北朝鮮核問題は中国問題

2006年10月25日

北朝鮮の核問題は中国問題だと思うのです。拉致問題は日本との二国間の問題であり北朝鮮自身と対決しないといけない問題ですが、北朝鮮の核問題は拉致問題とは違い中国(ロシア)との戦いではないでしょうか。ロシアについてはよくわからないのでスルー(笑)

日本のマスコミの北朝鮮による核実験後の中国に関する報道の基本姿勢は「中国も堪忍袋の緒が切れてついに制裁に動きつつある」といったもの。もーね、辟易ですよ。「中国と北朝鮮は違うという印象を植え付けよ」という指令が出ているのではないかと思えるほど。

「中国も北朝鮮に対して憤っており困っているはず」という先入観を持っているからこそ「唐家センに対して金正日が核実験について謝罪し2度目はないと言った」などという大誤報を大きく報じたりする。朝日新聞など検証もなしに骨髄反射して中国様の外交的大成果だと嬉しさのあまりすぐさま社説で取り上げ大自爆。

NHKも朝日に負けじと中朝国境地帯の町、丹東の様子を伝えるニュースで「普段と変わらず交易が行われていますが国連制裁決議の影響が出るのではないかと懸念の声が聞かれます」などと報じる。これ、現時点でまだ何の制裁処置も行っていないということでしょうに。口だけ威勢のよいことを言って実が全く伴っていないということを厳しく指摘すべきでしょ。

以下に24日に行われた外交部定例記者会見の北朝鮮に関する応答を要約し列挙してみます。

記者
(前略)金正日が唐家センとの会談で核実験について謝罪し2度目はないと言ったとの報道があるが?また、中国で核兵器のウランを転売しようとして中国人が逮捕されたという報道があるが事実か?
劉建超
(前略)その報道は正確ではない。金正日が唐家センに核実験について謝罪したということはない。唐家センと金正日は昨今の朝鮮半島情勢について深く意見交換を行った。朝鮮は2度目の核実験の計画はないと言ったが、更なる圧力を行えば実験を行うと言った。
ウラン売買のニュースは会見の直前に知った。正確の情報は持ち合わせていない。しかし、中国は不正な取引に対しては断固とした処置を講じ、核関連品の流通は決して許さない。
(中略)
記者
中国政府が北朝鮮に対する制裁は行っているのか?行っているのなら何日から始め、具体的な内容は何か?
劉建超
中国はこれまで同様、国連安保理の関連決議を真剣に実行している。国連決議を履行しているが、一方で制裁を加えること自体が目的ではなく、対話と協議という外交手段を用いて朝鮮半島の非核化を実現すべきであると考えている。各方面が勝手に制裁を拡大解釈し情勢を悪化することに反対である。
記者
中国の四大銀行は朝鮮に対して送金業身を停止しているが、これが中国の制裁のひとつと思われている。しかし、国連決議では朝鮮への送金停止という項目はない。これらの報道に関して政府の見解は?
劉建超
中国政府は国連安保理決議を厳守している。中国政府は中国銀行が行っている通常業務に対して干渉はしない。
記者
香港で1隻の朝鮮船籍の貨物船が調査されているとの報道があるが、規則違反の物品を発見したのか?
劉建超
あなたが言った以上の詳しい情報を私は持っていない。再三繰り返しているが、中国政府は責任を持って1718決議を厳格に履行する。
記者
韓国メディアが中朝国境はすでに閉鎖されていると報じている。中朝国境貿易の状況はどうなのか?
劉建超
ここで皆様に言っておきたいが、中朝国境地域の情勢は正常である。一部の噂は、10月10日に中朝国境を閉鎖した為かもしれない。しかし、10月10日は朝鮮労働党の記念日にあたり、慣例によってここ数年この日は全て国境を閉鎖している。10日以降、国境は正常に開放されている。
記者
唐家センは朝鮮にどのような情報を伝えたのか?中国は朝鮮に対して石油の供給量を減らすことを考慮しているとの報道もあるが真偽は?(後略)
劉建超
唐家センの訪朝に関する情報はすでに述べた以上の情報はない。
中国が朝鮮に対して行っている援助を減らすことを考慮しているなどという話は聞いたことがない。(後略)
記者
国連が朝鮮は深刻な食糧不足に直面していると月曜日に発表した。中国は朝鮮に対する食料援助を増加させる考えはあるか?中国は朝鮮に対する石油の供給を減らしているとの報道の真偽は?
劉建超
朝鮮を援助することは中国政府の一貫している政策である。
現在、私が聞いたところによると朝鮮に対する石油の供給量は減らしていない。朝鮮と正常に経済交易を行い経済援助を行うことをは、国連安保理1718号決議には違反しない。
記者
中朝国境管理が強化されたかどうかを問いただしたい。鉄条網を設置し解放軍の部隊を中朝国境地帯に増派したか?
2問目。香港での朝鮮船籍の貨物船の取調べは国連安保理決議実行と関係があるのか?
3問目。ウラン売買に絡み2人の中国人が逮捕された具体的な情報は?
4問目。中国はこれまで朝鮮には核兵器はないと言ってきた。しかし、事実は朝鮮が確かに核兵器を持っていることを証明しているが、これについて何かあるか?(中略)
6問目。朝鮮の鉄鉱石が中国の南平へ輸送されているのを目撃している。中国は非常に鉄鉱石を欲しており、これが中国が朝鮮に対して強硬な制裁処置を行わない原因だとと言われているが?
劉建超
あなたは記者会見に長く参加していなかったのか、一部の情報は正確ではない。
第1の質問、国境管理を強化しているのかという件だが、国境地域の安定を確保するために90年代から行っていることであり新たに行った処置ではない。解放軍の増派も私は聞いていない。再三言うが、中朝国境地帯は正常だ。
第2の質問。中国は責任を持って国連安保理1718決議を厳格に履行する。1718決議に対する違反を発見すれば必要な行動を行う。
第3の質問。今さっき知ったばかりなので関連部門と連絡をとり事実確認を行う。事実ならば法律に則り必要な処置を行う。
第4の質問。中国政府はこれまでそのような態度を表明したことはない。朝鮮の核計画の具体的な状況など知る由もない。朝鮮が10月9日に核実験を行い、これに対して中国政府はすでに断固とした反対の態度を示した。
(中略)
第6の質問。朝鮮からの鉄鉱石の輸入減を憂慮し中国は1718決議を支持しない。これは誤った分析であり事実に合わない。中国は断固として正真正銘、全面的に国連安保理1718決議を履行し、これは中国の利益とも合致する。一方、制裁が目的ではなく、対話と協議という外交手段を通じて朝鮮半島の核問題を解決するという目標を目指す。
記者
私の同僚が先週、朝鮮から中国へ鉄鉱石が輸送されるのを目撃している。あなたは朝鮮との間で鉄鉱石貿易がないと言うのですか?もし行われているのなら、国連安保理決議違反ではないか?
劉建超
中朝間では正常な経済交易が行われており、これは国連決議1718号の制限を受けない。私は関連企業が彼ら自身の判断によって朝鮮と正常な取引を行っていると信じており、中国政府はこれに対して関与しない。
(中略)
記者
中国政府は金正日の態度にどのような評価をしているのか?
劉建超
唐家センが訪朝したことによっていくつかの積極的な情報が出てきたと考えている。朝鮮は六者会談復帰を願っているということは積極的な情報だ。
現在の朝鮮半島の核問題を解決するには2つの方法がある。1つは、各方面が冷静に対応し、情勢を悪化させ制御でなくなるような対抗処置を行わないこと。2つ目は、できるだけ早く六者会談再開の環境作りに各方面が努力することである。これが一番。
記者
あなたは、六者会談再開に楽観的だがなぜか?朝鮮は外部の更なる圧力があれば2回目の核実験を行う用意があると言っているが、外部の圧力とは中国側は何であると理解しているか?
劉建超
第1の質問。楽観していない。非常に困難な道ではあるが、関係各方面が積極的に再開に向けて努力を行うべきである。
第2の質問。あなたはもっと朝鮮の声に耳を傾けるべきだ。
外交部「2006年10月24日外交部発言人劉建超在例行記者会上答記者問

このような外交部でのやり取りは、国連で制裁決議が採択された直後から一貫して行われており、記者会見場の雰囲気は中国が制裁へ消極的な姿勢であることを追及するようなものとなっています。「中国も制裁へ」との憶測のもと報じられている様々な具体的な事例はガセ情報が多く、中共が主体的に動いた結果という確かな事例は一つもないということがわかります。

外交部がこのような会見を行っているにも関わらず日本のマスコミが「中国も制裁へ」などという雰囲気で不確かな情報をなぜ報じているのか本当に理解できません。

中共が制裁へ動いているとの確かな情報があるのなら、なぜそれを正式に認めることができないのかという分析を行うべきでしょう。なのに、「中国様は北朝鮮とは違う」とのイメージ作りに奔走するメディア。いくら取り繕っても「中国はでっかい北朝鮮」であることに違いはありません。

中国人がウランを売買した容疑で逮捕された事件に関して応答が行われ、「会見の直前に知った」と外交部は逃げていますが、この事件が中国で報道されたのは21日です。香港紙や大陸の主要紙が23日に報道したことを受けて応答が行われたのでしょうが、この事件自体は21日にすでに大陸で報道されていました。21日に『北京娯楽信報』の報道を転載する形で大公報がこれを伝えています。

上記の記事によると、丁と張なる人物2人がウラン売買を図り20日に北京豊台区人民検察院により逮捕されたとあります。こんな大事件、事件そのものの真贋を即座に確認するであろう性格のものですし、24日の会見直前に初めて知ったとはかなり不自然。

記事では、2人が969グラムの濃縮ウランを所持し、彼らは購買者を探すためにネパール、新疆、北京、丹東、内モンゴルと派手に飛び回っていたと記されています。まー、この記事自体かなり胡散臭いのですが・・。

ちなみに21日にこれを転載していた大陸メディア、新浪網網易からは当該記事はすでに削除されています。

この事件と外交部の対応をNHKが報じると次のような記事になります。

中国の大衆紙「北京娯楽信報」と韓国の有力紙「朝鮮日報」は、朝鮮系の中国人2人が核物質を違法に入手したうえで密売しようと試み、先月、中国の捜査当局に逮捕されていたと伝えました。それによりますと、押収された核物質は核兵器の材料にも使われる濃縮ウラン1キロ近くです。中国の捜査当局は、ロシアで作られた疑いが強いと見ているものの、北朝鮮で作られた可能性も否定しきれないとして詳しく調べているということです。これを受けて、中国外務省の劉建超報道官は24日の記者会見で、事実関係を確認中だとする一方で、「中国は、北朝鮮の核実験を受けて核の拡散防止を目指した先の国連決議を履行して行く」と強調しました。そして、「もし報道のような事件があったのなら、中国政府は有効かつ必要な行動を取る」と述べて、核拡散を防ぐ措置をとる考えを示しました。北朝鮮の核実験を受けて、アメリカ政府は中国を経由して核物質が拡散するのを強く懸念しており、中国で放射性物質を探知する態勢を整えることを目指して中国側と協議を進めています。
NHKニュース「中国 核密売報道で防止策協調
ウェブ魚拓(キャッシュ

不自然で不確かな情報に対して毅然とした態度示す中共万歳ですか。上記のNHKニュースは、単に中共のプロパガンダを垂れ流しているだけです。

国連決議1718号そのものが全会一致を最大の目標とし、結果として中国とロシアに要求に屈した形となり制裁決議とは名ばかりの抜け道ばかりの決議案であることもあまり報じられていませんね。「国連決議を履行する」と主張する中共の声をそのまま伝えることで「中国も北朝鮮に対して憤っている」とのイメージを植えつけようとしているのですかね。

関連外部記事
熱湯欲ゴーリキーのお部屋「日中友好の思考停止

ロシアについて少し

と以上のように中国に対してもっと厳しい目を向けるべきと記しましたが、中共内での北朝鮮に対する姿勢に多少の揺れを感じないわけではありません。国連で制裁決議が採択されてから、ライスが中国訪問するまでは中共はどのように取り繕おうかとオロオロと右往左往していたように見受けられます。胡錦涛の扇さんとの会見での北朝鮮に対する厳しい言葉であったり、唐家センの緊急訪朝がそれです。「麻生・中川(酒)が、唐家センを走らす?!」でも触れましたが、日本国内で沸き起こった核武装論もオロオロさせた一つの要因でしょう。

しかしこのような中共のオロオロしている背中をバッシと叩いて気合を入れ直させたのは、プーチンでしょう。ライスは、日本→韓国→中国→ロシアの順で訪問しました。この順番で訪問しなければならなかった、ロシアを一番最後にしたのにも理由があったのです。ロシアは、グルジア問題で妥協し北朝鮮、イラク問題での協力を要請するアメリカに対して「懲罰措置を取る為に安保理を利用させない」などと折れない姿勢を見せています。

ロシアからはしごを外されないことを確認し、上記のような親北朝鮮臭をプンプンさせる会見を行ったと愚考しているのですがどうでしょうか。

参照
今日の覚書、集めてみました「今日のロシアの覚書 プーチン・ライス会談
今日の覚書、集めてみました「今日のロシアの覚書 朝鮮関連

おまけ

自身の日本語の表現力、語彙などの少なさを痛感し歯がゆい思いを日々しております。美しい日本語の本をもっと読まねばとも思ってはいるものの・・。

ブログランキング ←宜しければランキングに1票をお願いします。

posted by タソガレ at 23:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのTrackBack URL http://blog.seesaa.jp/tb/26163710

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: