日中対決、WHO事務局長選

2006年11月07日

6日から始まる世界保健機関(WHO)の事務局長選は日本、中国、メキシコの3候補者の三つどもえの様相だ。特に、日本が推薦する尾身茂・WHO西太平洋事務局長と、香港で鳥インフルエンザ制圧に成功し中国が推しているWHOのマーガレット・チャン事務局長補(感染症担当)は、保健分野の著名人で、選挙は日中対決の意味合いも含んでいる。

事務局長選は、今年5月に急逝した韓国の李鍾郁前事務局長の後任を決めるために行われる。6日に執行理事会(34カ国)が5人に絞り、8日に1人に決め、9日、臨時総会で全192加盟国の承認を求める。当初、史上最多の13人が立候補したがエクアドル、シリア候補が出馬を断念し最終的に11人の争いとなった。

尾身氏は慶応大法学部に在籍中に進路を変更し自治医科大を卒業。僻地(へきち)医療に従事し、1990年にWHO西太平洋地域事務局入り。同地域のポリオ(小児まひ)根絶に成功、新型肺炎(SARS)流行の際には、情報公開を渋る中国政府を説得し交渉手腕をふるった。

一方、チャン氏はカナダ・西オンタリオ大で学んだ後1978年に香港政府入庁、94年から衛生局長。97年、鳥インフルエンザの人への集団感染で、香港市内約160万羽の家禽の徹底処分に踏みきり、封じ込めに成功したことで有名だ。

日本はどの国よりも早く尾身氏推薦を表明し、アジア地域での一本化を狙い中国に支持を呼びかけていたが、これまで候補者を出したことがない中国が7月にチャン氏の推薦を発表。「資源外交」を展開するアフリカを中心に国をあげて選挙活動を行っている。台湾のWHOへのオブザーバー参加でも日本は前向きだが、中国は全面反対しており、日中対立の図式だ。

日中以外にメキシコで途上国のモデルとされる保健医療改革を実施したフリオ・フレンク保健相も、南米を中心に支持を集めており、情勢は混とんとしている。(杉浦美香)

産経新聞「WHO事務局長選三つどもえ 日中対決、情勢は混沌

6日に行われた1次選抜の結果・・、

【ジュネーブ=市村孝二巳】世界保健機関(WHO)は6日からの執行理事会で次期事務局長選挙を開始した。日本から立候補した尾身茂WHO西太平洋地域事務局長は11候補から5人を選ぶ第1選抜を2位で通過した。34の理事国が5票ずつを投じ、得票数上位の5人を残す形式で、トップ通過は中国の候補だった。残り3人はメキシコ、クウェート、スペインの各候補。7日に面接と質疑応答を経て8日の最終選抜で1人を選出、9日のWHO特別総会で次期事務局長として正式に承認する。 (01:02)
日本経済新聞「WHO事務局長選、日本の尾身氏が第1選抜を通過

アフリカ諸国48カ国を呼びつけて50億ドルもの債務をチャラにした成果ということでしょうか。

つーか、国連常任理事国入りの時もそうですが、これだけ露骨に敵対的行動をしている国にODAはないでしょ。対中ODA即時停止及び即時返還を要求してもいいんじゃないの。敵に塩を送りすぎ。

閑話休題。

1次選抜の結果を受けて香港の親中紙である『香港文匯報』の記事。

マーガレット・チャン

58歳、香港前衛生局局長、前WHO事務局長補佐。

優位
中国政府の支持を得ており、鳥インフルエンザとSARSなどの疫病処理の経験を持つ。
弱点
SARSを処理する中で批判を受け、雑誌『刺針』は彼女が「低収入地域の国家で衛生組織を作り上げる」経験が不足していると指摘している。
(中略)

消息筋によると尾身茂との差はわずか1票差。
(中略)
執行委員会は投票にあたり、貧困国家の衛生と生活状況を述べ、貧困扶助と各国の衛生レベル向上が新しい事務局長に課せられた重要な仕事のひとつであると示した。

(中略)

会場前でチャンは記者と会見し、過去2ヶ月半、一刻も休まずに数十カ国を訪問し票集めに最大限の努力を行ったと述べた。この数日間も一心不乱で選挙と面接試験の準備を行っている。そして、彼女は、中央政府と香港政府が彼女を支持したことに感謝を表した。

(後略)
香港文匯報「[2006-11-07] 得票最多陳馮富珍入世衛五強

あれだけアフリカ諸国を集めても得票差がわずか1票ですか。

彼女を支持している香港のしかも親中紙だから彼女の利点をとことん探した結果を記事にしていると思うのだけど、次期事務局長に求められている資質が彼女の弱点であったりととても彼女を後押ししているようには見えないのは、なぜ(笑)

特に国際的な連帯が必要な疫病感染拡大予防機関に政治的な理由で台湾の加盟に反対していたり、SARS感染者隠蔽を告発した医師を軟禁したような政府の支持など足枷以外の何物でもないでしょ。

だけど、彼女の当選に向けた執念や中共政府が工作を行っているだろうから、結果は蓋を開けるまではわかりません。

中共政府が彼女を強力に支持しているのは、日本が台湾の加盟に前向きだからでしょうね。たぶん、ただこの1点だけの理由で対立候補を立てたのでしょう。

『香港文匯報』は、最大のライバルである日本政府が支持している候補者、尾身茂氏も同様に「優位」な点と「弱点」を挙げています。

尾身茂

WHOに16年間従事し、前WHO西太平洋区総監。

優位
公共衛生区を担当し感染経験とSARS発生状況に対処した経験がある。
弱点
国連事務総長に韓国外相・潘基文が当選したことにより、東アジアの候補者にとって不利な状況である。
香港文匯報「[2006-11-07] 日本尾身茂

弱点を必死に探したが適当なものが見当たらなかったのでしょうか。しかも、探し当てた「弱点」が尾身さんだけの弱点じゃないし(笑)

実はWHOの日中対決というより、この『香港文匯報』の中共の支持を得ているチャンを応援しているのか貶しているのかよくわからない記事が目に留まり取り上げてみた次第。

SARSや鳥インフルエンザに対する中共政府や香港政府の姿勢をチクリと皮肉っている記事なのか、チャン自身があまり香港で評判がよくないのかもなどと穿った見方をついついしてしまったわけです。

親中紙とはいえ、SARSや鳥インフルエンザ、豚連鎖球菌騒動などの際の大陸の情報閉鎖には辟易しているでしょうし、直接の脅威を受けた地域です。また、国内の貧困状況や衛生状況を無視し50億ドルものアフリカの債務を帳消しにし「アフリカの公衆衛生向上の為に尽力す」などとのたまっている中共中央に対する不満が香港内では燻っているようで、中共政府を皮肉っている記事なのかも、などと。

上記記事のほかにも本日の『香港文匯報』は、WHO事務局長選出関連記事を多く掲載しています。

そんな中、「国家の支持が勝算を高める」と題した記事であのドタキャン呉儀と硬く握手するチャンの写真が掲載されているのですが、これも逆効果の何物でもないでしょ。SARS、鳥インフルエンザ、エイズで国内をボロボロにしている中共衛生管理の最高責任者ですよ、呉儀は。その無能呉儀と硬く握手って・・。

また、アフリカの支持が欠かせないとの記事では次のように記されています。

中国のジュネーブ駐在国連大使である沙祖康は、チャンが5強に入ったことをうれしく思うと発言した。彼は、中国と多くのアフリカの国々は密接な関係にあり、もしチャンが当選するようなことになればアフリカ人民の公衆衛生の為に最大限の努力を払うだろうとも述べた。
香港文匯報「「曾蔭權有信心 陳太可獲勝」」

いやいや、大陸とアフリカでウイルスが更に蔓延しそうで怖えーよ。まー、ウイルスの養殖も大陸内で収めてくれて自爆しているうちは口減らしができますし大歓迎なのですがそーもいかない。

まー、2日や7日の外交部の記者会見や温家宝まで「中共政府は全力で彼女を支持する」などと口にするほどですから台湾加盟阻止に対する中共中央の必死さは伝わってきます。

事務局長選出委員会の構成は以下の通り。

  • アフリカ(7カ国)
    ケニア、レソト、リベリア、マリ、ナミビア、ルワンダ、 マダガスカル
  • ヨーロッパ(8カ国)
    アゼルバイジャン、ラトビア、ルクセンブルク、トルコ、ポルトガル、ルーマニア、スロヴェニア、デンマーク
  • 西太平洋(5カ国)
    中国、オーストラリア、日本、シンガポール、トンガ
  • アメリカ(6カ国)
    ボリビア、ブラジル、エルサルバドル、ジャマイカ、メキシコ、アメリカ
  • 東南アジア(3カ国)
    ブータン、スリランカ、タイ
  • 中東(5カ国)
    アフガニスタン、バーレーン、ジブチ、イラク、リビア
香港文匯報「世衛執委會成員名單(地區/國家)

日本政府もしっかりと工作を行っているのかな。勝つ気なら、こういうのは紳士的に組織の公正さに期待するような眠たい態度で臨むのではなく当選に向け工作を露骨にガンガンやらないと。

  1. 日本政府は、5月22日(月曜日)に急逝されたリー・ジョンウォックWHO事務局長の後任を選出する選挙が11月に行われることとなったことに伴い、尾身WHO西太平洋地域事務局長を候補者として推薦することを決定した。
  2. 新型インフルエンザなどの感染症への国際的な対応の強化が求められているこの重要な時期、次期WHO事務局長には、適切にWHOの舵取りをしていくことができる、実力のある人が選任されることが期待されている。
  3. 尾身氏は、現在、アジア地域における感染症対策等の陣頭指揮を執る立場にある。また、東アジアを含む西太平洋地域からポリオを撲滅する上で発揮した指導力や、2003年のSARS勃発の際の迅速・機敏な対応により、西太平洋地域を超えて、国際保健分野の第一人者として極めて高い評価を得ている。尾身氏は人格円満であり、マネージメント能力にも長け、次期WHO事務局長として相応しい。
外務省「尾身茂(おみ・しげる)世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局長の次期WHO事務局長選挙への擁立について

アメリカ中間選挙もそうですが、こちらの結果も気になります。8日の夜には判明するのかな?

11月7日付『香港文匯報』のWHO事務局長選出関連記事
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posted by タソガレ at 23:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 食品、疫病、災害とか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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