中南海を混乱させる高級娼婦・李

2007年09月09日

中国政治評論家、林保華の十七大を前にした中共政界ヲチ記事をば。

北戴河での巨頭会談はすでに終了したが、中共十七大のハイレベルの人事は尚、混乱していて各種様々な情報が入り乱れている。しかし、そのような情報であろうとも、胡錦涛と上海幇とが権力を奪い合っているということを反映している。もちろん、中共の組織構造に照らせば、総書記という玉座に座ってさえいれば、重大なミスがない限り、下っていただくことは容易なことではない。胡錦濤は年齢的に優勢で、更に”権勢の側にいること”も重要な要素だ。81歳の江沢民に時間は多くなく、江沢民に代わって”幇頭”となった曽慶紅も年齢的に劣勢だ。しかし、胡錦濤は依然として上海幇を普通に扱うことが出来ていないのは、恐らくこの幇は”上海”だけでなく、軍隊、その中でも特に”太子”を含んでいるからだろう。

最近の人事問題は、スキャンダルによって更にぐちゃぐちゃになっている。人々の記憶にあるのは、2005年の年末に中国外交部の次世代の星と思われていた沈国放が、”私的な原因”によって突如降格させられ、中共外交部部長補佐から外交部世界知識出版の編集長に左遷させられたことだ。その後の報道によると、いわゆる”私的な原因”とは、スキャンダルの類だった。中共の裏の規則によれば、政治的な問題さえなければ、スキャンダルなんかは”生活の瑣末なこと”なのだ。しかし、外交部の権力争いは非常に熾烈で、”スキャンダル”は告げ口的なものとなり、沈国放は矢に当り落馬したのだ。

最近類似する落馬事件が財政部長の金人慶の頭上に降りかかった。十七大開幕前の8月末、全人代常務委員会が宣布した任免リストの中で、本来前途洋々で”アジア最優秀財務長”と称せられていた金人慶が突然、財務部長の職務から国務院発展研究センター副主任に転任となった。彼が降格となったことに対しては多くの噂があったが、最後には”スキャンダル”によって降格が実行された。

最初、香港メディアが、金人慶は、昨年12月の山東省青島市委員書記・杜世成の重大な規律違反によって党内外の職務から完全に罷免されたことに関連し辞職したのではないかと報じた。中央規律委員会はこの案件の捜査の中で、杜世成と密接な関係にあった一人の女性を逮捕した。この社交界の花形は、調査員に、数名の高官と親密に付き合っていて、その中の幾人かはその職務によって彼女の商売の便宜を図ったと話した。これらの高官に金人慶が含まれていたのかもしれない。

しかし北京に広く流れたニュースでは、更に杜世成は裁判での供述で、その囲った情婦は中国石油理事長の陳同海から紹介されたと述べたと洩れ伝わっている。陳同海とその李という女性との関係は普通ではない。つまり、杜世成と陳同海は一人の情婦を”共有”していたというのだ。陳同海が逮捕後に漏らしたところによると、この情婦は金人慶から雲南で紹介されたという。それは、金人慶が”男女の間を取り持った”ということではなく、この情婦を”共有”したということなのか?

この社交界の花形の履歴は簡単ではない。元は、2003年に死刑判決を受け、2年間執行猶予されていた雲南省省長・李嘉廷の何人かいた情婦の中の一人で、その当時は人々の注目は別の人物、徐福英だけに注がれていた。”賢い鳥は止まる木を選ぶ”、この李という女が素早く雲南副省長から北京の金人慶の”北伐”工作を通じて、高官を席巻し、人数は11人に達する。更に凄いのは、それらの高官の中に、なんと現職の政治局委員、湖北省委員書記・兪正声の名前が含まれていたのだ。金人慶は、まず彼女を当時の建設部長、党組書記・兪正声に紹介し、兪正声は更に元青島市委員書記であったときの部下の杜世成に紹介した。兪正声は十七大政治局常務委員会の候補の一人でもあり、兪正声は単にその社交界の花形を知っていただけなのか、ある者に”男女の間を取り持った”れたのか、あるいは”共有”したのか、きっちりと調査しなければならない。これはもちろん人事を混乱させることになる。

中共"第四世代"の”共産共妻”は光り輝いているが、胡錦濤の”八栄”、”八恥”を知らないのだろうか?

金人慶に関する報道の中で故意に省かれているもので、1995年に国務院副事務総長から北京市の市委員兼北京市副市長に移動になった経歴がある。当時江沢民は、北京幇をの政治局委員・陳希同を倒し、北京市の人事を一掃し、金人慶は賈慶林が北京市の主力となることを助けた。そのため政治幇派として彼も上海幇に入れるべきで、当然現在に人事の敏感な話題となっているのだ。

兪正声の父、黄敬は1958年に亡くなっているが、彼は中共の老革命で、かつて国務院の部長を担当したことがあった。彼は毛沢東の妻、江青の前夫だったので、兪正声も太子党の一員なのだ。今年初め、雑誌”財経”が山東最大の国有企業魯能の700億の資産を”私物化”され、これに曽慶紅と兪正声の子女を含む数名の政治局委員が関わったと暴露した。兪正声などの人間がスキャンダルに巻き込まれれば、政治局常務委員を巻き込むだけでなく、政治局委員の人事をも巻き込むこととなる。このような”動乱”状況の下、中共はすでに10月15日に十七大を開催することを宣言しており、胡錦濤は人事で”手際よく処理する”ことが必要となっている。

新世紀新聞網「林保華:緋聞案打乱十七大布局?(RFA)

金人慶は、江沢民の金庫番と呼ばれていたような人物で、江沢民が法輪功弾圧を決行した際に、弾圧経費名目で相当の額を掻っ攫い、海外の江沢民の口座に振り込んだ、なんて噂もあったりするほどの生粋の上海閥。

2005年末に突如左遷させられた沈国放という懐かしい名前が出てきています。左遷当時、香港や台湾メディアが「あーでもない、こーでもない」とワーワーやっていたのですが、拙ブログでメモしていた当時の記事をば。

江沢民時代に外相が報道官出身の銭其シンとなり、彼が報道官出身者(李肇星、馬毓真、呉建民など)で脇を固め報道官派閥のようなものを作り上げ、外交部を牛耳った。銭其シン引退後、やはり報道官出身の李肇星が外相となる。ところがこの李肇星が今年に定年を迎えるにあたり求心力の低下が著しくなりゴタゴタが始まる。

(中略)

江沢民が中央軍事委主席を辞職し胡錦涛温家宝時代になると李肇星の扱いが低くなったと記しています。その具体的な例として、江沢民時代の外遊時には全ての外交を李肇星が仕切っていたが、胡温時代になってからは、唐家センがその職務を担い、李肇星はその補佐に甘んじ、また重要発言はいつも唐家センの口から発せられていたとあります。

銭其シンが作り上げた報道官閥に対抗する為に戴秉国が、外交部党書記兼外交部副部長に昨年就任し、更に最近、中央外事事務室主任を兼任するようになり、胡錦涛の特使として頻繁に訪米している。現在の外交部で威勢がよいのは、唐家センであり彼のかっての部下であった副外長の武大偉、駐日大使の王毅らである。

報道官閥で次世代のホープと目されていた沈国放に左遷人事が下ったことで、李肇星をトップとする銭其シン色を薄めるための人事がついに動き出し、決定的打撃を与えたと記事は〆ています。王毅が、長期帰国している背景にはこのようなゴタゴタがあるのかもしれません。

中南海ノ黄昏「外交部のゴタゴタ(2006年01月02日)

報道官閥というより、わかりやすく言うと、外交部人事を外交部内の人間で固めようという勢力が報道官閥で、それに対抗し中央の影響力を伸ばそうとしているのが唐家セングループという色分けのようです。

今年の4月に報道官出身である李肇星が外交部長の職を解かれ、後任には唐家センに近い戴秉国など名前が挙がっていましたが、アメリカ駐在経験があり報道官出身ではない楊潔チが横から滑り込むように就任しました。報道官閥と唐家セングループとの間での妥協の産物なのかなぁ、なんて思ったり。

また、今月末には駐日大使である王毅は本国に召還され、唐家センの後を継ぐ予定である戴秉国の現在の職である筆頭外務次官に昇格するようです。で、王毅が離れる駐日大使には、崔天凱外務次官補が就任します。

当初、次期駐日大使には戴秉国が強く押していた劉洪才でほぼ決まりかけていたようですが、外交部側の反発が激しく最終的に唐家センが妥協し崔天凱に決まったということを『産経新聞』が報じていました。

ここで色々なものが繋がってくるのですね。面白いですねー。

で、外交部への中央からの最初の矢に沈国放は撃たれて「世界知識出版社」に左遷させらたのですが、そこの出版物である『世界知識』の記事を『毎日新聞』が紹介していました。

胡主席は明確な反発を控えたが、中国外務省が主管する隔週誌「世界知識」最新号は、日米豪にインドを加えた4カ国の連携を「同盟」と位置付け、「歴史のすう勢を無視している。他国の疑念を深め、対抗心を引き起こすだけで、結果的には区域内の最大の不安定要素となる」と非難。中国を意識したものと不快感をにじませた。

毎日新聞「日米豪首脳会談:中国包囲網を警戒…既存機構で役割拡大

現在の中国の外交は中央主導で行われているということと上記の様な背景を鑑みると「不快感をにじませた」相手は中央、胡錦濤とも読めるわけです。「俺たちが仕切ればこんな無様な結果にはならない」と。

中共自体が日米濠印四カ国の連携に不快感を示しているのは間違いないでしょうが、もう一歩中に入ってみると、外交部内の対立が見えてきます。人事を眺めた限りでは中央が今のところ優勢であるようです。孔泉が本国に召喚されたりしたら面白いのだけどなぁ。あのふてぶてしい態度が懐かしかったりします。

最後に、下種な勘ぐりを少し。

『毎日新聞』の記事には次のようにもあります。

北京五輪を来年8月に控えた中国も、アジア太平洋地域の主要国との摩擦は避けたい。日本に対しては中国共産党ナンバー4の賈慶林・全国政治協商会議(政協)主席が12日から訪日するなど対日関係強化を進める。

毎日新聞「日米豪首脳会談:中国包囲網を警戒…既存機構で役割拡大

「賈慶林」、最初に紹介した記事にあるように江沢民が北京で勢力拡大図った際に最前線で奮闘した人物なのですね。こいつを中央が十七大直前のこの時期に日本に送り込んでくるわけです。「中国共産党ナンバー4」などと『毎日新聞』は持ち上げていますが、立場的にも年齢的にも終わっている人物なのですね。

政治的に終わった人物とはいえ「中国共産党ナンバー4」と喧伝して日本に送り込み日本との友好路線を演出し、他方、上海閥に対しては中央の手足として賈慶林を日本に送り込み対日宥和政策の尖兵として扱うことで、党内の勢力図は変わったのだと印象付ける。それが、賈慶林訪日の意味ではないでしょうかね。

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posted by タソガレ at 23:34 | Comment(2) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
はじめまして、三浦介と申します。
ひとさまの掲示板などで政治について話し合っていて、情報を求めてたどり着きました。
興味深い記事ばかりで、是非以降読ませていただきたいと思います。m(._.)m
Posted by 三浦介 at 2007年09月10日 02:53
三浦介さん、はじめまして。
お褒めの言葉、ご丁寧にありがとうございます。
気軽にコメントを残していただければと思います。
Posted by タソガレ at 2007年09月11日 00:03
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