キルギス民主化の影響

2006年11月30日

単なる情報の整理。

あの暴動前後(引用者注:2005年春の中国各地で発生した反日暴動)に中国とインドが異常接近したこと。特にカシミール問題に対して中国は非常に強硬な立場をとっていたのに今回は領土問題で中国が全面譲歩してインドに譲ってしまった。これをどう見るかなんですね。

これはアカエフ長期政権が崩壊した中央アジアの旧ソ連・キルギス問題と非常に関係していると思うんです。中国は情報をずっと隠していますけれども、このキルギスと国境を接した新疆ウイグル自治区は今、大変な状況にあるんです。民族独立運動は昔からあるんですが、最近そこにアルカイーダが大分入ってきて爆弾事件も頻発しています。その新疆ウイグルのアルカイーダを抑えるのに大きな役割を果たしていたのがキルギスの首都ビシュケクにある反テロリストセンターなんです。

本当にテロリストへの対応能力が高く、実質的にはタジキスタンに駐在しているロシア軍第二〇一自動車化狙撃師団というのがやっている。これは素手で人ととっ組み合った時に目玉なんかを潰して戦闘能力を無くしたり、飲まず食わずで三、四日歩いて山岳でテロリストと対峙戦をするために徹底的に訓練したりと、ものすごく練度の高い部隊なんです。これがあるから、ウイグルのアルカイーダ系テロリストが遮断されているんですね。キルギスと中国の国境で。

ところがキルギスの混乱で反テロリストセンターは今、よく機能してないんですよ。そうするとテロリストたちがウイグルに入って来る可能性があるんですね。中国はそれを非常に恐れている。

国家の自縛 第一章・日本という国家(p.55)

昨年3月に発生したキルギスの民主化以降に目に留まった動きなどを。

  • 2005年3月、キルギスが民主化す
  • 2005年4月、中国各地で反日暴動発生す
  • 2005年5月、ウズベキスタンで反政府運動が発生するも武力弾圧される(アンジジャン事件、以後欧米は経済制裁を行う)
  • 2005年5月31日、外交部の定例会見で「中国はキルギスに派兵するのか?」という質問が飛ぶも応答は「不」
  • 2005年6月下旬、キルギスにロシアの軍事基地建設の話が浮上(その後、どうなったのか追いかけきていない・・)
  • 2005年7月、上海協力機構(SCO)としてウズベキスタンからの米軍基地の撤退を要求
  • 2005年8月、新疆兵団などから不穏な情報が聞こえてくる
  • 2005年8月31日、中共がウルムチに反テロ訓練センター設立を発表
  • 2005年9月30日、東トルキスタン解放組織が中共に宣戦布告
  • 2005年10月、ウズベキスタン以外の中央アジア諸国を米国ライス国務長官が訪問(ラムズフェルドも訪問していような記憶が・・)
参考
中央アジアの政変 -民主化のドミノは中国に波及するか?-
中央アジア情勢
孔泉さん「キルギス派兵情報を否定」
キルギスに新基地検討 -旧ソ連6カ国-
駐留米軍撤退を要請(中央アジア)
日々是チナヲチ「新疆はやはり不穏でした。
人民網「新疆警方興建“中亞反恐学校”打撃“三股勢力”
日経「中国、新疆に「反テロ訓練センター」
東トルキスタン解放組織、中国に対し武装戦争を宣言
ウズベキスタンはずし@中央アジア

一気に飛んで2006年。

  • 2006年6月、日本、カザフスタン、キルギススタン、タジキスタンとウズベキスタンと東京で外相会合を行う
  • 2006年8月10日、小泉首相、モンゴル訪問す
  • 2006年8月22日、中国とカザフスタンが両国国境地帯で反テロ演習を行うと発表す
  • 2006年8月24日、中国カザフスタン合同対テロ軍事演習を行う(両国で反テロ軍事演習を行い相手国がオブザーバーとして参加)
  • 2006年8月28〜29日、小泉首相、中央アジア(カザフスタン・ウズベキスタン)を歴訪す
  • 2006年9月、ウイグル人活動家ラビヤ・カーディルさんが2年連続でノーベル平和賞候補となる
  • 2006年9月、ロシアとグルジアの関係が最悪の状態へ
  • 2006年9月14日、胡錦涛が9.11にあわせて新疆兵団などを視察するも発表は中南海帰還後
  • 2006年9月22日、ロシア、中央アジア国家、テロリスト容疑者対応で協力に合意
  • 2006年9月22日、中国とタジキスタンがタジキスタン領内で合同反テロ演習を行う(解放軍が始めて正式に国境を越えて演習を行う)
  • 2006年10月19日、内蒙古でテロリストが越境したことを想定した大規模反テロ演習を行う
  • 2006年11月7日、キルギスで大統領の権限縮小を求めてデモが発生す
  • 2006年11月13日、キルギス野党党首自宅に火炎瓶が投げ込まれる
  • 2006年11月21日、胡錦涛訪印しシン首相と会談す
  • 2006年11月30日、麻生外相が「「自由と繁栄の弧」をつくる 拡がる日本外交の地平」と題する演説を行う
参考
外務省「「中央アジア+日本」対話・第2回外相会合の開催
外務省「小泉総理のモンゴル訪問(平成18年8月10〜11日)(概要)
イザ!「米中、モンゴルをはさんで“神経戦” 相次ぎ軍事演習
新華社「天山―1日(2006)中哈聯合反恐演習
外務省「小泉総理のカザフスタン及びウズベキスタン訪問 概要と評価
新華社「中国与哈薩克斯坦聯合反恐演習拉開帷幕
真silkroad?「ラビヤ(ラビア)・カーディル 2006年再びノーベル平和賞候補に!
グルジア(中央アジア情勢)
解放軍報「胡錦涛強調全面加強部隊革命化現代化正規化建設
香港文匯報「胡錦濤視察新疆行程
今日の覚書、集めてみました「今日のロシアの覚書(朝刊) その1
新華社「中塔両国軍隊聯合反恐軍事演習在塔境内開始挙行
新華社「中国首次挙行大規模実兵対抗反恐演習
キルギス、ウズベキスタン情勢(+韓国)
チャイナネット「胡錦涛国家主席、インドのシン首相と会談
外務省「「自由と繁栄の弧」をつくる 拡がる日本外交の地平
外務大臣 麻生太郎
日本国際問題研究所セミナー講演

こうして並べて見ると、退陣間際の小泉さんの中央アジア歴訪に対して中国側が敏感に反応していたことがわかりますね。小泉さんのモンゴルから中央アジア歴訪について「中ロへの牽制だ!」だとか「日本の中央アジア外交は失敗に終わった」だとかいう論評記事が、新華社や『人民日報』に掲載されていました。台湾ほどではないにしろ、中央アジアをかき回して欲しくないということなのでしょう。いや、台湾と違い安全保障や民族問題という面だけでなくエネルギー問題も絡んでいることから中南海は台湾以上に神経質になっている地域なのかも知れません。

小泉さんの中央アジア歴訪でキルギスが抜けたのはなぜでしょうかね。少しは中国に対する遠慮があったのかな。

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posted by タソガレ at 23:51 | Comment(2) | TrackBack(1) | ウイグル・新疆・中央アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
これらトルコ系諸民族国家がシナにとっては一番ナーバスなテーマです。ゆえに上海協力機構なるものをつくりあげたわけですが、またゆえにそこを突くのが我が国の外交であるべきです。それら西の辺境が不安定なかぎり台湾への侵略はおあずけになりますからね。その視点から、あたしもトルコ系諸民族のシナの歴史上の役割をざっと概観してみたのですが。
Posted by マルコおいちゃん at 2006年12月01日 01:40
中共の反応を見てみて、おいちゃんさんのおっしゃるように中共にとってナーバスな問題ということが実感できました。
麻生さんが30日に「「自由と繁栄の弧」をつくる 拡がる日本外交の地平」と題した演説を行っていました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/18/easo_1130.html
これにどのような反応を示すのか、見逃さないようにしなければ。
Posted by aki改めタソガレ at 2006年12月02日 11:48
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シナによる東トルキスタン弾圧

Excerpt: 昨日sarahさんが、非常に有意義なエントリーをアップされました。ごらんになってらっしゃらない方は以下をまずどうぞ、 【中共】 東トルキスタン 【弾圧】 報道ワイド日本「世界ウイグル会議秘書長 ドルク..
Weblog: マルコおいちゃんのヤダヤダ日記
Tracked: 2006-12-01 22:45