習近平(清華)と李克強(北大)

2007年10月28日

新指導部が発表された翌日、23日の記事をメモしておきます。

清華大、北京大、この二つの中国最高峰の大学の第一の争いは昔からあり、一時期「大清世界北大荒」と言われ、即ちこれは外界の中共政界に北京大学出身者が少ない現象に対する一種の形容だ。しかし、昨日閉幕した中共十七大一中全会は、清華大の博士・習近平と北京大の博士・李克強をそれぞれ中共政治局常務委員会に送り込み、将来の中国の政界は、結局のところ清華幇と北大幇とが助け合うという現象が現れ、各領域の風騒の局面が現れ、中国の政治のもう一つの観察する焦点が現れたということである。

中国の近代民主思想の発祥地として、北京大の民主的な気風は中国のキャンパスの中で最も濃厚で、この気風は「北大人」が規範に従うことが必須の官界の中で長期にわたり「劣勢」を強いることとなっていた。実際に有名な「清華幇」は官界で大きな主流で、1980年代末には清華の省部級官員は全国総数の40%以上を占めていた。

しかし、この現象は過去数年のうちに次第に変化が発生し、北京大で学んだ官員の人数は上昇の趨勢だ。内地メディアの統計によると、今年5月末時点で、北京大出身者(北京大本科生、研究生などを含む)は副省部級以上の官員に57人で、うち39人は年齢が48歳から57歳の間だという。清華出身者の副省部級以上の官員の中で37人ほどで、年齢制限によって5年以内に、清華大出身者の副省部級以上の官員のうち少なくとも半数は退職するという。李克強の飛躍は、ある一定の意義においてこの種の官界の変化を反映したものだ。

胡の後継者の変数は依然として大きい

一般的に、習近平はちょうど政治局常務委員会を引退した曽慶紅を引継ぎ、党内で党務工作の主管を受け持ち、来年3月に国家副主席に就任し、中共十八大で胡錦濤に替わり中共総書記となると思われている。そして李克強は、病死した黄菊に替わり、常務副総理に就任し、中共十八大で温家宝に代わり中国の総理になると思われている。

李克強は、中共最高指導者層の「北大荒」の現象を打ち破ったと言えども、依然として「清華幇」が絶対優勢を占めている。しかし、胡錦濤にとって、習近平は清華大の学友だが、李克強は自分が青年団中央の時に可愛がっていた関係上、太子党出身の習近平よりも密接な関係にある。清華大と北京大の提携を促進しることは、胡錦濤のこの先5年の一つの重大な任務だ。更に、習李の2人のどちらが胡錦濤の後継者になるのか、現在非常に大きな変数が尚をあると見れる。しかし、中共は現在68歳で一線を退くという原則を採用しており、中共十九大終了時、習近平は69歳となり総書記の職務を必ず辞さねばならず、李克強は67歳で習近平に替わり更に5年職務に従事することができる。もちろん、15年も先のことは誰にもわからないが。

秦勝

明報「中國評論:北大清華 誰領風騷
  1. 胡錦涛(清華)
  2. 呉邦国(清華)
  3. 温家宝(北京地質学院)
  4. 賈慶林(河北工学院)
  5. 李長春(ハルピン大学)
  6. 習近平(清華)
  7. 李克強(北大)
  8. 賀国強(北京化工学院)
  9. 周永康(北京石油学院)

もうひとつ『明報』のコラムから。

中共十七大での人事で胡錦濤は何を得て何を失ったのか?

ちょうど公布された中央委員、政治局委員とその常務委員、そして書記処書記の名簿を見て、胡錦濤は今回の中共の権力再編にあたって、それほど大きな利益を得ることはなく、権力をある程度強固ではあるが、支払った代価も小さくなく、権力の核心において絶対的な優位を占めることが出来ずに、彼の「科学的発展観」を今後5年で有効に実行できるかどうかに衝撃を与える勢いだ。

中共の政治体制を見るとき、一人の政治家の実力の増減を判断し、主に彼の腹心と支持者を見て、最高政策決定層に何人登ることが出来たのか、彼らが占めた職位は何であるかを見るのだ。

胡錦濤は今回の中共十七大でふたつの収穫があった。その一つは、彼が提出し、第四世代指導集団が許可した「科学的発展観」が、党規約入りしたことだ。中共の歴史において、これは毛沢東以後、在任期間中の指導者の理論がこの栄誉を獲得したのは初めてだ。胡錦濤はもう一つ獲得したものは、彼の支持者が大挙して中央委員会に進撃したことで、前期の26人から今期は40人にまで増え、中央委員会総数の2割前後を占め、10年前の十五大時の江沢民の勢力と大差ない。上述した二つは、胡錦濤の権力を強化するのに役立つが、彼が党内で非常に重みのある権威を有することを保証するものではない。更に、彼の手ごまで更に重要な政策決定層や政治局および政治局常務委員において数の上で優勢を占めることが出来なかった。

胡、江、曽が天下を3分す

新しく当選した9人の十七大中央政治局常務委員の中、胡錦濤が最多で前期の3票(彼自身と温家宝、李克強)を維持し、引退した曽慶紅も同様に新しい常務委員の中に3票(習近平、賀国強、周永康)を占め、残り3人(呉邦国、賈慶林、李長春)は皆、江沢民の愛将だ。つまり、新しい常務委員会は、胡、江、曽の天下三分の情勢が形成されているのだ。

新しい政治局でも、胡錦濤は簡単に占めることはできていない。8人の新人のうち、劉延東、李克強、李源潮、王洋跟は胡錦濤と比較的密接な関係にある。王岐山、張高麗と薄煕来は、曽慶紅と関係が比較的よくて、王剛は江沢民の手ごまであるとこじつけてみる。このため、人数の上では胡錦濤は新しい一期政治局にたった9人の支持者しかなく、人数はおよそ3割7分を占め、十五大の時の江沢民が腹心で政治局のおよそ半分を占めていたのと比べると大きく違う。

更に重要なことは、胡錦濤は腹心を配置する際に2度の大きな挫折にあっていることだ

まず、党内の汚職追放を任務としている中央規律委員会委員書記に曽慶紅の腹心、賀国強を配置した。ずっと以前から、中央規律委員会書記は非常に重要な職位で、中央規律委員会は汚職に打撃を与えるだけでなく政敵と闘争する際の手足となる。前期の中央規律委員会書記・呉官正と胡錦濤は密接に協力し合い、胡錦濤は反汚職に乗じて「上海幇」に対処し、跋扈していた上海市委員書記・陳良宇らを失脚させた。今のところ胡錦濤は、再びこの政争の道具を把握することができず、このことは彼の政治運営に一定の影響を及ぼす。

更に、胡錦濤はここ数年、一心に育ててきた腹心、元共青団中央第一書記・李克強が、「王位継承者」争いで、習近平に遅れをとった。政治局常務委員での序列で遅れを取っただけでなく、現在内定している引継ぎ人事では、李克強は将来の総理候補として培養される。それに反して習近平は、現在すでに書記処第一書記を担当しており、そして将来の国家主席および総書記の後継として培養が内定している。当然、これらの後継は、これから5年で大きく変わる可能性があり、誰が最後に笑うのか未知数だ。しかし、少なくとも李克強は、将来の党内の第一位の人物となるためには更に多くの気力を費やす必要がある。このような配置は、胡錦濤の計算と大きな違いがある。

総括するに、胡錦濤は中央委員会の実力をある程度増加したが、最高政策決定層の政治局および常務委員では前期と同じように、劣勢の指導者を維持するのみで、相手からのあらゆる妨害の局面を打破することが出来なかったということだ。

明報「潘小濤:胡錦濤的得與失

一党独裁特有の果断さが失われる一方、一党独裁の弊害だけは時間が経つにつれて深刻化していく

日々是チナヲチ「民主化?政治改革?寝言は寝て言え。@十七大10・上

なるほどなー。

常務局入りした習近平に代わり上海市委員書記に就任した兪正声についての28日付香港紙『星島日報』の記事をば。

注目されていた上海市委員書記の人事が決まった。中共中央政治局委員、前湖北省委員書記・兪正声が、昨日正式にすでに政治局常務委員に昇格した習近平に代わり上海市委員書記を担当することとなった。彼は、中央の期待に絶対に背くことなく任務を行うと述べた。習近平は昨日、中央が兪正声が上海にやって来て書記に就任することは、中央が上海の対して高度に関心し重視していることを示していると強調した。

政府の新華社の昨日の報道によると、中共中央は先日、習近平が上海市委員書記を兼任せず、兪正声が上海市委員書記に就任し、兪正声は湖北省委員書記を兼任せず、羅清泉が湖北省委員書記に就任すると決定したという。

上海は昨日、習近平が主宰し党政負責幹部大会を開き演説を行い、中央組織部長の李源潮が中央の決定を宣布し任命した。兪正声は、上海市長・韓正などが出席し会議で演説を行った。

兪正声は今年62歳。浙江省紹興の人。父親は、中共初代天津市長・黄敬。トウ小平の家族と密接な関係にある。兪正声は、ハルピン軍事工程学院卒業後、長期間に渡り電子工業部で働き、その後、山東省青島市委員書記、建設部長などの職を歴任し、2001年から湖北省委員書記を務めていた。

兪正声は、中共十五大の中央委員、十六大政治局委員で、先日閉幕した十七大一中全会で政治局委員に再選出されていた。

兪正声は、政治のベテランで経済工作をも熟知していると思われており、上海のような大都市を統治するには卓越した手腕が必要で、上海の拡大は全国に作用する助けとなり、その射程領域は三角デルタから長江流域にまで至る。

中央組織副部長・沈躍躍は一昨日、武漢で兪正声が上海に転任が宣言されたとき、兪の湖北での6年間の業績を高く評価し、この6年は湖北が改革開放以来「最も早く発展し、最もよく、民衆が最も多くの恩恵を受けた時期のひとつである」と述べた。

沈躍躍は、同時に湖北省長・羅清泉が省委員書記を引き継ぐと宣布した。

(後略)
星島日報「兪正聲任上海市委書記

兪正声の父親、黄敬については『産経新聞』に次のような記述がありました。

父は毛沢東氏の夫人、江青女史の最初の結婚相手で、第1機械工業部長を務めた黄敬氏(本名・兪啓威)。

MSN産経ニュース「上海市トップに兪正声氏

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posted by タソガレ at 11:32 | Comment(2) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
一番上の方は、習近平絶賛ですね。
『読売新聞』も「真面目」で「慎重」な人物と持ち上げていました。
しかし翌日から、中国の今後の改革の行くえに関しては、厳し目の評価に変化しています。
最初の報道はご祝儀報道でしょうか?

新上海市委書記・習近平とはどんな人か(←ぐぐると一番最初にヒット)
http://www.actiblog.com/tanaka/32110
こちらは、サーチナ。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=1022&f=keyword_1022_001.shtml
(故)父上は八代元老。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0116&f=keyword_0116_001.shtml
宮崎正弘さんは、外国企業いじめが得意な習近平憎しですね。
http://www.melma.com/backnumber_45206_3600541/
江沢民派が一定の力を保持した事に関して、不満を隠さない「大紀元」。
http://jp.epochtimes.com/jp/2007/10/html/d31207.html
こちらは日本のテレビ番組内での各候補に対する評価。
http://jp.youtube.com/watch?v=0eBV64_VWKY
習近平同志の結婚生活・・・
http://news.163.com/06/0128/19/28IVURPF0001122D.html

このままミスが無ければ、5年後は習・李体制ですかね?微妙・・・
Posted by aJap at 2007年10月28日 14:42
多くの情報ありがとうございます。
> 中国の今後の改革の行くえに関しては、厳し目の評価
個々の人物云々というよりこのままでは中共の独裁体制自体のほころびを繕うことができないという評価が出てきたということでしょうかね。

5年後というか、今後ますますカリスマ性を帯びない指導部になり、何に求心力を求めるつもりなのでしょうかね。もう月に人を運んでも効果なさそうですし。
Posted by タソガレ at 2007年10月28日 23:41
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