穏健派 VS 強硬派

2010年09月23日

ありそうなお話を少し古い、1ヶ月ほど前の在韓米軍が黄海での9月の韓国との合同演習に空母派遣を見合わせたと発表する以前、8月18日の記事をば。

米韓の黄海と日本海での10日間の合同軍事演習は中国軍側の高度な関心を引き続き誘発している。各方面の消息筋によるとアメリカの空母”ジョージ・ワシントン”号が、今回の軍事演習で黄海海域に入る可能性は非常に高いという。中国軍側は、ここ数日何度も抗議を行い、黄海は中国の玄関でありアメリカの空母が黄海海域に入ることは明らかに中国に対する挑発行為であると指摘している。しかし中国軍内部の穏健派と強硬派が、この問題において珍しく激しく攻撃しあっている。

中国国防大学資深研究員、陸軍少将・楊毅は、何度も激しく反対し威嚇を行った後、月曜日(16日)にロイターに対して、中国はアメリカ海軍の黄海演習を阻止する能力はないが、類似の演習はアメリカに対する不信を深めることとなると同時に中国を更に巨大な兵力を築かせることとなると述べた。

更に注意すべき点は、最近の中国軍側のアメリカ海軍の黄海での軍事演習に対して異なる声、穏健派と強硬派との間で珍しく激しい論戦が展開された。一部の穏健派の将軍派攻撃され、更には”アメリカに頼まれている”と非難までされている。

中国軍側の代弁者である『解放軍報』は8月13日に、国防大学戦略研究所前所長・楊毅将軍の”空母を打つのは過剰反応ではない”と題する文章を発表した。文章は、中国はアメリカに対して過剰に反応していると以前に批判した国防大学教授・李大光を名指しで激しく批判し、しかも李大光はアメリカに依頼されているとまで非難している。

李大光は、中国国防大学軍事後勤軍事科学装備教研究部副教授だ。彼は人民日報傘下の『環球時報』に『関係のない黄海の渦に巻き込まれてはいけない』と題する文章を発表し、中国の一部の国民のアメリカに対する”過激な言論”を批判し、今回アメリカが空母を出動させ黄海で軍事演習を行うことの目的は朝鮮を震え上がらせることで、中国は慎重に理知的にこの件を見るべきで、矛先を自ら引き寄せるようなことはすべきではないと述べた。

しかし楊毅は、”アメリカが黄海海域で軍事演習を強硬しようとすることに対して、中国政府は何度も厳正な交渉を行ってきたが、アメリカは過信するだけでなく、中国国防大学教授・李大光に依頼してまで中国の反応を”過剰”で、中国は一種の勃興している大国の”傲慢さ”があると中傷したが、これは是非をさかさまにしたもので言われなき非難である!”と文章の中で批判した。楊毅のこの記事は、現在『解放軍報』のサイト上は検索できないが、方々の中国語サイトに次々と転載されている。

新世紀新聞網「美韓黄海軍演 中国軍方内部爆発分岐

上記記事でできてきた穏健派、強硬派の記事は下記。

強硬派の記事の方は『解放軍報』のサイトで検索に引っかからないとありますが普通に掲載されているます。しかし、名指しで李大光を批判したとありますが李大光の文字は見えません。PDFファイルで紙面を確認しましたがありません。

ところが現在の『解放軍報』で下記のようになっている箇所が、

アメリカはうぬぼれていると思わないだけでなく、逆に中国の反応を”過剰だ”とし、中国が一種の勃興する大国としての”傲慢さ”を身に着けていると述べている。

解放軍報「是中国反応過度,還是美国无端指責

掲示板やブログなどに転載されている記事では、

アメリカはうぬぼれていると思わないだけでなく、中国国防大学教授・李大光に委託し逆に中国の反応を”過剰だ”とし、中国が一種の勃興する大国としての”傲慢さ”を身に着けていると述べている。

と名指しになっていたり、

アメリカはうぬぼれていると思わないだけでなく、中国の教授に委託し逆に中国の反応を”過剰だ”とし、中国が一種の勃興する大国としての”傲慢さ”を身に着けていると述べている。

となっているものを見ることができます。

実は件の『解放軍報』の記事は、随分と前に既に読んでいて、その時には「中国の教授に委託し」という一文があった記憶があります。この一文で記事表題が違い、「李大光」の名前がないものの、これが当該記事であるとしメモした・・・という(淡い)記憶です。

せっかくなんで現在見ることのできる『解放軍報』の強硬派の記事をば。

アメリカが強引に北東アジア地域において特に中国にとって重要な政治と経済の要衝である黄海海域で軍事演習を行おうとしていることに対して、中国政府は何度も厳正な申し入れを行い、広く民衆も強烈な怒りを表明している。アメリカはうぬぼれていると思わないだけでなく、、逆に中国の反応を”過剰だ”とし、中国が一種の勃興する大国としての”傲慢さ”を身に着けていると述べている。これままさに是非をひっくり返したもので、言われなき非難である!

如何なる主権国家も軍事演習を行う権利を有しており、米軍単独、あるいはその他の国々の軍隊と合同軍事演習を行うことも初めてのことではない。どうして今回の米軍主導の軍事演習が人々の大きな関心を引き起こしたのだろうか?表面的には、米韓は合同軍事演習は北朝鮮に”強烈なシグナル”を発し、朝鮮が”天安”号事件のような”挑発行為”を行わないことを望んでいると称している。しかし、米韓双方にはそれぞれに軍事演習を行う必要性があるのだ。韓国はアメリカの強大な軍事力を頼りに、朝鮮に対して1種の優位性と圧力とを示そうと思っている。そしてアメリカは依然として世界トップの軍事強国であり、依然として北東アジア、更にはアジア太平洋地域全体で維持していることが揺れることは許されず、軍事的優位性が挑戦されることも許されないのだ。見識ある者には明らかで、その中には中国への”警告”の意味が多く含まれているのだ。

中国は誰を刺激し、アメリカの”警告”されなければならないのか?北東アジア地域、特に朝鮮半島情勢は”天安”号事件によって緊張した状態にあり、中国政府は何度も各方面に冷静を保持し、対立が激化し局面がコントロールできなくなることを招くことを防ぐよう呼びかけてきた。中国の立場は公正で建設性を具有している。”天安”号事件の真相は未だ明らかではないが、現在の状況から見て、アメリカが既に最大の戦略的受益者となっている。アメリカは、”日本を引き戻し”、”韓国を”引き寄せ”、”中国に”嫌がらせ”をし、その強固で強力な北東アジアでの主導的地位を、得たいと思っていた地政学的な報酬を機会に乗じて得ることに成功している。自らの企みを覆い隠すために、アメリカは中国政府の理があり、利があり、節度ある闘争を頑なに”過剰反応”と述べ、中国自身が国家の安全と利益を維持するという正当な行為、地域の平和と安定、繁栄を守ると言う大国としての責任を頑なに”傲慢”と述べ、人の判断を曇らせることは、本当に覇権の道の極みである。知るべきは、相手の国家の利益と民族の感情を無視し我が道を行くのはアメリカであって中国ではないのだ。相手の家の限界で銃剣を振りかわし、武力で以って威を振りかざしているのはアメリカであって中国ではないのだ。徒党を組んで相手を制止、相手を包囲しているのはアメリカであって中国ではないだの!

アメリカの”金融界のドン”ジョージ・ソロスは2009年10月にハンガリーで講演した際に次のように指摘している。「世界が平和であるために、アメリカは新たな世界秩序の中で自らの適切な位置を探し求めることはより重要となった。既に政治と経済の主宰する地位を失った超大国は、依然として軍事的には絶対的優勢を擁していて、これはある種危険なことである」この言葉は痛いところをズバリと指摘している。現在の世界は互いに絡み合い、お互いに依存しているもので、共に発展し、共に繁栄することは、各国それぞれの権利であり、各国それぞれの責任でもある。アメリカは”超大国”としての地位を維持することが難しくなったということは、実際は世界全体が進歩したということで、これ自体はよい事なのだが、アメリカはこのような局面を望んではなく、喪失感が感情的になり、軍事力の優位で政治と経済の優位を回復しようとしているのだが、これは世界の変化の中でより多くの厄介事とリスクとを与えることしかできないのである。

具体的に中米関係において、アメリカが空母を含む大型作戦ベースを中国国家の入り口に派遣し武力で威を張ることは、中米両国元首が達成した”全面的、積極的に関係を構築する”という共通認識の精神に符合しないだけでなく、中国人民の感情を傷つけ、アジア太平洋地域において対立と対抗を引き起こし、結局はアメリカの根本的利益に役立つものでもないのだ。結局、時代は変化しており、戦略的構造における力の対比も変化しており、アメリカが引き続き冷戦的思考に夢中になり、軍事力を盲信することは、更に大きな戦略的挫折を招くだけである。

中米関係は現在、ある種二国間関係を超越し多くの領域の関係に及ぶまでに発展しており、多層的、複合的という特徴を有している。しかし、アメリカの対中政策は異なる領域において”異なる歩み”更には”異なる方向”という現象が存在している。アメリカは世界や地域の事務の安定的作用を担っている米中合作を無視しつつ、他方で中国が世界の危機に対応するよう”協力する”よう要求し、中国に対して公正な立場で国際事務を処理するよう再三再四述べつつ、中国を”傲慢”と指摘し非難しているのだ。アメリカは、中米両国の共同の安全と利益をが不断に増加していることを無視し、中国に地域での安全保障問題において作用を発揮するよう要求しつつ、中国に対して徐々に厳密な包囲網を構築し、不断に中国の核心的利益に挑戦してきているのだ。アメリカの対中政策のブレと混乱は、なかなか見れるものではない。

解決は原因を作った者がすべきだ。中米両国間の様々な”難局”を読み解くと、キーはアメリカが自分自身の戦略の方向性を、不当な疑惑より戦略的相互信頼を、”ゼロサム”的思考より”挑戦に対して共同で対応する”という合作的観点、大局観へと正すべきなのだ。こうすることで、中米両国関係が良性循環し、安定した健康的に発展し、世界の平和、安定、発展、そして共同の繁栄に利することとなるのだ。

解放軍報「是中国反応過度,還是美国无端指責

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posted by タソガレ at 23:56 | Comment(6) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
めまぐるしくトピックが沸いていて混乱しております。

中国、レアアース対日輸出停止 尖閣問題で外交圧力か
http://www.asahi.com/international/update/0923/TKY201009230257.html

否定はしていますが、揺さぶりもしくは、いずれは禁輸に踏み切る腹積もりを意図的にリークした可能性も?
NYTも情報源無しには書かないでしょうからね。

中国:日本人4人を当局取り調べ 「軍事目標」撮影で
http://mainichi.jp/select/world/news/20100924k0000m030110000c.html

これは人質をとったとみるべきでしょうか。
なんというタイミング。

中国が米との関係修復へ、日米連携分断狙う?
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100923-OYT1T00639.htm?from=ranking

これはタソガレさんの記事と関係すると思いますが、
かなり前から協議はしていたようですが、このタイミングでというのは。
黄海も南シナ海もいったん棚上げで米中軍事関係強化をすすめて、尖閣で日米を離間させようという事を狙ってるんですかね。
米中軍事交流の進み方しだいでは、局面が大きく変わることを覚悟しておかなければならないでしょう。
Posted by すっちん at 2010年09月24日 01:43
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100923-OYT1T00613.htm?from=main1
中国、レアアース対日輸出停止を通告

禁止通告きました。
Posted by すってん at 2010年09月24日 02:24
ご存知の通り史上最悪の外交決着でしょうね。
しかも謝罪と賠償なんてかの国じゃなるまし、キチガイじみてるとしか思えません。
脅せば崩せると学ばせたわけですから、今後尖閣への圧力は軍事的にも強まっていくでしょう。
せめて起訴して執行猶予で釈放して欲しかったorz
Posted by すっちん at 2010年09月25日 20:09
嫌がらせって…なんだろう…?
Posted by BlogPetのきんとー at 2010年09月26日 15:11
ボットのくせにwww
成長するんだなあ。

温家宝が批判したのは胡錦濤ってことでいいですか。
Posted by りえたん at 2010年09月26日 20:22
りえたんさん。
> 温家宝が批判したのは胡錦濤
と見られているようですがどーでしょうか。

一ヶ月以上も返信が遅れて大変申し訳ありませんでした。
お詫びというわけではないですが温家宝が胡錦濤を攻撃したと論じているプロのヲチャーの方の記事をメモしておきました。
Posted by タソガレ at 2010年10月29日 22:47
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