メディアの小さな反抗@毛沢東肖像画オコゲ事件

2007年05月14日

天安門広場で12日、掲げられている毛沢東の肖像画に可燃物が投げつけられるという事件が発生しました。

事件については国営通信、新華社が12日夜、英文で国外向けに伝えたが、国内の新聞・テレビは一切報じなかった。毛主席のイメージが傷つくことなどを懸念したとみられる。(共同)

産経新聞「北京・天安門、肖像画損傷で警備にピリピリ

傷つくようなイメージがあるのかどうか知りませんが、模倣犯が出ることと様々な意味で一番敏感な箇所へのテロ行為ということで報道管制を敷いたのでしょう。

ところが、こんな素晴らしい武勇伝はいくら報道管制を敷いたところで口伝いにあっと言う間に広がり、人々に勇気を与えます(笑)

肖像画オコゲ事件に勇気をもらったのかどうかわかりませんが、翌日13日にも天安門広場で事件が発生しました。それを伝える、北京ローカル新聞『新京報』の記事をば。

取調べ任務中に一人の男に襲われるも命の危険なし、凶行者は取り押さえられる

本紙ニュース(記者、王[女朱])昨日お昼の11時ごろ、天安門広場国家博物館の西門の外で人民警察が一人の男に刺され、男は凶行の後その場で取り押さえられた。人民警察に生命の危機はない。昨日、北京市公安局天安門公安分局は、このニュースを報じた。

報道によると、傷を受けた人民警察は天安門公安局の人民警察だという。事件発生時、彼は丁度天安門広場で任務しており、一人の男に対して通例の取調べを行っていたところ、その男が突然刃物を取り出し、人民警察の体を刺した。その後、男は逃亡を試みたいが、広場にいたほかの人民警察が普通ではない様子を察知し、その場で取り押さえた。傷を受けた人民警察は直ちに病院に運ばれ治療し、現在傷の状況は安定しており、生命の危険はない。

現在、男の身分や具体的な状況を警察が調査を行っている。

メディアの報道によると、地理的特殊性を鑑みて広場の毎日の僅かな変化も把握されており、天安門公安分局内には大型監視指揮センターが設けられ、リアルタイムで広場の動静を注視し、一旦センターが不穏な状況を察知したならすぐさま無線によって近くにいる人民警察を派遣し調べ、最速で発生した問題を解決するという。

広場に勤務している一人一人の人民警察は、皆「火眼金睛(註1)」を鍛錬しており、数秒の内に、目つき、服装、行動などから怪しい人物を見抜いてしまうのだ。これより前、人民警察はガソリンの入った瓶を広場に持ち込むなどの治安事件を制止するために勤務していた。

新京報「天安門广場一民警被扎傷
註1
妖魔を見破り遠くの吉凶をも見通すことのできる神通力をもった孫悟空の目の事。また五行の「火」と「金」をも指す。

一番最後の段は、明らかに天安門の人民警察をバカにしていますよね。

人民警察の監視を「火眼金睛」とし虎の威を借りた孫悟空になぞらえ、鍛えてえらそうにしているのも関わらず前日に毛沢東の肖像画へのテロを許したと。

また、毛沢東の肖像画へのテロに直接言及せずに回りくどく触れている点も面白いですね。当局によって該事件に緘口令が出ていることをほのめかすとともに、「んなことしても無駄だぜ」という記者さんや編集部の声が聞こえてきそうです。

2005年の12月に、それまで比較的自由な報道で人気を博していた『新京報』の編集長ら幹部3人が突然解任され、共和国建国以来の新聞社によるサボタージュで記者たちが抗議するという事件が発生して以来、大人しかったのですが、この記事でまだまだ反骨精神は衰えていない様が伺えてホッとするとともに北京オリンピックに向けて楽しみがまたひとつw

火眼金睛を以って不審者を検査する天安門広場の人民警察

火眼金睛により上訴しにきた退役軍人を捕らえ素早く連行する孫悟空たち

撮影者に忍び寄る孫悟空2匹

そんな孫悟空たちの隙をついて「Hu, You can't stop us!」の垂れ幕を掲げるツワモノ

TVB新聞-天安門毛澤東肖像[bi]人放火

一九八九年五月、ちょうどトーポリが舞う時期の土曜日にサーシャから呼び出しがあった。
「マサル、面白い場所に連れて行こう」
「こんどは何か。モスクワに分離派の地修道院でも見つけたのか」
「だいたいそんなところだ。異端派のアジトへ連れて行く。最近、精神病院から出てきた面白い人物を紹介する。ソ連の精神病者がどういう病気にかかっているのか、マサルが自分の目で見るいいチャンスだ」

スターリン時代、反体制派は運が悪ければ銃殺、運が良くてもシベリアの矯正収容所送りになった。その当時と比べれば「人道的」になったブレジネフ政権下では、とても運が悪ければ国外追放、普通に運が悪ければ矯正収容所送り、それよりも少しマシな場合は精神病院に遊離、運が良ければサハロフ博士のように、居住と移動を特定地域に制限される国内流刑だった。

(中略)

ブレジネフ時代、異端派を精神病院に送る論理は次のようなものだった。
「ソ連体制は素晴らしい。そのソ連体制をこの男もしくは女は悪いものだと心底思っている。よいものと悪いものの区別がつかないというのは病気だから、精神病院で保護、隔離し、きちんと治療しなくてはならない」

(中略)

しかし、スラーバには政治目的はなく、文学として『収容所群島』に惚れ込んでいただけなので、KGBもそんなノンポリの文学青年を政治犯に仕立てることはできなかった。

そこで「こんな素晴らしいソ連体制を誹謗中傷する『収容所群島』に惹きつけられるのはお前のアタマがおかしいからだ」という理由をつけて、KGBはスラーバを精神病院送りにする。病名は潜在性精神分裂病だった。いまは発症していないが、近未来に精神分裂病が発症するので保護、隔離する必要があるとの医師の見立てである。

精神病院にはスラーバと同じような患者が何人もいた。ただし、スラーバのような文学青年ではなく、サハロフ博士に近い人権活動家やイスラエルへの出国を要求するユダヤ人だった。スラーバは精神病院に収容されたおかげで、本物の反ソ活動家になったのだ。

自壊する帝国 第五章 反逆者たち 反体制活動家のアジトへ(P.172-P.176)

ちなみに89年に肖像画にペンキを投げつけた3人は、それぞれ16年(魯コ成)、20年([Yu]東嶽)、無期懲役(余志堅)の判決を受けております。

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posted by タソガレ at 23:38 | Comment(0) | TrackBack(3) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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