温家宝、中国の原爆の父を見舞う@原爆の日

2007年08月07日

8月6日、中共機関誌『人民日報』の第一面を飾った記事。

「お見舞いに来ました。皆があなたのことを大変思っています」8月3日午後3時、中共中央政治局常務委員、国務院総理・温家宝は著名な物理学者である朱光亜の家を訪れた。彼は、我が国の原子爆弾と水素爆弾の研究において突出した貢献で”両弾一星”勲功表彰メダルの獲得者だ。

「あなたの人生は名利に無関心で私心なく奉公し、謙虚謹慎、献身的で、祖国と人民に対する無限の忠誠で、科学に対して絶えず精進し、科学者の模範でもあり若者の模範でもある」席に着いた後、温家宝は83歳の朱光亜の手を取り、ここ20年以上も中国科学技術協会主席に対して高い論評を与えた。

「恐れ入ります」と恐れ入り朱光亜は微笑みながら述べた。

「あなたは中国の科学技術協会にあって、若い人材の育成を大変重視し、青年科学者討論会を年に1回組織している」温家宝は過去から現実へに戻り思いを馳せ、「”八一”建軍節が過ぎ、数日前に中央が開催した大会にあなたは来なかったが、全員があなたが”両弾一星”に大変な貢献をしたことを皆が覚えています」

朱光亜は両目に涙を浮かべ、温家宝の手を硬く握った。

朱光亜の秘書は近くから資料を手渡し、「総理、これは朱先生が書いたあなたへの建議です」

『当面の科学技術工作に関するいくつかの思考と建議』温家宝は資料に手を伸ばして取り、表題の文字を眺め、眼光は文字の上を走る。「”重大な科学技術の特定項目の牽引作用は充分に発揮する”、”適切に軍民の科学技術を調和結合を強化する”、”科学技術の新規律と人材制度をしっかりと符合するものを創設する”・・・・これらは全て肝要である」

「考察を差し上げます」

「非常に有意義だ」

温家宝と朱光亜はしっかりと手を握り、しばらくそのままだった・・・・。

93歳の核物理学者である何沢慧院士は、「中国原子爆弾の父」の銭三強の夫人で、かつて銭三強と一緒にウラニウム原子3分裂、4分裂の現象を発見し、「中国のキュリー夫人」と褒め称えられている。

午後3時30分、温家宝は中関村の何沢慧の家に到着し、一株の美しい胡蝶蘭を送った。

総理の訪問に対して、白髪の何沢慧は驚かなかった。2年前、かつて温家宝は中秋節に彼女を見舞い、別れの際に老人と再来を約束したいたのだ。

「約束どおり来ました」と温家宝は何沢慧の狭い家の客間に腰を下ろした。周りを見回して「三強が生きているとき、この部屋は・・・彼は大変素朴でまじめ、あなたもそうです」と彼は言った。

昔を思い出し、客間は暖かい雰囲気に満たされた。温家宝が優しく何先生に年齢を尋ねると、何沢慧は「ようやく93歳です」と答え、室内の人々は皆笑い、雰囲気は更に打ち解けたものとなった。

温家宝は再びこの部屋について触れ、「三強がいなくなってから、私は組織を通じてあなたに家を換えるようにと思った」

「ここには多くの思い出があります・・・」何沢慧の娘、北京大学教授の銭民協は話を受け継いだ。彼女は総理に両親は1955年からこの家に住んでいて、もう半世紀以上になりますと教えた。

「知っています。ここに座っていると多くの出来事が思い出される」と温家宝は述べ、「ここには記憶も精神も残っている。銭三強とあなたを全ての中国人は決して忘れてはいけなくて、忘れることなどできない」

温家宝は優しく何沢慧に生活の状況を尋ね、銭民協に好老人の世話を託し、体をくれぐれも大切にするようにとも伝え、「来年またあなたがこうして健康でおられるのを見たいです」と言った。

「大丈夫ですよ、悪いところは全部よくしておきます」と何沢慧は冗談で答えた。

96歳の”国家傑出貢献科学者”銭学森は、我が国の宇宙科学の創設者の一人だ。午後4時ごろ、温家宝は銭学森の家を訪れた。2年前総理は銭さんを見舞ったとき、彼は直接総理に2つの意見をした。一つは大学で傑出した人材を養成すること。二つ目は、教育は科学技術と文芸芸術とを融合すべき。

「あなたたは前回2つの意見を述べ、社会の広範な関心を引き起こした」と温家宝は病床に腰掛けている銭学森に伝え、「私は学校を訪れるたびに、皆や先生、学友達に、科学を文学芸術の視点から学ぶことは思考を啓発するにはよいもと話している。学校や科学研究院では全てこの視点を重視していて、この方向で努力している」と言った。

「科学と芸術の関係をうまく処理し新機軸を創設することができれば、中国人はきっと外国人に勝つことができる」と銭学森は自信満々で述べた。

「あなたの話は私はしっかりと覚えました。あなたは今回は前回よりも少し深い。我々は先進国を超え、科学と芸術の統合の努力を行わなければならない。教育の総合性を重視し、複合型人材とリーダーを要請しなければならない。堅持さえしていれば、1年では効果はでないが、数年後には必ず効果が現れる」との率直で確固たる温家宝の言葉。

8月6日は季羨林先生の96歳の誕生日。午後4時半ごろ、温家宝は解放軍総医院康復ビルに到着し、彼女の生誕を祝った。これは温家宝が2003年以来4度目の多言語に精通した翻訳家、文学家、教育家への見舞いだ。

清潔な病棟内で、温家宝は君子蘭を贈呈し緑が溢れた。「あなたが私にプレゼントしてくれた手書きの『牛棚雑憶』は大変な貴重なもので、字が美しく、非常に真摯で、微塵も手抜きがない」と温家宝は紅色の中国式の薄いシルクを羽織った季羨林に伝え、「私は毎回来るたびに深い教えを頂、去年は私に”和諧”について話、あなたは人が和諧する必要性を説き、私は中央の仕事にこれを反映させ、中央全会の決定にあなたの意見を吸収した」

季羨林の精神は悪くないようで、聞くところによると彼は毎日何か書くこと、人に新聞を読んでもらうことを日課にしていて、楽観的に自分は茶寿の108歳まで生きると信じていて、温家宝は大変喜んだ。彼は「最近、私はあなたの良知、良能の話を見た。これは知と行動を統一視したもので更には人の品格と能力を統一したもので、この思想は非常に深いと考えている」と述べた。

温家宝は、「あなたの散文を見るのが好きで、講話は全て真心の話です。あなたは自分の一生には2つの美点があると言い、一つは出身が貧しく一生努力した。二つ目は真を話す。そうでしたね?」

「真を話すことは嘘を言わないということ。嘘を話さないとは真を話すということ」

「全て話したわけではないが、言ったことは全て本当の話です」

「私はもうすぐ100歳で長くこのように長く生きていることは価値がある。国家はこのように避けれらない問題は多くあるが、現在は全体的に人と政治が通い合い、天下泰平だ」

「私達がやり足りないこと更に努力をしなければならず、しっかりと仕事を行います。あなたは体に充分気をつけて更に長生きしてください」

温家宝は、李さんが彼に送った一篇の文章『泰山頌』について話し始めた。温家宝は「非常に良く書けています。文章は人を感動させ更に気勢があります。あなたは小さな時から泰山がとても好きだったのですか?」

「私のふるさとは山東です。泰山の精神は実際には中華民族の精神です」

「そうです。この一篇の文章は実際は民族を褒め称えたものです」と温家宝は賛同を示した。

「最後の二句の話はそうです。――”国之魂魄 民之肝胆 峻立東方 億万期年” 人民の魂は庶民の脊髄で、中華民族には大いなる前途がある」と李さんは興味を示して述べた。

「その通りです。李先生の話は民族の精神です」

病棟での話が弾んだ。帰り間際、温家宝は李さんにいつまでも体を大切にするよう心から頼んだ。
(新華社北京8月5日)

人民日報「“中華民族大有前途”
―温家宝親切看望朱光亜、何澤慧、銭学森和李羨林
新華社記者 李[文武]

温家宝の腐れ芝居をダラダラと訳してしまいました。

「両弾一星」の「両弾」とは、原爆と水爆のこと。「一星」とは衛星、つまりミサイルのこと。その「両弾一星」の最大の功労者を温家宝が見舞ったという記事を8月6日に『人民日報』の第一面に掲載する。広島への当てつけでしょうね。

核廃絶を訴えている方々は、北朝鮮はもとより、このような国家の姿勢も厳しく監視し批判の声を上げるべきではないでしょうかね。「核は許せない」と叫んでいるすぐ横で、核兵器開発に携わった人物を為政者が見舞い、その貢献を称えているわけです。核を許せないのはわかったから、このような国家に対してどのように行動を起こすのか、起こすべきなのか考えないと、と思います。

昨日広島で行われた平和式典を7日付けの『人民日報』が第三面の国際面で伝えています。広島市長の平和宣言とやらの内容は知りませんが、この記事では、

  • 日本は平和憲法を守ること(憲法改正反対)
  • アメリカの核政策、核による先制攻撃に反対

を宣言したというように記されています。「核による先制攻撃政策を非難した」と最後を締めくくっていて、「俺達は核の先制使用はしないと明言しているもんねー。だから俺達は非難されていない」ということを言いたいのでしょう。

また、当日行われたというデモ行進も紹介されていて、

  • 反核兵器
  • 反憲法改正
  • 反米
  • イラク出兵反対
  • 朝鮮半島を戦場にするなー!

との横断幕があったとあります。

また、日本政府が進めているミサイル防衛システムを取り出し「日本をアメリカの盾にするなんてとんでもないことだ!」との声を掲載していたりもします。完全に反米集会扱いです。

首長が各国分け隔てなくしっかりと核保有国に対してメッセージを発しないといけませんわな。

温家宝の腐れ芝居記事に戻ります。

いつもの温家宝による腐れ芝居ではありますが、なかなか興味深かったりもします。胡錦濤が提唱している「和諧」を賞賛し中央全会でこの意見が採択されたと言及しています。十七大を前に胡錦濤路線がいよいよ確固たるものとなったということでしょうか。今尚抵抗を続けている者たちへの牽制と勝利宣言でしょうか。

清貧を推奨し「問題は多くあるが全体的に泰平だ」なんて言わせてもいます。昨今の株式投機熱に代表される風潮への批判ですかね。

そして、豚肉などの生活必需品価格の高騰などによりそこはかとなく広がっている政情不安、社会不安に対して「昔に比べれば大したことない」との慰めの言葉と思えるやり取り。そりゃー、大躍進、文革、天安門事件当時に比べれば豚肉が高いぐらい、肉まんにダンボールが入っているぐらいなんのことはない。しかし、大躍進、文革、天安門事件の歴史を消し去っているので、「昔に比べれば」という「昔」が分からないという皮肉。年月を経て実感できる者も多くはないでしょうし。

泰山精神を取り出して「中華民族の精神だ」も面白い。昨今、黄帝を「中華民族の祖」などとやたらと持ち上げて像が作られたり祀りがそこかしこで行われていたりするのですが、いよいよ本気で黄帝など伝説の史書を取り出して「中華民族」としてのアイデンティティ造りに邁進するぞという姿勢が伺えます。どうせなら十七大で中共中央総書記を継承した胡錦濤が天壇で継承の儀式をするぐらいぶっ飛んだことをやらかしたら面白いのに。

ちなみに、この記事は胡錦濤の御用新聞である『中国青年報』も同じ6日に掲載しています。

もしかして、この時期は、あちらじゃ功績ある先人を称えたりする伝統があったりするのかな?節操なく腐れ芝居を打つ温家宝ではありますが、突然の先人訪問の真意がよく分かりません。広島への当てつけだけ?

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posted by タソガレ at 23:53 | Comment(6) | TrackBack(0) | 反日侮日媚日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
日本の反核って反米とセットなんですよねー。気持ち悪いですよねー。支那の核は綺麗な核ー♪
Posted by 果科 at 2007年08月08日 09:23
久々にタレコミ。去年9月のナンパラパスでのチベット難民銃殺事件。

General punished for shooting Tibetans
http://news.yahoo.com/s/ap/20070807/ap_on_re_as/china_tibetans_shot

チベット駐留人民軍のトップMeng Jinxi中将を、次の人民代で再選しないことで、早期除隊という処分になったようで。

甘い。甘すぎる。
Posted by 果科 at 2007年08月08日 10:15
そうなんですよねー。
でも私はこのように反核運動をされている方々に期待していたりもします。
それにしても、あちらでは「憲法改正反対⇒反米」と「憲法改正⇒反米」というロジックが両立しているのが面白いですね。


甘い対応といえば、広西で発生した鬼畜のような一人っ子政策に対する同時多発的暴動の件、政府の出した改善策が「旧態前としたスローガンを禁止する」というだけのなんとも冗談のような話。

・1人目は生んで、2人目は避妊、3人目は殺せ
・1人増やすなら墓を10基増やせ
・家は壊れてもいいが国亡は許さない
・親族に1人でも政策に従わない者がいればたちまち親族は離散す
・引き出せるなら引き出してしまえ、流れるなら流してしまえ、絶対に生きさせてはいけない

などの鬼畜スローガンを禁じて、

・一人っ子政策を遵守することが調和(和諧)ある故郷を生み出す

などに換えろと。
早速『南方都市報』が「んなぬるい対応で鬼畜のような役人の性根が変わるかよ!」と噛み付いています。

この事件、暴動を起こした側への刑罰も甘いものでしたし、役人側へも中央の手が入りきれない実に中途半端な対応。中央政府の権威の失墜を見た気がします。
地方にはびこっている一人っ子利権を切り崩せなかったということのようです。


ところで全く関係ありませんが、目から変な汁が出てきます。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/19/easo_0804.html
正直、外務省の仕事か?という疑問はある。
文化庁、何やってんの!!
Posted by タソガレ at 2007年08月08日 21:55
『人民日報』、原爆の日に原爆ネタですかぁ…

広島の反核団体は、この記事を歓迎しながら読むのでしょうか?
(被爆者は読みたくないでしょうが、支援者は嬉々として読むような気がします…。)

試しに被爆者団体に送ってみようかな。
Posted by aJap at 2007年08月09日 00:01
タロウ愛してるよタロウ。

>> 漫画はいま、世界の人々が夢を紡ぎ、愛を語り、怒りをぶつけるメディアになったのです。
>> そしてその誕生の地、日本の、最も熾烈な戦いの場に今君たちは出動しようとしている。

うぅぅ。なんか汁でた。どーしてくれるんですか。謝罪とば(ry
Posted by 果科 at 2007年08月09日 06:07
> aJapさん。
該記事が掲載されている第一面のPDFファイルのURLは下記です(笑)
http://paper.people.com.cn/rmrb/images/2007-08/06/118633551103103302247336786723.pdf

こんな記事を6日にあわせて掲載して溜飲を下げているんですね。『人民日報』でさえこのレベル。


> 果科さん。
> ストーリーをとことん練れ。線に目一杯命を賭けろ。
> 君たちの作品を、雑誌で読める日を待っています。
甲子園に出場している方々は相当テンション上がったでしょうね。
Posted by タソガレ at 2007年08月09日 07:02
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