フランス、対中武器禁輸解除を!

2006年10月27日

シラク大統領が中国を訪問中です。26日に中仏共同声明を発表したのですが、それを伝える人民日報の記事。

胡錦濤国家主席とシラク大統領が会談した26日、中仏両国は共同声明を発表した。声明では次の通り、朝鮮半島の情勢に言及した。 

中国とフランスは朝鮮民主主義人民共和国が2006年10月9日に核実験を実施したと発表したことに深い憂慮の意を表す。この行動は朝鮮半島の非核化という目標に背くものであり、また国際社会の核不拡散体制への努力に背くものである。双方は安保理決議1718を支持し、朝鮮には朝鮮半島の非核化という約束を守るよう懇切に促すとともに、関係各国には対話と交渉によって問題を平和的に解決するという方針を堅持し、6カ国協議の早期再開を勝ち取り、情勢が良い方向に進むよう導くことを希望する。双方は引き続き協調を密にし、朝鮮半島非核化の早期実現と、朝鮮半島と北東アジアの平和と安定を守るために、共に努力していく。

人民網-日本語版「中国とフランス、朝鮮半島問題で声明 中仏首脳会談

ロシア、中国寄りであるフランスとの声明なので対北政策で中国と歩調を合わすかのような「制裁より話し合いを」となるのは予想通り。

上記記事では触れられていませんが、フランスと中国との共同声明の中で日本の安全保障に関わる問題がもうひとつ含まれています。共同声明は、対中武器禁輸解除を提唱しています。

中国とフランスは26日、北京で、共同声明に調印したほか、宇宙開発、原子力発電、旅客機などの14件の協力協定に調印しました。

中国の胡錦涛国家主席は26日、中国を訪問中のフランスのシラク大統領と正式に会談しました。会談後、両国の指導者は共同声明と協力協定の調印式に出席し、共同記者会見を行ないました。

この共同声明は「レバノンでの衝突や、イラン、朝鮮の核問題など地域の危機を解決するため、国連安保理における両国の密接な協力を強化することを認め合った。すでに時代に合わないEU・欧州連合の中国への武器輸出禁止を取り消し、中国の完全な市場経済の地位を出来るだけ早く認めるべきだ、と双方は見ている」と述べています。

中国とフランスは2004年に全面的な戦略パートナー関係を確立しました。ここ数年来、両国の貿易成長率は20%を超え、2005年の両国の貿易額は200億ドルを突破しました。

CRI「中仏首脳が会談、共同声明に調印

メルケル登場によってギクシャクしだした中独関係の隙間に滑り込もうとフランスが画策している中での単なるリップサービスの一つであるのかどうかわかりませんが、実に嫌な動きです。

中国側は当然この動きに乗じて一気に攻勢をかけようと必死で、シラクの歓迎式典に中国の軍需産業を統括する部署である国防科工委員会の主任・張雲川が出席しています。

下記は中国フランスの共同声明内の武器禁輸解除に関する箇所。

二、中欧関係

(1)更に中欧のパートナーシップを促進する

(前略)

EUは、EUと中国とのパートナー関係の発展に対して正しい結論を下すべきで、特に現在の情勢にすでに合わなくなっている中国に対する武器販売禁令を取り消して、できるだけ早く中国の完全な市場経済の地位を承認すべきだと双方が見ている

新華社「中法元首簽署聯合声明

しっかりと、確かに共同声明の中に盛り込まれています。そもそも中国を健全な市場経済として認めていないから武器を禁輸しているわけではないですよね。

シラク訪中に対する中国側の期待度が、歓迎式典に列席した中国側の人物を見るだけでもわかります。

会談前、胡錦涛主席は人民大会堂東門外広場においてシラク大統領訪中歓迎式典を催した。胡錦涛主席夫人・劉永清、全人代常務副委員長・何魯麗、国務委員・唐家セン、全国政協副主席・張梅穎、民進中央副主席・王佐書、外交部長・李肇星、国家発展改革委員会主任・馬凱、国防科工委主任・張雲川、鉄道部部長・劉志軍、商務部部長・薄煕来、中国駐フランス大使・趙進軍などが歓迎式典に出席した。
新華社「胡錦涛与法国総統希拉克会談

以前、町村さんが外相時代に「日本の外交もはっきり発言するようにした。EUに対しても”中国に武器を輸出されては困る”とはっきり言うようにした」といった趣旨の発言がありました。今回、日本の対仏外交は失敗したということですね。

2人の指導者は、依然としてEUが中国に武器販売を禁じている法令を解除するように呼び掛けた。シラクは長い間ずっとEUの対中武器禁輸令の継続を反対している。この禁令は、1989年に中国の軍隊が全くの無防備の民主化要求デモを行っている人々を治安圧した後に実施され始めたものである。
VOA「中法元首共同表示関注北韓核試験

まー、シラクはずっと禁輸処置解除を唱え続けていたようです。今のところ次期大統領はサルコジが有力なのでしょうか。彼は、どんな中国政策を持っているのかな。

中国の軍事関連ニュースをひとつ。

軍備の増強を急速に進めている中国で、中国政府で国防産業を指導する高官が、「空母の建造を真剣に研究して行く」と述べ、初の空母保有に前向きな姿勢を示しました。

これは、中国政府で国防産業を指導する国防科学技術工業委員会の孫来燕副主任が、中国政府の広報機関のインタビューに対して述べたものです。この中で、孫副主任は「中国は海洋大国だ」としたうえで、「自国の造船業界が発展し、空母を建造する能力を備えてきている」と述べました。そして、「空母の建造を真剣に研究し考慮して行く」と述べ、中国として初の空母保有に前向きな姿勢を示しました。アメリカ国防総省がことし5月に発表した報告書は、「中国が空母の保有を想定してロシアから空母艦載機の購入を検討している」として、アメリカ政府の間には中国が2015年までに空母を保有するという見方もあると指摘していました。報告書はさらに、中国がこれまでホテルなどに利用するという名目で旧ソビエト製の空母を3隻購入し、こうした空母から自国で空母を建造する情報を得ているとも指摘していました。中国政府は、軍の中でもとりわけ海軍力の強化を急速に進めており、もし中国が空母を保有することになれば、アジア太平洋地域の安全保障の環境に大きな影響を与えるものとみられます。

NHKニュース「中国 空母建造に前向きな姿勢もっと詳しく
ウェブ魚拓(キャッシュキャッシュ

最近、”中国脅威論”って聞かないねぇ・・。

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posted by タソガレ at 23:34 | Comment(5) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
共同声明で武器禁輸解除、出しちゃいましたね。次世代機開発でグダグダのエアバスを大量購入で工場&プジョーも工場&列車も買っていただける、上客様ですからねぇ。

人権云々の円卓会議は単なるポーズか。

ところで。武器関連。

中国や東欧諸国が“違法コピー” 偽ロシア兵器が横行
http://www.sankei.co.jp/news/060928/kok004.htm

 中国側は、ロシア製兵器を年間数十億ドルも購入してい
 るのだから、少しぐらい違法にコピーしてもいいではない
 かという態度をとり続けているのだという。

人民軍と同等の装備を世界にバラ撒きすぎて、自分達の装備に優位性がなくなっちゃったので、EUの最新兵器が欲しくてしょうがない。

China to Buy Su-33 Fighter from Russia
http://www.sinodefence.com/news/2006/news06-10-24.asp

Su-33については、Wikipedia。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Su-27_(%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F)

Su-30MKK:中華人民共和国に配備中の複座のマルチロール型で、推力偏向装置は未装備。3種開発された。中国名は殲撃13型(殲-13、J-13)。ライセンス生産も行われる。

Su-33(Su-27K):艦上戦闘機型。ロシア海軍に採用された。

つまり。殲撃13型の艦載型ですね。で、どこに配備するんでしょーね。台湾海峡?アフリカ?
Posted by 果科 at 2006年10月28日 09:03
こんばんは、

ルモンドに見落としが無ければ、共同声明で武器禁輸解除は触れられていないと思います。少なくともルモンドは報じてません。

確かにシラクは胡錦涛に「EUの武器禁輸は時代遅れ
」と考えていると自分の考えを会談で表明しています。しかしメルケル氏の登場以来,EU諸国間で、かつて無かったほど見解が分かれていて、シラクの見解を共通認識とするまでにはいたっていないとしています。EU間で合意にいたらなければ、フランス単独で解除について共同声明をだすことはできないでしょう。
胡錦涛はシラクの支持を評価したそうです。
(当初共同記者会見が予定されていたようですが、胡錦涛はテイベット人射殺事件について質問されたくない。そしてシラクにも事情があった。武器禁輸解除に言及できないこともその理由の一)

ヘルシンキでシラクは小泉に「シナに武器はうらない」と明言してます。このときシラクは小泉を退任後にフランスに招待してます。小泉は渡仏の上、シラクに約束の履行を迫るべきです。

今回のミッションで大商いをしたと報じられているフランスですが、中国市場にしめる割合は1,4%、対してドイツは4%。まだフランスのシナとの付き合いは浅いです。エアバスの組み立て工場建設により関係が深くなれば、いつまでも蜜月関係といかないでしょう。フランスは声の大きい国ですから、今後の展開にワクワクしてます。

サーコジは親日と言うより親中でしょう。首相に就任して、日本、シナを訪問し、北京で日本の悪口を言ってます。「シナの市場のほうが日本より活気がある」「おすもうさんはデブで馬鹿」ーこれは後で謝罪してます。この発言は日本びいきのシラクを意識したものと言われてます。反米のシラクより親米と思います。米中でどのようにバランスを取るか未知数です。因みに私はスキャンダルにまみれたドヴィルパンがひいきです。
Posted by Catherine at 2006年10月28日 21:21
果科さん、こんばんは。
欧州会議で例のチベット尼僧射殺事件に対して批判声明が採択されたようですが、その中国へ武器を売ろうとしているフランスのEU内における立場はどーなんでしょうね。

> 中国側は、ロシア製兵器を年間数十億ドルも購入してい
> るのだから、少しぐらい違法にコピーしてもいいではない
> かという態度をとり続けているのだという。
素敵です(笑)

それでもロシアは売るんですね。
今までも何度か空母保有話は出てきましたが、艦載機とセットで出てきたことでより現実味を増してきましたね。
台湾侵攻には空母は要らないでしょうし、東南アジア、南沙やマラッカ海峡辺りの外堀から制圧する気でいるのでしょうか。
単なる国威発揚、海軍の自己満足かも。

Catherineさん、こんばんは。
フランス情報、ありがとうございます。

> ルモンドに見落としが無ければ、共同声明で武器禁輸解除は
> 触れられていないと思います。少なくともルモンドは報じてません。

武器禁輸解除についてEUに促すとする動きは、EU内では注目に値するような出来事ではないのでしょうかね。それともシラクはすでに過去の人なのでしょうか。
Posted by aki at 2006年10月28日 23:00
進む中国軍近代化 艦上戦闘機調達へ露製50機 空母計画に関連か
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/26461/

イザ!、がんばってますね。遅いけど。

チャイナ・ディフェンス・トゥディなんて書かずに、URLを素直に読んで、「支那ディフェンス」って書いたら神。
Posted by 果科 at 2006年11月06日 16:16
中国を脅威として常に厳しい目で監視しないといけませんよね。
それを六者会談再開は中国のおかげなどと持ち上げる媚中連中、特に二階に辟易。
おまけにブッシュにも辟易。
Posted by aki at 2006年11月07日 21:12
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