少数民族の親たちの苦悩

2006年12月07日

キルギス族など中国の少数民族の子供たちに降りかかっている教育問題を扱ったロイターの記事。

中国BULUNKOU(ロイター)13歳のMingbayi Abdubakiは、NBAのスウェットとミッキーマウスの帽子をかぶりスクラップの山から自分で作ったバッテリー掘削機でパキスタンへの山岳ハイウェー脇で遊んでいる。

中国のティーンエイジャーは、大きくなったら本物の機械の設計をしたいと望んでいるが、彼の校長を信じるのなら、彼は州立学校の授業の言葉が理解できない。

少数民族であるキルギス族である彼は、名前と年齢以外満足に中国語が話せない。しかし、全国的に北京語教育運動中なので、彼は標準語だけで勉強することとなるだろう。

当局は、漢族と漢族の言葉が支配している国で少数民族の子供たちにチャンスを与えるのが狙いであると言うが、批評家たちはこれは彼らの文化的なアイデンティティを蝕むことに繋がると反論している。

そして、家と学校との2つの言語の間でどっちつかずとなり、教育をしっかり受けることができない子供たちが出てくる危険性があるとも言う。

1つの名前しか名乗らない(訳者注:中国語名を名乗らないの意か?)、かなりアクセントのきつい片言の中国語を話す校長のBaierdibayiは、中国北西部の新疆地域と中央アジアとを結ぶ、厳しいが壮観な山々に囲まれた学校でおよそ460人の学生を担当している。

「私たちのクラスは標準語で教えています」と違反している者もいると認める前に、当局の注意深い監視の前で言った。

「子供たちにとっては少し難しいことです。先生は全員キルギス族で、そして彼らは必要があれば全員中国語を使うことができます」

非公式には、村民たちは、ほとんどの授業が先生と生徒たちの母語であるキルギス語で行っていると言う。

新疆で最も大きな少数民族グループであるウイグル族が恐れているのは北京が新疆に大量の漢族教師を派遣していることだが、より小さな少数民族学校ではこれが真実である。

「2002年以前は、少数民族為の独立した学校があるだけだったが、ここ7、8年ほどは週に数時間私たちの文化の時間があるだけで後は全て中国語だ」とBulunkouを含むキルギス自治州の高官Dilixiatiが言う。

ドロップアウトか?

Abdubakiの両親は、かろうじて読み書きができる程度の牧夫なので、彼が学校へ通っていること自体が印象的だ。

教育の専門家は、新しい言語への突然の変更が最も弱い生徒を危険に晒すこととなると警告している。

「彼らが学校を卒業する前に北京語が習得できなければ、彼らは不利な状況になる」とセーブ・チルドレンの中国担当官Kate Wedgwoodは言った。彼らは、いくつかの少数民族地域でバイリンガル教育改善に取り組んでいる。

「第二言語で教えられるので、彼らは課題についていくのに苦労しており、失敗したり脱落したりする子供たちが多いです」

調査によると、子供たちが学校でうまくやっていくためには彼らの母語で少なくとも4年間教育する必要があると彼女は言った。

しかし、民族の不安は、教育の言語が政治問題となっていることで、彼女の中国語を第二言語として扱うという目論みは挫折している。

「子供たちが母語で学ぶということは国家統一の脅威ではないということを政府に理解させようとしています」とKate Wedgwoodは付け加えた。

しかしながら、北京への批判者は、このバイリンガルプログラムは国家安全保障に完璧に組み込まれていると言う。

「中国における全ての言語政策は、明らかに裏の狙いがあります。中国語を強制することは、巧みに少数民族を同化することであることは明らかです」と中国のイスラム専門の人権ウォッチャーであるNicholas Bequelinは言った。

過去に指導者がウイグル族とその他の言語を退け、これは人種差別主義者から守るためであると議論を捻じ曲げ正当化したと彼は付け加えた。

差別は簡単に根付きます。民族統合のショーケースと宣伝された中学校では、非漢族の学生はたった10%で、漢族のティーンエイジャーらは少ない違う顔の人間を無視しているのがジャーナリストによって目撃された。

「ここは一番上の学校で、少数民族にとっては難しいということがわかりました」と彼は言った。

文化を取るか将来をとるか

中国語の学校へ通わせている多くの非漢族の両親たちは、経済的な将来と伝統的な文化との痛みを伴う選択を迫られているとこに憤慨している。

遠い砂漠のオアシスであるホータンで羊肉のレストランで成功したAliと呼ばれているビジネスマンは、彼の2人の娘のうち1人を標準語の学校に、1人をウイグル族民族学校へ行かせたと言う。

「私たちの文化と触れる為に2人とも私たちの言葉を勉強して欲しいと思いますが、中国語なしでは将来がありません」と彼は悲しみに肩を落としながら言った。

「私は、このようにお互いが不足しているものを補うことを望んでいます」

しかし、子供たちに文化的な繋がりを将来の豊かなチャンスの為に犠牲にする両親は、共通言語が共有の機会であることを意味しないと理解するかも知れない。

「新疆で中国のルールに不満を言っている人の多くは、しっかりとした教育を受けて中国語を習得したが仕事がない人たちです」とBequelinは言った。

「より深刻な問題は、制度化してしまっている差別です。中国語がうまく話せない人が多いという事実は、彼らが社会の中で低い地位になぜいるのかということの説明に便利なのです」

washingtonpost.com
China's ethnic minority kids caught in language trap
By Emma Graham-Harrison
Reuters
Wednesday, December 6, 2006; 10:42 AM

記事にある、パキスタンへと続く山岳道路の景色は非常に素晴らしいです。記事にも「the stark but spectacular mountains」とありますが、まさにその通り。カシュガルからパキスタンとの国境の町タシュクルガンまで半日以上バスでかかる険しい山道なのですが、ずーと窓から見える風景を眺めていました。雪解け水で水量が豊富な河が荒々しく岩石むき出しの地表を削りながら下り、草一つない荒々しい風景のはるか上空に7000メートル級の山々の山頂を見ることができ、山頂を覆っている万年雪がまるで雲のよう。

ということを思い出したこともあり、思わず雑ですが訳出してしまいました。

記事内容をば。

公立の学校と民族学校とを選択できるようなことが記されていますが、本当なのかな。ひじょーに怪しいんですけど・・。両親がお金持ちというのがカラクリなのかな。

以前、ダラムサラを目指したチベット人が射殺されるという件を取り上げましたが、亡命するチベット人の3分の1が14歳未満の子供だそうです。これは、中共教育ではなくチベット人による教育を受けさせたいがためだとか。

西部大開発の一端として義務教育費の無料化を温家宝が仰々しく発表してたりしましたが、その裏にはこんなカラクリがあったりするわけです。

中南海の北京語普及政策と全く逆の政策を敷いているのが台湾。台湾語放送のテレビ局が開局されたり、陳水扁が台湾語で演説したりしたことがニュースになっていましたね。

もっとも、この北京語普及政策、中央に対する反発もあり北京語圏以外の漢族地域でも評判がよくないとか。

外部関連サイト
真silkroad?
東トルキスタン情報センター
東トルキスタンの人々に平和と自由を

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posted by タソガレ at 22:58 | Comment(4) | TrackBack(0) | ウイグル・新疆・中央アジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
NHKの夕方7時半からの放映で「ダブル・リンカム」の問題点を放映していました。同和t以上に教師を多数配属する(加配)をして1クラス10人以下とか場合によってはマンツーマンで南米から来たポルトガル語やスペイン語しか家庭で話していない(両親が揃って外国人)子供にきめ細かい指導をしてる教室の様子や家庭で家族とポルトガル語、スペイン語の会話のやり取り、日本の子供と楽しそうに、何不自由なく日常会話を使いこなしてる様子を映していました。ところが小学校の高学年から、授業に就いてゆけなくなる。そして中学では勉強に遅滞が起きて落ちこぼれが出てくる。
母国語で、基礎をしっかり教えないと抽象概念が育たなくて、授業の内容が理解出来ないことが分かった。
教師もポルトガル語と日本語の出来る加配教師が担当してる子供は、どうにか中学でも授業に就いて行けるようになった。>と言う内容だが、この名古屋の公立校の場合は加配教師が見つかり、その教師も熱心に指導してるから良かったが、何処にでもこういう教師が居る訳では無い。外国人の子供に分かる授業に取り組んで来た学校だからこそ、其処まで原因も解決も出来たが、益々増える外国人の子供の教育は緊急を要するという内容でした。仰る通り、母国語の基礎が欠けると日常会話が出来て何不自由なく見えても、高度な理解が必要な抽象概念が欠落するようです。これでは高校すら難しいと思います。
Posted by ようちゃん at 2006年12月08日 06:08
この記事、アタイもブログネタにしようかと思ってたけど。下手な翻訳を晒して恥じかくとこだった。orz

歴史的にまったく独立した国家だからマンダリンと全然違う言葉を使ってるっぅことを、中共は尊重するべきだろ。数学や科学を無理なく教えられる程度に論理的な言語であれば、そのまま標準語として運用しとけばいいのよ。商売にマンダリンが必要なら外国語として教えればよし。

義務教育という枠を借りた文化侵略。日本にもありますねぇ、そいういえば。ジェンフリとか。赤化洗脳とか。
Posted by 果科 at 2006年12月08日 18:24
いつもリンクしていただき有難うございます。いや、仕事が速いですね。当ブログが当然やらなければならないのにすみません。ところで以前に来た世界ウイグル人会議事務局長がチャンネル桜の番組でウイグル語の授業が禁止されるという言語道断なことを話しておられました。真実かはどうかは今のところチェックできませんが。ワシントンポストの記事のように中国は巧妙にウイグル人自ら言語を捨てるように仕向けさせているのでしょう。
Posted by kok at 2006年12月08日 23:58
> ようちゃんさん。
貴重なお話ありがとうございます。
ちびっ子は、違う言語だと意識などせずに丸暗記で覚えて行くだけですから、言葉で説明された言葉を覚えて「思考」する段階になると混乱するということでしょうかね。

> 果科さん。
上記にも記しましたが、パキスタンへの山岳ルートの景色は本当に素晴らしいのですよ。ですので思わず最初の一文に引きずられるようにして訳してしまいました。
訳す前に「果科日記」を覗いたのは内緒w

> マンダリンと全然違う言葉を使ってるっぅこと
文字すら全く違いますしね。しかも右から左に書くし。どだい、無理なのですよね。
あれだけ広大な領土でありながら「中南海が支配しておる」ということで時差もないし。

> kokさん。
新疆で使われている教科書や教師用の指導要綱、時間割などが出てくれば面白いですね。
上記の記事でも記されていますが、ウルムチなどの大都市とそれ以外では大きな差があって、また問題も違ったものであると思います。鉄道の駅のある町とそうじゃない町。砂漠の北側と南側のあらゆる点での格差がありそうです。

Posted by aki改めタソガレ at 2006年12月10日 11:44
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