黄海軍事演習を巡る駆引き その2

2010年07月21日

21日付、中国共産党の機関紙『人民日報』が米韓軍事演習に関して、ソウル、ワシントン、ピョンヤン、北京の記者らの手による記事を掲載していたのでメモしておきます。

本紙ソウル7月20日(記者・莽九晨)20日、韓国国防部長官・金泰栄は訪問中の米国国防長官ゲイツと会談を行った。韓米双方は共同声明を発表し、数ヶ月以内に一連の合同軍事演習を行うとし、最初の合同軍事演習は25日に韓国東部海域(即ち日本海)で行うとした。米国空母”ジョージ・ワシントン”号、F-22戦闘機、韓国の大型揚陸艦”独島”号等が今回の合同軍事演習に参加する予定だ。間もなく行われる合同軍事演習について、韓米双方は緊密な協議を行い、具体的な計画を制定する。

共同声明では、”天安”号事件発生後、韓米両国首脳双方が更なる同盟による安全保障の強化の必要性を述べており、このような背景の下、両国国防部長が協議し数ヶ月以内に一連の合同軍事演習を行うと述べている。声明は、今回の合同軍事演習は”防衛的演習”で、目的は朝鮮に対して明確なメッセージを送るというもので、つまり韓米双方は朝鮮半島の平和を維持するために合同防衛力を不断に強化し、”朝鮮は敵対行動を停止しなければならない”というものだ。

声明は更に、両国国防部長は2015年に戦時統帥権を委譲するという問題についても討論を行い、双方は駐韓米軍の現在の総兵力を維持し、十分な防衛能力を保障することを決定したと述べている。

韓国聯合通信社の当日の報道によると、ゲイツとの会談の中で金泰栄は、”天安”号事件を通じて、韓国国民は韓米同盟の重要性を深く感じていると述べたという。韓国国防部国防政策室長・張光一は、”天安”号事件に関して、韓米両国はこれまでにないほど緊密な協力関係を保持しており、両国国防部長の認識は一致しており、今後も緊密な協力を保持し、朝鮮に対する抑止力を保持すると述べた。

報道によると、韓国と米国は21日に外交部長と国防部長が参加する”2+2”会談を行う予定で、会談後共同声明を発表するという。韓国メディアは、今回の会談も朝鮮に対して”韓米同盟関係はますます強固となっている”という明確なメッセージを発するものであると認識している。

本紙ワシントン7月20日(記者・温憲)米国国防部長ゲイツは20日、駐韓米軍に対する演説の中で米韓軍事演習は朝鮮に対して”抑止のシグナル”を発すものであると述べた。彼は、米韓軍事演習は10隻の米軍艦艇と8隻の韓国艦艇、および”大量の戦闘機”によるものであると述べた。

米国国防総省は、19日、米軍空母”ジョージ・ワシントン”号は21日に韓国プサン港に到着し、米韓合同軍事演習に参加すると宣言していた。ニミッツ級原子力空母である”ジョージ・ワシントン”号は世界最大の空母のひとつで、6,000人以上の米軍官兵隊と約80機の艦載機を搭載しており、米国メディアは、”ジョージ・ワシントン”を出動させ軍事演習に参加させるのは、”天安”号事件における朝鮮への”恫喝”を意図しているとしている。

ゲイツの韓国訪問に同行している米国ペンタゴンの報道官モレルは、ミニッツ級原子力空母がひとつの地域の軍事演習に参加するということは、”極めて”異常なことで、これは米国が韓国の安全保障について”強固に承諾”していることを”破格に示す”ものであると語った。聞くところによると、米軍駆逐艦”マクキャンベル”、”ジョン・S・マケイン”、そして”ラーセン”も軍事演習に参加するという。演習の内容は対潜水艦戦術や”禁止核燃料、禁止武器の違法輸送船舶”の阻止が含まれるという。

報道によると、21日にゲイツは米国国務長官クリントンと共に韓国と朝鮮の非武装地区に赴くという。ゲイツは、この訪問は米国と韓国が、朝鮮のミサいつ発射や核実験などの活動は米韓への”深刻な挑戦である”と”一致した姿勢で団結”するものであるという。

本紙ピョンヤン7月20日(記者・周之然)朝鮮『労働新聞』は19日の紙面で「平和と安全を破壊する挑発的な行為」と題した記事を掲載し、その中で米韓が海上で大規模な合同演習を行うことは朝鮮半島および周辺地域の平和と安全とを破壊し、情勢を極度に緊張させるひじょうに危険な活動であり、朝鮮に対する深刻な軍事的挑発であると非難した。

記事では、米韓が行う合同軍事演習は事実上、朝鮮侵略の演習であり、新たな戦争への挑発の序曲であると述べている。米韓は今回の合同軍事演習は”天安”号事件への”対応措置”であると称している。実際は、多くの世論は”天安”号事件と朝鮮は無関係であると認識しており、”天安”号事件を口実とし挑発的な合同軍事演習を行うことは、実際には非常に愚かしくお笑いであるという。

記事は、米韓が合同軍事演習を行うことは、国連安保理が先日発表した議長声明を完全に否定するものであるという。韓国当局は、合同軍事演習を通じて国連での外交的惨敗を挽回し、朝鮮に対して更に軍事的圧力を強化しようと意図しているが、幼稚な妄想に過ぎず、韓国当局は、侵略戦争の演習は朝鮮半島情勢を悪化させるだけで、彼ら自身にとってなんら好い点がないことを知るべきであるという。

記事は、もし米韓が本当に合同軍事演習を行えば、朝鮮は強硬に対応するだろうという。韓国当局は、合同軍事演習は朝鮮半島およびその周辺地域に非常に深刻な結果を出現させるということを理解すべきで、すぐに演習を取り消さなければならないという。

韓国国防部長や米国国防長官が20日に会談を行うことに対しては、『労働新聞』、朝鮮中央通信社などの朝鮮の主な政府系メディアは、関連情報を報じていない。

本紙北京7月20日。外交部報道官・秦剛は先日行った記者会見の席上、米韓合同軍事演習に関する質問に対して、中国側のこの問題に対する立場は一貫し、明確であると述べている。関係各方面がこの地域の国家と安全保障、相互信頼、善隣友好に有利で、この地域の平和安定に利する行動を希望すると述べている。

人民日報「韓美宣布舉行聯合軍演(国際視点)

北京の記事で外交部報道官・秦剛の扱いが小さいので15日に行われた関連質疑をば。13日の分に関しては「黄海軍事演習を巡る駆引き」を参照ください。

質問
ハノイで開催されている一連の会議の中で、楊外長は朝鮮を含むほかの国家の官員と会談する予定はあるか?
回答
楊潔チ外長の今回の期間中の二国間会談の予定に関しては、中国側は関係方面と協議中で、現在のところ最終的に確定したものはない、もし最終的に決定した場合は、我々は適時発表する。
質問
韓国と米国は、黄海と日本海で同時に合同軍事演習を行おうとし、特に米国空母が日本海の軍事演習に参加するようだが、中国側はこれに関して何か論評はないか?二つ目に、米国政府官員によると、米空母”ジョージ・ワシントン”は昨年10月に黄海で軍事演習を行ったのだが、当時の中国は公式に反対することはなかったという。昨年の10月の状況と現在とではどのような違いがあるのか?
回答
あなたが示した二つの質問に関しては、我々の立場は一貫し明確である。いかなる外国の軍用艦艇が黄海およびその他の中国近海で中国の安全保障利益に影響を及ぼす活動に我々は断固として反対である。現在の状況下、関係各方面が冷静な抑制を保ち、地域情勢の緊張を高めるような事を行わないことを我々は希望もしている。
質問
報道によると、米国国防長官ゲイツは21日、ソウルで協議を行い、協議後すぐに軍事演習を行うという。米国防総省報道官も、米国は黄海のほか、日本海でも軍事演習を中国側の立場を尊重しつつ行うが、いかなる米韓軍事演習を妨げるものはないと述べている。これに対して何か論評はあるか?
回答
私はすでに何度も中国側のこの問題に対する立場を強調してきた。関係各方面がこの地域の国家の安全と相互信頼、善隣外交とこの地域の平和的安定に利することを行うことを我々は希望している。
質問
米韓がこのような軍事演習を行った際、中国側は何か反応するのか?例えば軍事交流を一時停止するなどといった方法で。
回答
我々はすでに関連する問題について関係各方面に深刻な関心を示している。我々は、この場所で何度も中国側の原則的立場を明確に述べてきた。中国国民は、この件に対して強烈な反応を示している。我々は引き続き密接に事態の進展を注視する。
質問
韓国と米国が7月に軍事演習を実施した場合、中国と朝鮮は朝鮮半島西部海域で軍事演習を行うことを計画しているのか?
回答
この質問があなたの個人的な視点なのか、数人の視点なのか、あるいはいくつかのメディアの視点であるのかは知らないが、そのような観点がメディアで見られる。これは一種の典型的な”冷戦的”思考で、北東アジア、アジア太平洋地域を異なる軍事同盟、冷戦的対立を用いて分割するもので、この地域の安全保障を対立の構図で眺めているものだ。現在はすでに時代は変化し、発展しており、いかなる国家、あるいは軍事同盟も単独で地域の安全保障問題を解決することはできず、当該地域各国の共同の努力が必要で、対話と協議を通じて相互信頼を増幅させ、協力を強化し、共同で地域の平和と安定を維持しなければならないのだ。
外交部「2010年7月15日外交部発言人秦剛挙行例行記者会

中共外交部は某国の前総理を見習い、少しは違うことを言うべきですね。

東京(日本)がないので付け足してみる。

1987年の大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫元北朝鮮工作員(48)が20日未明、政府チャーター機で羽田空港に到着、来日した。

(中略)

金元工作員が爆破事件の判決確定後に韓国の国外に出るのは初めて。

(中略)

金元工作員は爆破事件で死刑判決が確定(その後特赦で釈放)しており、入管難民法上の入国拒否対象者だが、法相が「上陸の拒否の特例」として入国を認めた。

また元工作員は爆破工作の際に「蜂谷真由美」名義の日本の偽造旅券を使った容疑がある。しかし警察当局は韓国の意向を受け、同容疑や拉致関連捜査の一環としての事情聴取を見送る方針だ。

(中略)

長野県軽井沢町での滞在先は鳩山由紀夫前首相の別荘。

(後略)

スポーツ報知「金賢姫元工作員が来日、鳩山前首相の軽井沢別荘に滞在

もうひとつ。

(前略)

外務省関係者は「金元工作員はわざわざ訪日しなくても、韓国で説明する意向を示し、家族側も(訪韓に)前向きだった。それを強引に『日本で』と中井氏が要請した」と内情を明かす。

(後略)

ZAKZAK「元北朝鮮工作員・金賢姫、鳩山別荘へ 日程非公開の厳戒態勢

国家公安委員会委員長が後ろ盾となり先日落選した民間法務大臣が特例を発し来日し前総理の別荘に滞在。現総理は拉致被害者家族との面会時だけブルーリボンを装着。こいつはすげーや。

来日中の大韓航空機爆破事件の実行犯・金賢姫(キム・ヒョンヒ)元工作員(48)は21日午前11時半現在、20 日に続き、拉致被害者・田口 八重子さんの家族の飯塚さん親子らと面会している。

飯塚さん親子らは21日午前11時ごろ、長野・軽井沢町の鳩山前首相の別荘に、車で落ち着いた様子で入った。

(中略)

昼食は、別荘の庭でバーベキューが行われるということ(中略)

一方、複数の関係者によると、金元工作員は22日、東京の調布飛行場から政府が用意するヘリコプターに乗り、富士山などに遊覧飛行をすることが検討されているという。

金元工作員は関係者に、「一生に一度しか国外に出られないから旅行がしたい」と話していて、政府が金元工作員の意向に配慮して、ヘリ観光を検討しているとみられている。

FNN「来日中の金賢姫元工作員、拉致被害者・田口 八重子さんの家族の飯塚さん親子らと面会

いやっほー、凄いぞ、ぼくらの民主党!

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posted by タソガレ at 23:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国・北朝鮮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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