防衛省昇格に対する中共の反応

2006年12月05日

表題の件、『人民日報』傘下の『環球時報』の12月1日付けの記事をば。表題は「日本、来年”国防部”を設立す」です。

「えぇ〜!、今まで国防部がなかったのかよ!厳しい制限が設けられていた?!聞いてないよー。そんな国相手に俺たちは”軍国主義だ!”とかワーワーやっていたのかよ・・」と悪態をついている中国人民が3人ぐらいはいそうな記事(笑)

11月30日、日本はいわゆる”正常な国家”を目指し実質的な一歩を踏み出した。当日、日本衆議院は、防衛庁を”防衛省”に昇格させる法案を賛成多数で通過させた。法案は、来年1月から施行され、防衛庁から今までのように内閣に属さない”防衛省”一般的に言うと国防部へと昇格するよう規定されている。日本は第二次大戦以来、防衛部門に対して厳格な制限を設けていたが、この瞬間、世界の大多数の国家と同じように国家の”部級”単位になる。多くの日本人にとって、他の国家のように”国防部”を設立することは、日本が”正常な国家”となるための重要な指標であるが、しかし日本のメディアはこれは国家の”軍事風味を突然増強できる”ことを意味していると報じている。日本のこの変化は、世界の関心と警戒を引き起こさないわけがない。

自衛隊の権力は増大す

11月30日午後、防衛庁の昇格の関連法案が緊急に日本衆議院本会議の採決にかけられ、共産党と社民党が反対するも与党自民党、公明党両党と最大野党の民主党議員が賛成票を投じ、法案は衆議院を順調に通過した。

衆議院通過後、防衛庁昇格法案は参議院へ回される。全ての日本のメディアは、問題なく年末までに参議院を通過するだろうと報じている。日本政府は、1954年7月に成立した防衛庁が来年1月に正式に防衛省へ昇格し、同時に防衛庁長官が防衛相へ昇格するとも表明している。

この法案は、防衛庁が元の庁級単位から部級単位に昇格するというだけでなく、自衛隊がもともと有しいた”付加的任務”である国際緊急援助活動、国連平和維持活動、『周辺事態法』によって行われていた後方地域援助活動が、自衛隊の”本来任務”ともなる。これは、今後日本自衛隊が堂々と海外の平和維持活動に出兵できることを意味し、国会でダラダラと討論することなく、更に世論の疑問に答える必要もなくなる。しかし、民主党の要求によって、衆議院は防衛庁昇格法案に”今後、シビリアンコントロールを徹底する必要あり”との原則を加えさせた。

アナリストは、現在の防衛庁は日本の内閣に属しているが、もし省に昇格すると独立して予算を獲得することができ、防衛庁の拡大と人員の待遇の向上に役立ち、国家の政治の中での防衛庁の地位も向上すると指摘している。

『朝日新聞』は社説で反対す

この件に関する日本の世論はまちまちで、保守メディアは積極的に防衛庁昇格を歓迎しており、中道派メディアはただ客観的に報道し、伝統的な左派メディアは反対の態度を堅持しているように思える。

11月30日付『朝日新聞』は「防衛「省」 改めて昇格に反対する」と題した社説を発表した。かつてと比べ、国民は自衛隊や防衛庁をより肯定的に評価するようになったのは事実で、防衛庁昇格によって日本に戦前の軍国主義が復活するとは限らないが、しかし日本が戦後平和の道を選択し歩むとの決心に疑念を持たれると社説は言う。更に”戦後60年”は”不戦60年”と認識しなければならず、我々は防衛庁がずっと存在することを願っていると社説は言う。もし防衛省に変えたのなら、この国家の”軍事風味が突然増強される”のではないか。日本は、惨憺たる敗戦に至った歴史を反省し、平和の道を歩むことを選んだ。それは多くの国民が賛成し、日本が平和の道を歩むことをずっと支持している、その重みを考えると、防衛庁を防衛省に変えるべきではない、と社説は言う。

前日の晩、日本のテレビ朝日の防衛庁昇格に関するニュースの時に、先週に行われた世論調査を示し、45%の日本国民が昇格を不支持、支持はたった29%だった。テレビでニュース論評員は、防衛庁昇格についてもう少し慎重に議論すべきとの世論で、日本政府が当初、省を設けずに庁とした深遠な考慮を、現在、この考慮を簡単に捨て去ることは許されないと言う。

しかし、11月30日に行われる採決の状況を見ると、日本の政界の大多数が防衛庁昇格を支持した。日本の国会を占めている大多数の3つの政党が賛成を表明し、反対したのは日本共産党と社民党、両党あわせて衆議院定数480議席中たった16議席だけである。記者から、普段出会う日本の官吏、学者、記者の大多数も防衛庁の昇格を支持しているように見え、彼らの主な理由は戦後61年が経過し、日本の一つの”正常”な国家になることが可能で、他の国家が皆有している国防部を日本も有する必要があるというものだ。

専門家:日本の政治的気候は変化している

中国社会科学院日本研究所の金煕徳教授は、野党の民主党までもが賛成票を投じ高い支持で通過したことは、日本国内の政治気候がすでに大変大きな変化発生していたためであると『環球時報』の取材を受けた際に指摘した。このような変化は今後、防衛システムの為に防衛費を優遇したり、防衛政策などを提出する方面で日本国内の政局の中で更に大きな発言権を握ることに現れるだろうという。

歴史上、日本はかつて窮兵贖武(好戦的)となり、世界でもっとも強大な陸、海軍を有していた。第二次大戦末期、当時の日本の兵力動員数は一千万に近づいた。戦後、連合国は日本に対して”非軍事化方針”を実施し、軍隊を保有することを許さず、少しの保安隊と警備隊のみの保有を許可するのみで1954年7月に正式に改編され自衛隊となった。当時、自衛隊には5つの任務があり、主に国内の突発事件や被災者の救助などで、これが自衛隊の”本来任務”であった。自衛隊の過去の基本的な歴史は、救済の歴史と言うことができる。しかし、時代が変化するに従って日本は戦後体制から絶えず突破してきた。90年代には、日本は東南アジア諸国に平和維持軍を派遣し、自衛隊の最初の出国に踏み切り現在はイラクに長期駐留し、海上自衛隊の艦船が常にインド洋上をパトロールし、これらは全て元来の禁止行為と見なされていたものが全て自衛隊の”本来任務”となった。自衛隊の絶対数に大きな増長はないが、20万人を維持し、日本は一兵卒精鋭方針を採用している。注目すべきは、日本の海上自衛隊の装備と総トン数で、アジアでトップというだけでなく、世界でもアメリカに次いで第二の海軍大国であるということだ。

金煕徳教授は、防衛庁昇格後は日本の軍事力増強が加速するかもしれないと考えている。このような防衛力を有すると、アジアと調和し平和的な関係の日本と、過去の第二次大戦の侵略への歴史を”正常国家”として歩んだ日本という全く異なった影響をアジア各国に与えることとなる。すぐに日本が周辺国家の安全を脅かす可能性は大きくないように見える。しかし、長期的に見れば、日本はふたつの道を歩む可能性がある。ひとつは第二次大戦の侵略の歴史を正視し善隣外交を遂行する政策、もうひとつは第二次大戦の侵略の歴史を否定し、歴史で右傾化が進み、現実的政策を動かすようになることである。この二つの勢力が日本にあるのかないのかは、我々が注目するに値することである。中国現代国際関係研究院日本研究所の学者である劉軍紅は、防衛庁昇格、名称が変わったことの作用に触れ、その機能もすでに変化が出てきていることを意味していると言う。ある方面では、日米安全同盟の中で日本の安全防衛の独立性、自主性が強まり、別の側面では、日本政府が開発援助、平和維持など以外に、多くの外交手段を手に入れたことになると指摘している。

麻生がまた核武装論を

11月30日にAP通信が、「日本は核兵器を製造する能力を有している」という表題の人目の引く1本のニュースを報じた。報道によると、日本の外相・麻生太郎が、当日国会で、日本はすでに核兵器の製造技術を把握しているが、現時点では核兵器を製造する計画はないと発言した。彼は更に強調して、最低限度の防衛兵器を有することは憲法第九条は許可しており、平和憲法は日本が核爆弾を保有することを禁止はしていないと発言したという。

AP通信は、麻生の発言は先月の日本の防衛庁長官・久間章男の話より遥かに強硬で、久間章男はこのとき、「日本はすでに最先端のミサイル技術は有しており、我々は核兵器を作ることは可能である」と発言していた。AP通信は同時に、社民党の一人の議員が麻生が公然と核討論を行ったことを批判したとも報じている。この議員は外相に対して「現在、国際社会は日本がプロトニウムを保有している状況に非常に関心を示していて、外相として、麻生さん、あなたはこのようなときに「日本は核兵器を持つことが悪いことではない」という発言が、全世界にどのような影響を及ぼすと認識しているのですか?」と問いただした。

奇妙なことに、当日、日本でこのニュースを報じたメディアはなかった。アナリストによると、朝鮮による核実験の危機を派手に報じたことで、日本の一部の政治家はすでに社会世論がひとつの極端な方向を向いており、軍備増強がタブーの話題ではなくなり、更には政治家が日本の”非核三原則”に徐々に挑戦しようとしていると考えている。後に火消しを行う日本の政治家が出てくるが、ある程度日本の国内政治の環境が変わったことは確かである。このような視点から眺めると、防衛庁から防衛省に昇格させたことは、国家戦略の中の比重で軍事的要素が増加したことは疑いようがなく、今の日本の若者に対しても一種の政治的誘導作用を生み出した。

防衛庁昇格がすでに採択され通過した過程を見るに、今は日本の核武装に対する圧力は非常に高いが月日がたつにつれ日本の政界の人々が反対から支持に転向するかもしれない。間もなく防衛省が設立されるというときに、日本の政治家が核武装論を行っているのを見て、人々は思わず、日本は戦後の平和主義の道を捨てるつもりなのか?と問いたくなる。

12月1日付『環球時報』第十六面「日本明年建“国防部”

反日風味が非常に抑えられ、なかなか鋭い分析もあるように思えるのですが、どうでしょうか。特に日本の外交の幅が広がるとの指摘は国内メディアではあまり指摘されない点ではないでしょうかね。すでに軍事力を外交の一つの手段として行使している”正常な国家”だけのことはあります。

個人的には、防衛省になることに反対はしませんが、省に昇格する法案と同時に機密漏洩を厳しく罰する法案も提出して欲しかったな、と思います。更に言うと「軍事裁判所」に準ずるものが必要ではないかと思うのです。確か自民党の憲法改正案には、軍事裁判所の設置に関する条文があったはずです。

未だにウィニーから情報を漏洩させるなど、もうアホかと。ある程度の組織になれば綱紀粛正を旨としてもどうしても綻びが出てきます。そのような場合に備えて、精神論だけでなく具体的に厳格な罰則を設けたり、漏洩しないようなシステム作りも必要ではないでしょうかね。

そういえば、防衛大学校へ行った友人が「丸秘って入った書類を始めて見たときはビビッたぜ」って言っていたのを思い出します。「えー、なになに、中身、おせーて、おせーて」と言っても当然教えてくれませんでしたが、代わりに匍匐前進を教えてもらいました(笑)

記事に戻ります。日本が”正常な国家”を目指したのは戦後60年の歳月がそうさせたという点を殊更強調していますが、実際はそれだけではないですよね。北朝鮮を筆頭に日本の周りの環境がそうさせたという所の方が大きいでしょう。北朝鮮の核実験については最後に軽く触れていますが、これも「日本が派手に宣伝して利用した」とう面を強調していたいりと、やはり北にはお優しい。

また、自身の軍拡が北東アジアの軍事バランスを崩すきっかけを作っているという点には、当然ながら一切触れていませんね。

以前「中韓領土紛争勃発、「保釣」ならぬ「保蘇」設立か」で中韓との間の「蘇岩礁」を巡る争いを報じる記事を紹介しましたが、その流れで11月30日の『香港文匯報』の記事に、元国家海洋局副局長で国家海洋局海洋戦略研究所の高級技師・許森安なる人物の次のような言葉が掲載されていました。

中国は、一定の国防力を投入しなければならないが、更に一歩進んで中国の海洋権益を維持し保護する能力を高める必要もある。現在中国は依然として経済発展を重視しており、これが中国海軍力を少し発展させてはいるが、海洋の力の話をすれば、中国と米日との差は非常に大きいと彼は強調する。

香港文匯報「中方倡與日韓共同開發東海

以前、「ライス曰く「中国の軍拡は地域での役割を超えている」」の中で紹介した参謀総長補佐・章沁生中将の「台湾を併呑できるだけの軍事力を有する」との発言と方向は同じですね。日米を相手に本気で軍拡競争をやる気満々でございます。

ともあれ今回紹介した記事には、一昔前によく聞かれた「日本は根拠なく中国脅威論を吹聴している」とする文言が見当たりません。これは北朝鮮が突発してしまったことと、安倍訪中以来の対日宥和政策により日本を必要以上に刺激したくないとの中南海の意向が反映している為なのですが、あまりの手のひらの返しように唖然としてしまいます。

関連外部記事
朝日新聞11月30日付社説「防衛「省」 改めて昇格に反対する
ウェブ魚拓(キャッシュ
軍事評論家=佐藤守のブログ日記「防衛省昇格、朝日の社説を嗤う

ブログランキング ←宜しければランキングに1票をお願いします。

posted by タソガレ at 23:58 | Comment(4) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのTrackBack URL 

この記事へのコメント
いや、日本がほんとは怖い、というシナの本音が素直に表現されていて微笑ましかったです。もっともっと遠くまで行ってみよう、さすればむこうは両手をすりあわせて、「もうやめて」っていってくるから、ね。武力でぐうの音も出ぬほど圧倒するまでやりましょうよ、我国は。
Posted by マルコおいちゃん at 2006年12月06日 06:33
>> 『朝日新聞』は社説で反対す

ウソついちゃいかんがな。朝日「だけ」は社説で反対してましたなぁ。毎日ですら時代の流れだよねっぅ社説だったですたなぁ。

>> 代わりに匍匐前進を教えてもらいました(笑)

今度教えてくださいwww
Posted by 果科 at 2006年12月06日 07:53
熱湯欲ゴーリキさんが「喧嘩の上手い外務大臣」で日本が核兵器を製造する上で必要な技術を保有していると発言は12月1日に掲載しています。私は下記のコメントをしています。

http://dogma.at.webry.info/200611/article_29.html
(東アジアの黙示録)
「総連ミサイル博士の罪科…金正日へ日本の回答 」

【北朝鮮ミサイル開発の父は日本に居た】
神奈川県警外事課は29日午前、在日朝鮮人の前会社社長宅を急襲した。あの大騒動になった強制捜査から僅か48時間での捜索である。容疑は無許可で人材派遣業を営んだとする労働者派遣法違反だが、狙いは別にある。捜索を受けたのは、世田谷区の前社長宅、群馬県太田市のモーター製造会社、そして川崎市の「大宝産業」など計4ヵ所。報道ではこの大宝産業を人材派遣会社としているが、川崎市川崎区下並木47番地にある「大宝産業株式会社」は金属工業・金属製品塗装に分類されている。「大宝産業」前社長が総連傘下の科協(=在日本朝鮮人科学技術協会)の元副会長で現在は顧問を務める74歳の男だった。この前社長は東大工学部卒で同大学の研究機関にも在籍。ミサイル推進技術専門の工学博士で、北朝鮮の「金剛原動機合弁会社」の経営にも参加。

文部科学省所管の理化学研究所の出身が(核開発)
http://mijikaku.blog67.fc2.com/blog-entry-234.html

ちなみに科協のメンバーは
たいていが東大生産技術研究所と
文部科学省所管の理化学研究所の出身です。
ここらへんもアホらしい限りです。

科協の理念は

 「科学に国境はないが科学者には祖国がある」

日本の官僚は腐ってる!(在日の帰化人だらけでは?)

North Korea Today:謎の組織「科協」に迫る http://www.pyongyangology.com/index.php?option=com_content&task=view&id=180&Itemid=33

◇North Korea Today:
 北はウランのレーザー濃縮法を手にしている!http://www.pyongyangology.com/index.php?option=com_content&task=view&id=268&Itemid=29


長文です

日本に「日本は核兵器開発技術を保有」があるのは当然です」日本の税金で研究団体を養ってるのですから。




投稿 ようちゃん | 2006/12/01 13:16:56
Posted by ようちゃん at 2006年12月06日 11:32
> マルコおいちゃんさん。
> 日本がほんとは怖い、というシナの本音
実はこの記事には、もう一つ対になっている記事があるのです。その記事とは、アメリカの新しい国防長官ゲーツ氏が、「アメリカは台湾を守らなければならない」といったレポートを上院に提出したというもの。この2本の記事が12月1日の『環球時報』の第一面を大きく飾っていました。こちらの方も訳出しよーかなぁーと思いつつ結構な長文なので・・。
また、解放軍高官が来日しましたが、それを伝える記事で彼らの発言が気持ち悪いぐらいに日本に擦り寄っていて・・。曰く「日本は明治維新以来アジアを弾丸のように牽引し・・」だって。

> 果科さん。
もはや朝日しか反対を表明しなかったこと、更には麻生さんの発言を取り上げて「失言だ!」と追求されないことに中共はショックを受けているようですね。
匍匐前進。プロにかかると想像以上の素早い動きにビックリよ。

> ようちゃんさん。
日本は北東アジア地域で綺羅星のように輝いている国なのですよね。日本が凄いというのもありますが、西方が暗く濁っているので相対的によりそう見えるとも。
もーちょっと防諜意識を全体で高めていかないといけませんよね。
Posted by aki改めタソガレ at 2006年12月06日 23:58
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: