朝日新聞については、「広範な大衆を代表する進歩的メディア」と紹介し、戦後の保守勢力台頭に断固反対する民衆と朝日新聞に対し「保守勢力は言論操作の重要性を実感した」と解説。フジサンケイグループを、保守政財界のてこ入れで生まれた「保守勢力の御用喉舌」と位置づけた。
さらに産経新聞などを「狭隘(きょうあい)な民族主義を吹聴するだけでなく、異論を排斥する言論暴力団」と呼び、「朝日新聞や進歩的論客を長期にわたって悪意に攻撃してきた」と述べた。
産経新聞「「産経は言論暴力団」 中国誌、名指し批判

朝日新聞は、中共のお墨付きを得ているということのようです。

ashahi07.jpgこの人民日報との友好宣言、過去の朝日新聞の言動や普段のスタンスから鑑みるに人民日報の出先機関、独裁強権国家である中共中国のプロパガンダを垂れ流すために宣言した「中共プロパガンダ宣言」としか見えません。文革時にその異様さに気づき本国に真実を伝え、次々と北京から日本の記者たちが追放される中、朝日新聞は最後まで自身の声で真実を伝えることなく中共政府の信頼を得て北京支局を維持し続けたという新聞社です。

と、前置きが長くなりましたが今回の本題は、朝日新聞社説と人民日報、新華社との素敵なコラボレーションを紹介したく綴っているわけです。まずは、11日付朝日新聞の社説から。

かつて日本は朝鮮半島や台湾を植民地にした。しかし、それは必ずしも悪いことではなかった。麻生外相はそう言いたくて仕方がないかのようだ。
先週末、福岡市での講演で、日本が戦後のアジア各国の発展を支えたと説くなかでこう述べた。
「日清戦争のころ、台湾という国を日本に帰属することになった時に、日本が最初にやったのは義務教育です。貧しい台湾の人々が子どもを学校にやったらカネをやるという大英断を下した」
「結果として、ものすごく教育水準があがって識字率が向上した。おかげで、台湾という国は極めて教育水準が高い国であるがゆえに、今の時代に追いつけている」
思い出されるのは、麻生氏が自民党政調会長だった03年、韓国を植民地支配した時代の創氏改名について、朝鮮の人々が望んでいたかのような発言をして猛反発を招いたことである。
望んでいたのだから創氏改名には問題がなかった、朝鮮人のためを思ってやったことだ。そう言わんばかりだった。
日本の植民地統治の負の部分は素通りして、プラスの側面ばかりを強調する。これでは、植民地支配を正当化しようとする勢力の主張と重なり合って見られても仕方がない。
日本政府は植民地支配を反省し、謝罪を表明している。小泉首相も昨年8月の首相談話で明快に語った。この政府の見解を繰り返し説明し、理解を得る努力をするのが外相の本来の仕事のはずだ。
なのに、国内向けにはトーンの違う発言をし、外国から疑念を招いている。米国の有力紙ボストン・グローブは社説で麻生発言を紹介し、近隣諸国を挑発する愚かしさを批判した。
歯に衣(きぬ)着せぬ「本音トーク」は、麻生氏の政治家としての「売り」のひとつかもしれない。だが、首相の靖国神社参拝にからんで「天皇陛下の参拝が一番」と発言したのに続き、軽率に過ぎないか。日本外交を麻生氏に委ねるのは、極めて心配だ。
麻生氏の講演にはもうひとつ、別の問題があった。「ひとつの中国」という政府の方針に反して、台湾を「国」と繰り返し表現したことである。
米中、日中間で台湾問題はとても微妙な事柄だ。中国が不可分の領土と主張する台湾に「国」の呼称を使うことの意味を、外相が知らぬはずはあるまい。「地域」とすべきところを言い誤ったのだと思いたい。
だが、2日後の記者会見では「国」と述べた発言の報道を否定して、こう述べた。「台湾を国と言ったら問題になるということぐらい、25年間朝日新聞にやられてますから。そんなにバカでもない」
あまりに強く否定するので、こちらも録音を聞き直したら、確かに言っているではないか。口が滑ったというのなら、素直に自らの言葉の不適切さを認めるべきだ。
朝日新聞11日付け社説「麻生発言 外交がとても心配だ

麻生叩きと台湾問題に口を出すなという社説です。内容に対して突っ込み出すときりがないのですが、1点だけ。この社説、当事者である台湾当局の声がまったくないんですね。台湾当局が、この麻生発言を完全にスルーしているわけではありません。一応反応を示しています。以前「孔泉日曜出勤」の追記で紹介した台湾外交部の呂慶竜報道官の声を再び引用しておきます。

日本統治は台湾の歴史の一部であることは事実であり、麻生太郎の話は理解することができる。しかし、これ以上この件について言及する気はない。
太陽報「日外相美化侵台史 稱台為「國家」 京震驚憤慨

上記以外の台湾の反応を報じている記事を中国という隣人さんが「孔泉たん、「台湾は国」にも憤慨するとか言ってみ」の中で紹介されています。

また、最近陳水扁が独立志向を高めているということにも触れていません。つまりこの社説、台湾側の視点がずっぽりと欠落しており、麻生憎しと台湾の扱いに関しては完全に中共の視点と立場からのみの構成となっているわけです。

朝日新聞のこのような麻生叩きと偏向印象操作社説は今に始まったことではなく、珍しくもなんともないのですが、なぜこの時期なのか?というのが少々引っかかった次第です。麻生さんが台湾に関する発言を行ったのは、先週の土曜日。1週間も前のことです。なぜ今頃と思ったわけです。

んで下記は、上記朝日新聞社説の前日10日に人民日報が掲載した記事です。

先日日本の外相麻生太郎が、台湾の教育水準を引き上げたのは日本の植民地統治のお陰などと公然と日本の侵略戦争の歴史を美化たことに対して内外から厳しい批判を受けて国会の場でお詫びをしたが、専門家は今回の言論は、右翼勢力の根強い思想から発しており、暗に「台湾独立」という大胆な考えがあるという。
・・・(中略)・・・
(麻生は国会で発言を謝罪をしたが、これは徳の高い台湾官吏が言ったことを引用しただけだと言う)
麻生太郎の言ういわゆる”徳が高い台湾の官吏”とは、新華社論説員の分析によるとおそらく”岩里政男”こと李登輝のことだ。李登輝の祖父は、かつて日本の植民地当局が公布したアヘンの”特別許可書”を得ており、父は日本の警察と親しく、自身もまた”皇民化教育”の中で育っている。早くに日本名に改名し、日本の植民地統治を感激して受け入れた。「日本の植民地教育が台湾の教育水準向上に役立った」とは、もともと日本人の前総統の一貫した思想だ。
分析によると、もう一人右翼に人気のある人物は陳水扁である。陳水扁も日本に対して情を持っている。1999年に表舞台に上がる前に2度日本へ行って、日本の多くの”大物”の教訓を聞き、表舞台に上がった後もずっと日本を後ろ盾として自身の「台湾独立」という夢想を実現しようとしている。麻生太郎の言う、いわゆる”台湾の大物”とは陳や李といった類まれなる”台湾独立派”の急先鋒のような人物に違いない。
世論は、麻生太郎の今回の公演は、陳水扁の台湾独立の”元日講話”と”春節講話”の後に行われていることから、侵略の歴史を大日本帝国の栄光と覆す幻想の為だけではなく、”台湾独立”の妄想を実現するだけでなく、日本の右翼は”台湾独立”分子を支援し混乱を起こし、この現実的利益という下心から遠くから”台湾独立”に呼応している。
人民日報「美化日本侵台意欲何為

とまぁ、麻生さんの発言は中台離間を目的としており、許しがたいという批判記事を人民日報が10日に掲載していたわけです。この記事を受けてか、朝日新聞が11日の社説で麻生叩きとともに台湾問題に口を挟むことは、けしからんとやるわけです。最初に紹介した朝日新聞と人民日報の関係から、両紙の連携プレーではないかと疑ってしまったわけです。そういえば中国から日中戦略会議のために戴秉国外務次官が来日中ですね。彼に対する援護射撃であったりしてね。

と今度は朝日新聞のこの社説に対して中共が反応を示します。早速11日に中国国営新華社通信がこの朝日新聞の社説を受けて、返答しています。「よくやった」と。

日本の大手メディアである朝日新聞が11日「外交が非常に心配だ」という社説を発表し、麻生太郎外務大臣の天皇の靖国神社参拝関連と日本の過去の台湾植民地統治の言論は軽率であると指摘し、日本外交が非常に心配であると論じている。・・・(以下略)
新華社「日本《朝日新聞》指出麻生主管外交令人担憂

ashahi06.jpg人民日報→朝日新聞→新華社という、もうこれ以上ない見事なコラボレーションの完成です。中共の反応は、早くても1日は空けるだろうと思っていたのですが、その日のうちの新華社からのお返事にはちょっと驚きました。

社説は、社の論を好き勝手に展開すればいいと思います。しかし、「不偏不党の地に立って言論の自由を貫き」「一切の不法と暴力を排して腐敗と闘う」などというジャーナリスト宣言(註1)などお似合いではなく、中共プロパガンダ宣言がお似合いだと思うわけです。「ペンを握り、言葉を組み合わせ、文をつむぎ出し、真実を伝え続ける」などと言っていますが、あまりに一方からの偏向した記事と論が多すぎます。

おまけ

実は、この人民日報の10日の記事、少し面白いです。今の中共にとって台湾問題を刺激されては、軍強硬派を勢いづかせることになり、何かと厄介であるという状況が透けて見えるような気がします。李登輝や陳水扁が、媚日派であることを強調しつつ彼らの言動の後ろには日本の右翼勢力が控えており、中台離間と混乱を画策したもので「うろたえてはいけない。騒いではいけない」と中国世論というより、軍内強硬派に向けてのメッセージのようにも聞こえます。

関連記事
カテゴリ:朝日新聞
This is 朝日新聞
元報道官の報道規制、なぜ?@朝日新聞
矮小化、論点逸らしの朝日新聞
朝日新聞=人民日報・新華社、いやそれ以上か
関連外部記事
やじむらい的日々雑感「朝日新聞 『麻生糾弾宣言』
註1
朝日新聞「朝日新聞社から

ブログランキング ←宜しければランキングに1票をお願いします。

posted by タソガレ at 00:23 | Comment(3) | TrackBack(4) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのTrackBack URL 

この記事へのコメント
靖国参拝中止の内政干渉を許したり、安易に中国は脅威で無いとか、意味不明にしてる日本政府にも不満です。黄文雄著の「チャイナ・リスク」を読むと此処に書かれてる中国内情以上に中国は覇権拡大し台湾・沖縄・日本への攻撃は増大中。中国は軍拡路線しか走れない体質で一方的に領海宣言してからひたすら,海洋国家を目指し口先だけでは無く、「日本の工業都市は大都市に集中してるから100万トン級の核弾頭が20発あれば地球上から消せる」「日本は口にする程たいした国では無い、20年後には地球から消えてる」李鵬がオーストラリアで発言した通り24基の核ミサイルが日本へ照準をあてて配備されてる。審陽軍管区にあり核兵器の三分の一を移してるとも言われてる。21世紀の中国最大の脅威は日本としてる「日本は直ぐに核兵器を製造できる国だから、軍事大国になる前に、必ず核専制攻撃をかけるべきだ」と主張してる。と書かれています。14年間も軍事予算を2桁増加させ、日本からのODAでインフラ資金に余裕が出てきたのでその援助のお返しが日本に照準を構えた核兵器なのです。さらに米国と共同のTMD(ミサイル防衛)研究開発は猛反対して「鎧は着るな!殺せなくなる」と言うサインを送りつづけてる。中国の核の脅威は世界から見てもそうであるが脅威と写らない日本の神経は異常だとされてるそうです。
広島・長崎の恐怖など水に流して笑って物売りに邁進できれば幸福と感じるキチガイ国だそうです。
日本の軍事専門家も「核の一撃」に対する防衛など「想定外で研究してない」がせいぜいなのに、認識が甘すぎると思います。中国に対して何時までも経済援助を与え遺棄化学兵器での膨大な処理費用など負担させられたり可笑しくて狂気のような相手国の言いなり揉み手外交しか出来ないし、金ばら撒き外交を続けてるから米国からも馬鹿にされて裏切りされ、中国が地域牽引する協力できる相手として握手される可能性が多いと思われます。対等に交互に不信な点を言い合える事が大事です。平和の反対は不和で戦争では無いのです。
いざとなっても集団自衛権が無くて軍隊でも無い、米国の頼もしい相手国では無い立場が日本です。それに、北朝鮮がテポドン発射で恐喝してから直ぐに震え上がりちゃんと謝罪もさせず、中国の「反日デモで大使館や領事館を襲撃されて「愛国無罪」で謝罪もされずに済ませてる曖昧模糊とした日本を嫌いでは無いし好意は有るが尊敬したりする国は無い。そして地球人口65億人は毎年1億人ずつ増加します。石油はピークを超えたのです。地球の容積からは人間は80億人を超えると今のギクシャクした状態でも生存は厳しくなるのです。15年後の2020年までに日本の生存を国家の目標を1つにして進まないと地球から消されます。




Posted by ようちゃん at 2006年02月13日 06:46
例によって提灯持ち記事ですか.まあ,「自分には他人に黙れという言論の自由がある」と言い切った機関誌が,いまさら何を言おうと何も感じません.しかし,新華社や人民日報って根拠もなく陰謀説をまじめに言っているところが笑えます!こんなスポーツ新聞並のところとまじめに付き合っている朝日がジャーナリズム宣言を出してもね〜.これを恥ずかしいと思わないくらいじゃないと特亜とは付き合えないか.
Posted by momonokitomi at 2006年02月13日 23:46
ようちゃんさん、こんばんは。
脅威ではないと主張する人は、中共の善意を期待しているということでしょうね。非常におろかなことだと思います。

momonokitomiさん、こんばんは。
NYTもこの輪に加わったようです。追記にしようかと思ったのですが、せっかくなので簡単に別記事にしてみました。
Posted by aki at 2006年02月14日 23:32
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

「これだけは知っておきたい日本・中国・韓国の歴史と問題点80」〜飲ませて、抱かせて、脅す〜

Excerpt:  ・実は、朝日新聞は中国共産党の機関紙「人民日報」と協定を   結んでいます。そこでは、中国にとって不利益になる報道を   しないという約束が交わされているのです。(p42)
Weblog: 一日一冊:人生の智恵
Tracked: 2006-03-03 15:27

麻生外相 そのとおり日本には耳がない

Excerpt: 麻生さん あなたのいうとおりです。 日本の耳は弱ってます。ちょうど、昨日発売の週刊誌SAPIOもその話でしたね。
Weblog: つらつらブログってみます
Tracked: 2006-03-09 10:59

麻生外相 台湾を国と失言だけど

Excerpt: 麻生外相が台湾を国といった。でも、すぐに地域といいなおした。 それに対して、国内外で大きな反響。確かに、国際的には中国は一つで、中華民国というのは国として認められていない
Weblog: つらつらブログってみます
Tracked: 2006-03-10 09:51

朝日の台中観‐おどれは中国の御用新聞か?

Excerpt: 恒例の朝○ウォッチである。03月11日(土曜日)付の社説「日中関係 これではこどものけんかだ」に対して大いにツッコミたい。 >なんと不毛な応酬だろうか。こんな子供のけんかのようなことが続くのでは、外..
Weblog: 毒入りチョコレート
Tracked: 2006-03-12 09:55